小児矯正
Q1 | 子どもが反対咬合なのですが、ムーシールドで治療できると聞きました。ムーシールドについて教えてください。 |
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A1 | ムーシールドは、オトガイ筋の緊張と口唇閉鎖力を利用しながら、舌を挙上させることによって反対咬合を改善する装置です。 ムーシールドの治療目標
ムーシールドの作用機序
これらにより、被蓋改善、咬合平面の是正、舌位の挙上、口唇閉鎖力の獲得などの効果を図ることができます。 ムーシールドのトラブル対応装着期間中、起こり得るトラブルとして、次のようなものがあります。
ムーシールドの装置に慣れるまでは1ヶ月ほどはかかります。 ※参考書籍 |
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Q2 | うちの子、歯並びが気になります。いつから治療をはじめるのがいいですか? |
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A2 | 私たちの医院ではなるべく早くはじめることをおすすめしています。 早期治療は、乳歯列期や混合歯列期から実施可能なあらゆる介入や治療を指します。歯性や骨格性の不正を最小限に食い止め、子どもの正常な成長発育や咬合、機能、審美性、精神面を健全な状態へと導きます。つまりこの介入の目的は、咬合が良好に発育する環境を整えることにあります。 目的乳歯列期や混合歯列期に開始する治療の目的は以下のとおりです。
理論的根拠早期治療を推奨する根拠として、重要なポイントは以下のとおりです。
時期
早期治療のゴール早期介入の戦略と治療法では、以下のようなゴールを目指す
※参考書籍 |
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Q3 | 小児期の矯正にはどんな意義があるのですか? |
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A3 |
早期矯正治療について、その人にとってどのように歯が生えてくるのか(生体に備わった素質)によって次のような意義が述べられています。
1.生体に備わった素質が正常咬合への方向をもっており、何らかの環境によってそこから外れてしまった場合早期治療によって永久歯に生えかわった後の治療を不要にすることができます。
2.生体に備わった素質が正常咬合からやや外れている場合早期治療による抑え込みによって、永久歯での治療を不要にできる場合もあります。しかしこの範囲は一般的に想像されているよりも狭く、多くは後の成長発育によって本来の素質が再現し、再度の矯正治療が必要となります。
3.生体に備わった素質が正常咬合から大きく外れている場合成長発育に伴ってさらにその傾向が強くなります。
早期矯正治療の意義は、全ての患者さんの本来の素質を正常咬合へと変えようとすることではありません。個々の患者さんの本来の素質を見極め、それを尊重しながら早期矯正治療の必要性と治療目的を見極めることにあります。早期矯正治療を行うかどうかは、肉体的な要因に加え、精神的、社会的要因も考慮し判断します。当然、永久歯列期の矯正治療を行う可能性も十分考慮して治療計画を立案しなければなりません。
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Q4 | 歯列不正の原因を教えてください。 |
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A4 | 歯列不正の原因とその分類について、下記の表を参考にしてください。
※参考書籍 |
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Q5 | 下顎前突(下の前歯が上の前歯より噛んだときに前に出ている・しゃくれ)の場合、どうしたらいいですか? |
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A5 | 下顎前突は乳歯列期からの早期の治療開始が必要です。 4~5歳で治療開始下顎前突は直接的に顔の成長に悪影響を及ぼします。そのため、治療が理解できる年齢である4~5歳で治療を開始し、第一次成長期終了の6歳までに治すのが最善です。前歯の交換前であれば、機能性の問題を解決すればすむケースがほとんどです。前歯の交換により逆被蓋が改善することもありますが、早期に治療を行った方が顔の成長に悪影響を残しません。 7歳以降での治療開始7歳頃に上下額の中切歯が萌出すると、機能の改善だけでなく、床矯正装置で歯列を改善する必要があります。上顎の成長を促すことで顔貌への影響をできるだけ残さないようにします。 10歳以降での治療開始第二次成長期が始まる10歳以降は、機能と歯列だけでなく骨格性の問題が生じることが多く、難症例化します。上顎は10歳頃に成長のピークを迎えるため、劣成長を改善するのが難しく、前方に過成長してしまった下顎を後方に下げることは不可能です。 下顎の小臼歯を抜歯するカモフラージュ治療や、顔貌を改善するための外科矯正を示唆して治療を進める必要があります。 【参考】下顎前突の治療時期
※参考書籍 |
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Q6 | 子どものうちに拡大矯正治療やマウスピース治療をすれば良くなりますか? |
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A6 | すべての患者さんが良くなるわけではありません。 |
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Q7 | うちの子、前歯が永久歯に生え替わったら、とたんに歯並びがゴチャゴチャです。なぜこんなことになっちゃったのでしょう? |
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A7 | 乳歯がキチキチに並んでいませんでしたか?5歳前後で乳歯に隙間ができてこない場合、将来は並びが悪くなる可能性が高いのです。 |
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Q8 | 昔、矯正治療で反対咬合を治療しました。せっかく治ったのに成長とともに再発してきました。どうしたらいいですか? |
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A8 | 第一期の矯正治療で改善した後、反対咬合が再発した場合は、成長終了後まで経過観察が必要です。 成長期中に第二期の矯正治療が行われた場合、下顎骨成長によっては、治療期間の延長や治療途中での計画変更をすることがあるためです。
※参考書籍 |
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Q9 | 歯並びの悪さは遺伝するの? |
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A9 | 歯の大きさは遺伝しますが、歯並びはアゴの骨の発育次第です。 歯の大きさを決定する因子は親譲りですが、歯を支えるアゴの骨の大きさは、18歳までの発育段階で決まっていきます。アゴの骨を小さくする主な要因は、咀嚼回数の少なさや歩行回数の少なさといった、子供の頃の生活習慣です。アゴの骨が小さいまま大人になったけど、アゴに収まる歯の大きさは変わらないので、必然的に八重歯や乱杭歯になるのです。 遺伝要因が強い部位・顔の長さ(丸顔や面長など) ・鼻の形 ・唇(大きさや厚み) 環境要因が強い部位・歯並び ・顎の形
※参考書籍 「歯科に役立つ遺伝学」 |
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Q10 | 歯並びとしつけの厳しさは関係するの? |
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A10 |
食事中の姿勢が悪い子供は、大人になって歯並びが悪くなります。 「椅子に腰かけて足をブラブラさせた状態と正座とで、食事中の咀嚼回数を調べたところ、正座した方が回数が多いことがわかりました。」 ※参考書籍 |
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