小児全般

Q11 うちの子は食べるのが遅いと言われます。どうしてでしょうか?
A11

食べるのが遅いのではなく、食べ物を飲み込めないから、食べるのが遅くなるのです。小臼歯でクチャクチャ食べて、大臼歯での臼磨運動をしなければ食塊は舌の舌咽神経を刺激せず、嚥下反射が起こらないからです。

※参考 床矯正研究会

Q12 うちの子は食べるのが早いと言われます。どうしてでしょうか?
A12

食べるのが早いのは、咀嚼をしなくても嚥下をしているからです。理由は、飲み物で流し込んでいるか、食べ物の味が濃いため咀嚼をしなくても、食材の味を楽しんでいないからです。今の子供の30%は味覚音痴です。

※参考 床矯正研究会

Q13 2歳8ヵ月の子どもがいますが、食事に時間がかかります。食が細いし、気が散りやすく、食事がなかなか終わりません。来年幼稚園に上がったらどうなることか、心配です。
A13

好き嫌いと同じく、噛む機能が弱くて時間がかかっている可能性があります。スティックビスケットを奥歯で噛む練習をしてみてください。

そのほか、テレビを見るとお口が止まってしまうとか、食事のたびに怒られて食欲不振になっているなど、理由はいろいろでしょう。ぜんそくや心疾患など全身疾患のあるお子さんも、食事がゆっくりのことが多いです。

「食べ終わるまで食事を終わらせない」ということが習慣化すると、食事が苦役になり悪循環になってしまいます。20~30分で切り上げ、外遊びで気分転換するなど工夫してみてくださいね。

こんなことが原因かも

  • 噛む機能が弱い
  • 気が散る環境で食べている
  • 食事が楽しくない

 

※参考書籍 「nico 2020.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q14 2歳2ヵ月の子どもがいますが、好き嫌いが多くて心配です。ふりかけご飯や混ぜご飯、おにぎり、納豆はよく食べますが、野菜やお肉はなかなか食べてくれません。栄養が心配です。
A14

「やわらかいものは食べても固形物がなかなか食べられない」という場合、噛む機能が弱いのが原因になっていることがあります。離乳後期のモグモグの練習が十分にできていなかった可能性はないでしょうか。

もし思い当たるようでしたら、スティックビスケットなどを奥歯で噛ませて「シャリシャリ」といった音を楽しみながら噛む体験をさせてあげてください。小さく切って徐々に慣らし、無理に丸飲みさせないことが大切です。

 

こんなことが原因かも

  • 噛む機能が弱い
  • 新しい食材に抵抗感がある
  • 歯の噛み合わせが悪くて噛みにくい
  • 歯が生えそろっていない
  • むし歯があり噛みにくい

 

※参考書籍 「nico 2020.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q15 3歳6ヵ月の子どもがいますが、よく噛まず丸飲みします。わりとなんでも食べるのですが、よく見ていると噛まずに飲み込んでいる感じです。
A15

離乳後期にはじまるモグモグとすりつぶす機能が、うまく獲得できていないのかもしれません。離乳食を早く進めすぎたり、逆にいつまでもペースト状のものを食べていると、練習が十分にできずに持ち越してしまうことがあります。

舌でつぶせる程度のやわらかさのもの(卵焼きやハンバーグ、煮大根など)を前歯でかじり取らせたり、奥歯で噛みつぶさせたりして、噛む体験をさせます。また、スティックビスケットを奥歯で噛む練習をしてみてください。

こんなことが原因かも

  • 噛む機能を十分に獲得できていない
  • せかされて食べている
  • まだ哺乳していて舌の使い方が未熟(寝る前に少し飲む程度ならそれほどの影響はありません)

 

※参考書籍 「nico 2020.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q16 上顎の成長と下顎の成長は違うと聞きましたが、どう違うんですか?
A16

小児期に矯正治療を行ううえで考慮しなければならないのは、顎骨に成長変化があることです。スキャモンの発育曲線において、上顎骨は神経系型であり脳や頭蓋骨の成長パターンに準じますが、下顎骨は一般型に属するため、身長が増加する時期に下顎骨成長のピークを迎えます。

スキャモンの発育曲線

スキャモンの発育曲線

※参考書籍
 「これで解決!矯正トラブル」 クインテッセンス出版株式会社

Q17 よく噛むとガンの予防になるって本当?
A17

例えば、食物繊維を多く含む食べ物は、便通をよくして大腸ガンの予防になると言われています。

しかし、歯が悪くて噛めなかったらどうでしょうか?

消化不良を起こすだけで、百害あって一利なしです。一方、合成保存料や食品添加物などは発ガン作用をもつとされています。

しかし、多くの発ガン物質を唾液に30秒間漬けると、発ガン作用(変異原性)が低下すると言われています。これは、唾液に含まれるペルオキシターゼという酵素によるものです。この研究を根拠に「よく噛むとガンの予防になる」と言われています。

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q18 子どもの肥満はどのように評価したらよいのですか?
A18

肥満とは、一般的に「正常な状態に比べて体重が多い状況、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状況」のことを言います。

 

成長期の子どもの肥満の評価は、身長と体重のバランスにより指標の値が異なるため、活用した指標について慎重に評価しなければなりません。小さい頃は太っていても成長とともに解消される子どもたちもたくさん目にします。このような意味では、生涯にわたり生活習慣病を予防できる素地を確立するために、好ましい生活習慣の確立を重視することが大切かもしれません。

