歯科ユニットウォーターライン除菌装置 ポセイドン
治療用ユニット内に付着する汚れについてとその対策
歯科医院での治療には、たくさんのお水を使います。
しかし、その治療用のお水がとても汚れている事実をご存知でしょうか?
特別な対策をしなければ、飲用できる水道水の基準の数十倍から数千倍の細菌(弱毒性)が検出されています。
歯科医院で治療する『むし歯』も『歯周病』も原因は細菌なのに、治療を受けながら別の菌をもらうのでは本末転倒ではないでしょうか?歯科医院の治療水から検出される菌は『従属栄養細菌』と呼ばれる菌群で、髄膜炎などの原因菌の一つとも言われていますが、健康な人が摂取しても健康被害を起こすことはないと言われています。しかし、免疫力の弱い高齢者や乳幼児の患者様などにとっては、日和見感染を起こす可能性があり、注意が必要です。
でもなぜ、歯科医院の治療水がこんなに汚れるのでしょうか? 実は夜間や休診日の間に、診療台の中で水が滞留することが、菌の繁殖の原因なのです。右の写真は、特殊な薬品を使って診療台の給水ラインを洗浄した時に出た汚れだそうです。普段、こういった汚れは目にすることができないので、全国の9割近い歯科医院では対策が採れていないのが実情なのです。
当歯科医院は『全ての患者様に安全な環境で、安心して治療を受けていただく』ことを第一に考えています。このお水の問題も、知ったその時から対策が始まりました。
現在は『ポセイドン』を導入し、治療用のお水をいつも衛生的に保っています。
味や臭いもありませんが、見えないところまで気配りできる。そんな歯科医院であり続けたいと思っています。
※全国で『ポセイドン』導入医院は未だ245/67,000医院 (2014年4月現在)
水の安全性を示す分析試験成績書をいただきました!
上記の取り組みの結果、当院で使用するお水の安全性を示す分析試験成績書(図)を(一財)日本食品分析センターからいただきました。
日本の水質管理目標設定項目にある従属栄養細菌の目標値は、「1mlの検水で形成される集落数が2,000以下(暫定)」となっています。日本食品分析センターの水質検査により、『治療水』の衛生状態について「1mlの検水で形成される集落数が30以下」=『細菌数検出限界以下』という水質最高レベルの評価を得ております。
とても衛生的な「お水」ですので、安心して治療を受けて下さい。
ポセイドンとは
ポセイドンは、人と自然に優しい電解中性機能水を歯科ユニットや医院全体に通水させることにより医院の水配管内の細菌などの繁殖を抑え、治療環境を衛生的に保つためのシステムです。
歯科医院では、手や器具の洗浄、歯の治療、クリーニング、患者様がお口をゆすぐときなど、多くの場面で水が使われます。お口の中をきれいにしていただくことので、歯科医院で使われる水もキレイで衛生的でなければなりません。
当院では、患者様の治療に対するリスクを可能な限り排除する努力を行っております。
特徴
・院内全ての給水管内を除菌します(細菌数はゼロに近い)。
・治療時の水はかなりクリーンなものとなります。
・院内感染対策として強力な効果を発揮します。
ポセイドンの仕組み
1.センサーが水の流れを感知し、電解層に通電
2.水中に含まれる塩素イオン(Cl-)が電気分解により塩素(Cl2)に変化
3.塩素(Cl2)がすぐに水と反応し、残留塩素に変化
(次亜塩素酸(HCLO)や次亜塩素酸イオン(ClO-))
4.残留塩素の上昇により水道水中の細菌の繁殖を抑制
歯科ユニット給水系における微生物汚染と中性電解水による細菌増殖の抑制効果
1)京都大学大学院医学研究科 感覚運動系外科学講座 口腔外科学分野
2)京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学
三島清香1)、園部純也1)、高橋克1)、長尾美紀2)、一山智2)、別所和久1)
歯科ユニットは汚染されている
高度医療、超高齢社会を背景とし、院内感染対策は重要な課題です。院内感染とは、病院内で起きたすべての感染症を意味しますが、発症様式によって患者が保有している微生物が由来である内因性感染と、他の患者や医療スタッフ、医療器材由来の外因性感染に分けられます1)。
内因性感染リスクを低減するため、とくに病院歯科では全身麻酔を必要とする周術期患者や担がん患者、高齢者、免疫不全者などの易感染性患者、IVH・人工透析などのカテーテル治療患者などの口腔管理を重要視しているのが現状です。
