小児・妊娠中の治療について
Q21 | 歯列不正の原因を教えてください。 |
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A21 | 歯列不正の原因とその分類について、下記の表を参考にしてください。
※参考書籍 |
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Q22 | 下顎前突(下の前歯が上の前歯より噛んだときに前に出ている・しゃくれ)の場合、どうしたらいいですか? |
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A22 | 下顎前突は乳歯列期からの早期の治療開始が必要です。 4~5歳で治療開始下顎前突は直接的に顔の成長に悪影響を及ぼします。そのため、治療が理解できる年齢である4~5歳で治療を開始し、第一次成長期終了の6歳までに治すのが最善です。前歯の交換前であれば、機能性の問題を解決すればすむケースがほとんどです。前歯の交換により逆被蓋が改善することもありますが、早期に治療を行った方が顔の成長に悪影響を残しません。 7歳以降での治療開始7歳頃に上下額の中切歯が萌出すると、機能の改善だけでなく、床矯正装置で歯列を改善する必要があります。上顎の成長を促すことで顔貌への影響をできるだけ残さないようにします。 10歳以降での治療開始第二次成長期が始まる10歳以降は、機能と歯列だけでなく骨格性の問題が生じることが多く、難症例化します。上顎は10歳頃に成長のピークを迎えるため、劣成長を改善するのが難しく、前方に過成長してしまった下顎を後方に下げることは不可能です。 下顎の小臼歯を抜歯するカモフラージュ治療や、顔貌を改善するための外科矯正を示唆して治療を進める必要があります。 【参考】下顎前突の治療時期
※参考書籍 |
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Q23 | 子どもへの受動喫煙の影響について教えてください。 |
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A23 |
確実な受動喫煙関連疾患としては、虚血性心疾患、肺がん、副鼻腔がん、低体重出生、乳児突然死症候群、中耳炎(小児)、急性下気道感染症(小児)、気管支喘息(小児)、慢性呼吸器症状(小児)の9種が知られています。 ※参考書籍 |
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Q24 | 子どものうちに拡大矯正治療やマウスピース治療をすれば良くなりますか? |
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A24 | すべての患者さんが良くなるわけではありません。 |
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Q25 | 子どもの口腔習癖は歯並びに影響すると聞きました。口腔習癖について詳しく教えて下さい。 |
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A25 | 小児に好発する口腔習癖一覧(歯列への影響と好発時期)
*小児に好発する口腔酒癖としては、吸指癖(指しゃぶり)、おしゃぶりの長期使用、口呼吸・口唇閉鎖不全、咬唇癖、舌癖、咬爪癖などがあげられます。口腔内診察の際に歯列や咬合に異常があると思われる場合は、習癖による影響があるかもしれません。 ※参考書籍 |
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Q26 | 親子で定期的にメインテナンスを受けると子どものむし歯予防の効果が高いそうですね?なぜでしょう? |
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A26 |
親御さんのお口の中がきれいになってむし歯菌の親子感染が減るのも一因でしょうが、見逃せないのが、ご家族の予防意識の変化です。親御さんもいっしょに実践してくださることでお子さんにも「予防するのは当たり前」という意識が生まれ、定着しやすいのだと思います。
※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q27 | 味覚をもつことの意味を教えてください。 |
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A27 |
味覚情報は唾液や消化液の分泌促進、消化管の運動促進さらに嚥下や嘔吐にも関係します。 一次感覚神経から伝達された味覚情報により、嚥下・嘔吐の誘発や消化液の分泌促進、消化管の運動促進あるいは食事を味わった時の表情などが反射的に生じます。 また記憶とも関連しており、食べたことのない食物は美味しいとは感じません。 味覚は味を識別するだけでなく、いろいろな感覚を総合した感覚で、食行動に影響を与えています。