 一般的に使用されている指標

1.ローレル指数

学童期の肥満度を評価する場合に適しているが、成長の過程において個人差があることに注意。

「ローレル指数=体重(kg)÷身長(cm)3×107

100以下 やせすぎ
101~115 やせぎみ
115~144 標準
145~159 太りぎみ
160以上(身長150cm) 太りすぎ
170以上(身長130~149cm) 太りすぎ
180以上(身長110~129cm) 太りすぎ

2.肥満度

男女差や年齢差が考慮されており、成長の過程に個人差のある学童期に適しています。

まず、身長別標準体重を以下の表から求めます。

「身長別標準体重=a×実測身長(cm)-b」

 男子

年齢/係数 a b
5歳 0.386 23.699
6歳 0.461 32.382
7歳 0.513 38.878
8歳 0.592 48.804
9歳 0.687 61.390
10歳 0.752 70.461
11歳 0.782 75.106
12歳 0.783 75.642
13歳 0.815 81.348
14歳 0.832 83.695
15歳 0.766 70.989
16歳 0.656 51.822
17歳 0.672 53.642

 女子

年齢/係数 a b
5歳 0.377 22.75
6歳 0.458 32.079
7歳 0.508 38.367
8歳 0.561 45.0006
9歳 0.652 56.992
10歳 0.730 68.091
11歳 0.803 78.846
12歳 0.796 76.934
13歳 0.655 54.234
14歳 0.594 43.264
15歳 0.560 37.002
16歳 0.578 39.057
17歳 0.598 42.339

 

※「児童生徒の健康診断マニュアル(平成18年3月31日改訂版) 日本学校保健会発行」より引用

次に、肥満度を求め、下記の肥満度判定基準表から判定します。

「肥満度=(実測体重(kg)-身長別標準体重(kg))÷身長別標準体重(kg)×100」

-30%以下 高度痩身
-20%以下 痩身傾向
20~30%未満 軽度肥満
30~50%未満 中等度肥満
50%以上 高度肥満

 

3.BMI

身長の変化で判定結果が大きく変わるため学齢期には向かず、成人での使用が一般的です。

「BMI=体重(kg)÷身長(m)2)」

18.5未満 やせぎみ
18.5以上 標準
25以上 肥満度1
30以上 肥満度2
35以上 肥満度3
40以上 肥満度4

 

※「日本肥満学会による肥満の判定基準(1999.10 新基準)」

4.子どものメタボリックシンドローム

上述のように、成長期の子どもの肥満の評価は難しいのですが、一方で子どもの肥満の多くは成人肥満に移行すると言われており、高度な肥満は小児期からでも生活習慣病に罹患しています。

厚生労働省の研究班により、6~15歳を対象とした「メタボリックシンドロームの判定基準」が作られました。

1 赤信号

小学生:胴囲75cm以上

中学生:胴囲80cm以上

1 黄信号 ウエスト÷身長(cm)=0.5以上
2 血圧

収縮期 125mmHg以上

拡張期 70mmHg以上

3 空腹時血糖値 100mg/dl以上
4 高脂血症

中性脂肪 120mg/dl以上

HDLコレステロール 40mg/dl未満

 

・1(赤信号・黄信号)に該当し、かつ2~4の血液検査項目が2項目以上該当する子ども

→小児メタボリックシンドローム

・1(赤信号・黄信号)のみ該当する子ども

→小児メタボリックシンドローム予備軍

 

※参考書籍
 「歯と口から伝える食育」
 岡崎 好秀・武井 典子 編著  東山書房

Q19 MFTって何?
A19

MFTとは、「嚥下時の正しい舌の動きや安静時の舌位を訓練する療法」のことです。そして、MFTは嚥下だけを訓練の対象にするのではなく、咀嚼、嚥下、安静時における舌や口唇の姿勢位など、口腔周囲筋を調和させる療法です。その結果、舌突出癖症例によくみられる舌の前方位や低位などの悪いパターンを正常にし、開咬症状や口腔周囲筋の不調和が改善されていきます。

 

●MFTの目的

1)正しい嚥下を指導し、調和のとれた口腔内の環境をつくる

2)口唇の閉鎖(lip seal)

3)開咬症状の改善により発音が良くなる
 【frontal lisp(前方化リスプ)、lateral lisp(側方化リスプ)の改善)】

4)矯正治療中の舌圧、舌位の抵抗を減少し、矯正治療後の舌・口腔周囲筋の調和をはかること

などがあります。

 

※参考書籍
 「MFT臨床 指導力アップ・アドバンス編」
 監修者 山口秀晴、大野粛英、高橋 治、橋本律子 わかば出版

Q20 乳児期の発達について、口腔に関係したものを教えてください。
A20

口腔に関連した乳児期の発達についてまとめた文献がありますのでご紹介します。

木原秀樹:赤ちゃんの発達地図、メディカ出版、大阪、2014、23-148.

0-1ヶ月

顔に手を近づけるようになります。

1-2ヶ月

顔が向いた方の手をしゃぶるようになります。

3-4ヶ月

母指をしゃぶるようになります。

4-5ヶ月

おもちゃをしゃぶるようになります。

舌を前上方に出すようになります。

5-6ヶ月

舌を前後に動かし離乳初期食を食べるようになります。

6-7ヶ月

口唇が薄くなる動きをします。足を口へ持っていくようになります。

7-8ヶ月

口唇の動きが豊かになってきます。喃語を発声します。

舌を上下に動かし離乳中期食を食べるようになります。

8-9ヶ月

なんでも口へ運ぶようになります。

9-11ヶ月

舌を左右に動かし離乳後期食を食べるようになります。

 

※参考書籍
 「月刊 小児歯科臨床 2016.7」 東京臨床出版株式会社

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