一方、外因性感染については医療関係者の適切な対応によって予防することが可能で、われわれが日常かかわりのある歯科ユニット給水系の汚染は外因性感染リスクと考えられます。
診療後など長時間の給水停止時に給水系に滞留した水中で微生物が増殖し、バイオフィルムが形成され付着し、そこから落屑した微生物が歯科医療給水として患者の口腔内へ放出されていると考えられています2,3)。これらは上水道由来の弱毒性細菌である4)とされていますが、微生物汚染の実態やその対策については十分検討されていません。
近年、新しい消毒法として中性電解水が注目されています。生体為害性が少なく、無味・無臭で、金属腐食性も低いとされており、また排水路環境への影響が及びにくいことから、歯科器材の消毒にすでに用いられています。
中性電解水とは
電解水とは、水道水や食塩水などを弱い電流電圧で電気分解処理して得られる水溶液の総称です。pHによって分類されており、強酸性電解水(加藤歯科医院ではEO水で代用しています)は優れた殺菌作用を有しているため、現在も医療現場で消毒や処置などで使われていますが、周辺環境への汚染や金属材料の腐食というデメリットを有しています。弱酸性電解水はそのデメリットを緩和する反面、殺菌効果は弱いとされています。
そこで、新しい消毒方法として中性電解水(加藤歯科医院ではポセイドンで生成しています)が注目されてきています。この中性電解水は3ヶ月以上の長期間にわたって殺菌作用を持続でき、人体や周辺環境への影響もないとされています5)。強酸性電解水、弱酸性電解水、中性電解水を用いた金属腐食試験で、中性電解水が耐腐食性を顕著に示していることが認められました6)。
当医院での調査と取り組み
歯科ユニット給水ライン内を水酸化ナトリウム溶液による洗浄を行い、従属栄養細菌数が≦30cfu/mLと検出限界以下となったことを確認し、中性電解水生成装置(加藤歯科医院ではポセイドンを導入しています)を設置し、稼動させました。14ヶ月経過し、従属栄養細菌数は≦30cfu/mLと検出限界以下を維持しています。(加藤歯科医院でも従属栄養細菌数≦30cfu/mLと検出限界以下となっていることを確認しています)また、装置稼動後に歯科ユニット給水系からの水漏れ等のトラブルも認めていないことから安全に使用できると考えられます。
【参考文献】
1) 一山 智:院内感染の疫学.日本内科学会誌,82:1150-1154,1993.
2) Mills SE. The dental unit waterline controversy: Defusing the myths, defining the solutions.
J Am Dent Assoc, 131:1427-1441, 2000.
3) Mayo JA, Oertling KM.Andrieu SC. Bacterial biofilm: a source of contamination in dental air-water syringes. Clin Prev Dent, 12:13-20, 1990.
4) Montebugnoli L, Dolci G: Effectiveness of two devices designed to prevent fluid retraction in a high-speed handpiece. J Prosthet Dent, 84:225-228, 2000.
5) Nagamatsu Y, Chen KK, Tajima K, Kakigawa H, et al: Durability of Bacterial Activity in Electrolzyed Neutral Water by Storage. Dental Materials Journal, 21(2):93-104, 2002.
6) Dong H, Nagamatsu Y, Chen KK, Tajima K, Kakigawa H, et al: Corrosion Bahavior of Dental Alloys in Various Types of Electrolyzed Water. Dental Materials Journal, 22(4):482-493, 2003.
京都大学大学院医学研究科
感覚運動系外科学講座 口腔外科学分野
※参考書籍
「DENTAL DIAMOND 第40巻第1号・2015年1月号(別刷)」
株式会社デンタルダイヤモンド社