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Q28 | 小児歯科で味覚は重要なのですか? |
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A28 |
味は味蕾という場所で感じます。 胎児には顔から胸にかけて味蕾が分布しており、胎生3~4ヶ月位から羊水の味を通して味覚の形成が始まります。母親の食べたものが羊水の味に反映しますので、その羊水の味によって胎児の反応も変化することが知られています。ですから、母親が妊娠中にアルコールやタバコを摂取することは好ましいことではありません。
出生後の乳児では、味蕾の数は成人よりも1.3倍多く、舌表面のみならず、母乳を飲むときに好位置である軟口蓋、咽頭などにも広く分布しています。 食塩水(塩味)、酒石酸(酸味)に対しては成人の2分の1の濃度(薄味)で反応するので、乳児は成人よりも味覚に対しては敏感といえるでしょう。 離乳の開始時期である4~5カ月頃までの味覚反応は主として反射型によるもので、この離乳期からの味覚体験は、成人になってからの食生活に影響します。 3歳頃までには様々な食品の味を体験することで学習型の味覚反応に移行していきます。特に、苦味や酸味、辛味があり、匂いが強い野菜類(ピーマン、ニンジン、シイタケ、ニンニク、ネギなど)は幼児が嫌いな食べ物となり偏食を生みます。 5歳以降では、さまざまな新しい味、複雑な味を経験し、学習としての味覚体験から「嗜好性」が形成されていきます。
小児と成人の味覚閾値の比較幼児(4~6歳、25名)・学童(7~12歳、29名)と成人(22~34歳、35名)を測定・比較した研究があります。 5基本味のうち、甘味(ショ糖液)、塩味(食塩液)、酸味(クエン酸液)について、全口腔法、上昇系列(低濃度から高濃度へ)で、味の認知閾値についての測定を実施しました(小児の嫌がる苦みについては検査していません)。合わせて味付けの傾向、好きな食品、離乳食の内容なども調査しました。
結果甘味・・・小児の方が成人よりも、閾値が低い(敏感である) 塩味・・・小児の方が成人よりも、閾値が高い(鈍感である) 酸味・・・小児と成人で閾値に有意差がなかった
このことから、小児は甘味に対して感受性が大きく、生命維持に必須な糖分摂取に重要な機能と思われ、乳児では母乳の味や味蕾の数とも関連し、さらに敏感と思われます。 塩味については、もともと必須摂取量が不足することはほとんどないため、年齢と共に嗜好食品を通じて感受性が発達し、成人の方が敏感になると思われます。 酸味は、苦味と同様に、生体にとって腐敗物や毒物に対する防御反応の意味合いが強いので有意差がないと思われました。酸味(酢の物、黒酢ドリンクなど)、苦味(ニガウリ、ビールなど)では、嗜好と関連して成人になるに従い受容性に個人差が出てくるようです。
アンケート調査から、離乳食の味(うす味)に気を付けた群では、甘味、塩味、酸味のいずれも閾値が低く(敏感)、味質の識別もはっきりしている傾向にあったことは、小児歯科にとって注目すべき結果と思われます。
※参考書籍 |
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Q29 | うちの子、前歯が永久歯に生え替わったら、とたんに歯並びがゴチャゴチャです。なぜこんなことになっちゃったのでしょう? |
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A29 | 乳歯がキチキチに並んでいませんでしたか?5歳前後で乳歯に隙間ができてこない場合、将来は並びが悪くなる可能性が高いのです。 |
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Q30 | 学校歯科健康診断結果にある「CO(シーオー)」、「GO(ジーオー)」って何ですか? |
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A30 |
「CO」は、まだ穴が開いていない初期むし歯のことです。食習慣や歯みがきを改善すれば進行を止められるのでそのための指導と経過観察が優先されます。上手に管理すれば健全歯に戻ることもあります。 「GO」は、歯ぐきに軽度の炎症がある状態のことです。歯みがきをていねいにすれば改善します。 また、「G」とは、治療が必要な歯周病のことです。歯ぐきにかなりの腫れがありますので、歯科医院で歯石を取り治療しましょう。
※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」 |
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