妊娠中
Q1 | 子どもの歯の発育のためにどんなものを食べるといいですか? |
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A1 |
意外と知られていませんが、カルシウムは牛乳や小魚、チーズ(チーズはカルシウムだけでなく塩分も多く含まれているので、摂り過ぎには要注意です)ばかりでなく、小松菜やひじきなどにも多く含まれています。葉物野菜や海藻類であれば、サラダや煮びたし、混ぜご飯など、調理法にバリエーションがあり、メニューにも取り入れやすいでしょう。 歯の発育に必要な栄養素
※参考書籍
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Q2 | 妊娠すると歯周病になりやすいのですか? |
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A2 | 女性ホルモンの変化と歯周病の発現・進行女性ホルモンの急激な変化↓
↓ 歯周病(歯肉炎・歯周炎)の発現・進行
生活習慣の変化とう蝕・歯周病のリスク食生活:つわりによる食嗜好や食事回数の変化、胎児の発育による食事回数の増加歯みがき習慣:つわりによる歯みがきの困難、食事回数の増加による口腔ケア不足↓
↓ う蝕・歯周病のリスクが高まる
妊娠中は口の中の衛生状態が悪くなりがちです。妊娠中期から後期になると、女性ホルモンの血中濃度が高まります。歯周病の原因菌のあるものはその女性ホルモンを利用して増殖するため、歯ぐきからの出血や歯ぐきが赤くなったり、腫脹が起きやすくなります(妊娠性歯肉炎といいます)。 歯根や歯槽骨の状態についてはレントゲンやパントモで確認することができます。 ※参考書籍 倉岡 |
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Q3 | 妊娠中に歯が弱くなるというのは本当ですか? |
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A3 | 確かに、妊娠中はむし歯ができやすかったり、歯肉炎を起こしやすかったりします。
俗に、妊娠中だと歯のカルシウム分が胎児にとられるため、母親の歯が弱くなると言われていますが、歯は一度歯ぐきから生えた後、身体のカルシウム代謝と関係がなくなりますので、歯からカルシウム分が取られてしまうことはありません。 |
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Q4 | 妊娠すると歯が悪くなるって聞きますけど、私はもともとむし歯が少ないし歯科健診には行かなくても大丈夫だと思います。 |
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A4 | 妊娠すると、つわりで歯みがきがつらくなったり食の好みがガラリと変わったり一度に食べられないので間食が増えたりして、むし歯菌が喜ぶような変化がお口のなかに起きやすいんです。ぜひ歯科検診を受けて歯を守っていきましょう。 リスク1 つわり
リスク2 食の好みの変化
リスク3 間食
リスク4 唾液の減少
CHECK酸っぱい物が上がってきたり、酸味の強いものを食べたあとは、無図でブクブクうがいをしましょう。 ※参考書籍 |
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Q5 | 妊娠してから歯ぐきが腫れやすくなりました。プクッと赤くふくらんで、歯みがきすると血が出ます。 |
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A5 | 歯肉炎になっているのだと思います。歯科医院に受診し、治療とセルフケアの指導を受けましょう。歯肉炎は歯ぐきの周りのお掃除で簡単に治すことができます。出産した後は子育てで忙しく、自分の通院はつい後回しになり症状を悪化させてしまいがち。治すなら今のうちです! ※参考書籍 |
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Q6 | 妊娠中の歯科治療。受けられる時期と注意点は? |
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A6 | 妊娠前から予防をして、ずっと健康なお口で過ごせるのが理想とはいえ、妊娠中に悪化しても、基本的には通常の歯科治療を受けられます。
妊娠初期(妊娠0~15週)つわりで繰り返し起きる嘔吐や、嗜好の変化と偏り、吐き気による歯みがき不足などのために、むし歯や歯周病になりやすいお口へと急激に変化しやすいです。 注意点赤ちゃんの重要な器官がつくられる大切な時期。流産の危険性も考慮して、痛みや炎症をひとまず止めるための応急処置にとどめ、本格的な治療は安定期か産後に行います。かかりつけの歯科医院で必ず定期的に経過観察を受けましょう。
妊娠中期(妊娠16~27週)徐々につわりがおさまって歯みがきが楽になってきます。一方、食欲が増して間食の回数が増えるなど、食習慣の変化がむし歯の原因になりやすい時期です。 注意点胎盤が完成する安定期に入ります。産後まで治療を待てない場合、外科処置を含む一般的な歯科治療を受けることができます。激しい急性炎症を起こすような、進行した歯周病や親知らずの抜歯は、必ず産科の主治医の許可を得て行います。
妊娠後期(妊娠28~39週)赤ちゃんが急激に成長して子宮が大きくなるので、胃が圧迫されて一度にたくさん食べられません。ちょこちょこ食べる必要があるので、むし歯のリスクが上がる時期です。 注意点仰向けで診療を受けると大きくなった子宮に大静脈を圧迫され低血圧症を起こしやすくなります。産科の主治医に相談し、歯科受診の際はチェアの背を少し立ててもらって短時間の応急処置にとどめるなど、体調に合わせた治療計画を立ててもらいましょう。
CHECK妊娠後期の仰向け姿勢で起きがちな低血圧症。からだを左側に傾けると、大静脈の圧迫を避けられ低血圧症を防ぐことができます。足を組み、タオルで背中を固定すると安定します。
※参考書籍 |
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Q7 | 歯科の局所麻酔について、赤ちゃんへの影響は大丈夫ですか? |
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A7 | 歯科の局所麻酔はお産に使われているのと同じ麻酔薬です。赤ちゃんのためにも痛みのストレスを我慢しないようにしましょう。 一般的な歯科治療でもっとも多く使われている麻酔薬リドカインは、無痛分娩や帝王切開にも使われ、妊娠全週で問題なく使用できる麻酔薬です。通常量を使ってもまったく問題ないとされています。 一方、プロピトカインという麻酔薬には、子宮を収縮させ分娩を促進させる作用があるため、妊娠後期の妊婦さんには使用しません。 ※参考書籍 |
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Q8 | 妊娠中の歯科受診ではどんなことに気をつけたらよいですか? |
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A8 | 受診を躊躇するお気持ちもわからないではないですが、悪化する前に受診するほうが小さな治療で終わり、疲れずにすみますよ。 妊娠中だと教えてください妊婦さんの治療では、使用する薬剤を妊娠期に合わせて配慮させていただいています。来院した際には妊娠中だと必ず伝え、「母子健康手帳」をお持ちください。また、産科の主治医に注意を受けていることがあれば教えてください。 治療の相談はお早めに妊婦さんのお口のなかは、妊娠前と比べてむし歯や歯周病が進行しやすくなっています。治療を躊躇すると思わぬ悪化をまねくこともあるので、症状が軽いうちに歯科医院で検査を受け、体調に合わせて治療が受けられるように治療計画について相談しましょう。 産科の主治医にも相談を歯科治療をご希望のかたは、妊婦健診の際に歯科の主治医に相談しておきましょう。妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにかかっていたり、外科などの大きな治療が必要な場合は、必要に応じて歯科と産科が連携し全身状態を把握して治療を進めます。ご安心ください。
CHECK 意外と多い!親知らずのトラブル「親知らずの抜歯を先延ばししている」というかた、多いのでは? 歯ぐきが腫れやすく、むし歯も進行しやすい妊娠中は、急に親知らずが悪化して抜くはめになるかたが意外と多いんです。「将来赤ちゃんが欲しいな」と思ったら、親知らずは抜いておきましょう。
※参考書籍 |
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Q9 | 歯科でもらうお薬について、赤ちゃんへの影響は大丈夫ですか? |
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A9 | お薬の安全性については、お腹の赤ちゃんに実際に試してみるわけにいかないため、確認されているお薬はありません。歯科では、比較的安全性が高いとされるお薬を、その効果が赤ちゃんへの影響を上回ると判断した場合に限り、必要最小限の処方をしています。 ■抗菌薬比較的安全性の高いのがペニシリン系やセファム系の抗菌薬です。ペニシリン系やセファム系の抗菌薬にアレルギーがあるかたには、マクロライド系の抗菌薬が第2選択肢となります。治療上の効果がお腹の赤ちゃんへの影響を上回ると判断される場合に、最小限を処方します。 ■消炎鎮痛剤比較的安全に使用できるとされているのがカロナール、アルピニー、ピリナジン(アセトアミノフェン)です。「妊娠中比較的安全に使用できる」とされていますが(「産婦人科診療ガイドライン産科編2014」)、痛みがありどうしても必要なときにだけ、最小限を処方します。 ※参考書籍 |
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Q10 | 生まれてくる赤ちゃんにむし歯菌をうつしたくありません。今はつわりがひどくて歯みがきがていねいにできないのですがどうしたらいいですか? |
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A10 | 体調のよいリラックスタイムに、1日1回でよいのでていねいに歯みがきしましょう。下を向いて唾液が口のなかに溜まらないようにして歯みがきすると、嘔吐感が刺激されにくくみがきやすいです。 それも無理な場合には、食後に強めのブクブクうがいをしたりキシリトールガムを噛んだりしてつらい時期を乗り切りましょう。小型ヘッドの歯ブラシや柄付きのフロスを使うと嘔吐感を刺激しにくいのでおすすめです。 ※参考書籍 |
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