小児・妊娠中の治療について
Q11 | 学校歯科健康診断って何ですか? |
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A11 |
学校歯科健康診断とは、「学校保健安全法」に定められ、文部科学省の指導のもとで行われている児童や生徒のためのお口の健康チェックです。 その目的は、お子さんたちのお口の健康度をスクリーニングし、その結果をお子さんと保護者の方にお伝えして、お子さんのお口の健康の保持・増進に役立てていただくことにあります。
また、学校の健康診断は、学校という教育の場で行われるだけに、その最終目標は子供たちの健康教育に置かれています。もしも「むし歯」という課題を持っているなら、「歯医者さんに診てもらわなくちゃ」とか、「おやつのダラダラ食べはやめよう」といった、問題を解決するために行動できる力、つまり、自分の健康を自分で守っていく「生きる力」を養うことが、学校歯科健康診断の最終的な教育目標とされています。
※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q12 | うちの子どもは歯磨きを嫌がるのですが、なぜでしょうか?歯磨き嫌いを治すのはどうしたらいいですか? |
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A12 | 歯磨きを嫌がる理由は、保護者の要因と子どもの要因があります。 保護者の要因
→歯磨きのテクニックの問題
→保護者の心理的な問題 子どもの要因
→呼吸の問題、上顎前歯部など口腔の過敏の問題など
→子どもの心理的な問題
まずはお子さんの好きなキャラクターの歯ブラシを購入して歯みがき粉もお子さんの好きなものを選ばせてみて下さい。歯みがきもお母さんが無理やりしてあげるのではなく最初はお子さんとお母さんが一緒に歯みがきをしてみてはいかがですか? 歯みがきを嫌がったときには無理に歯みがきをしなくてもフッ素洗口やフッ素ジェルなどで代用するのもいいでしょう。 出来れば週に1、2回はお母さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。 ※参考書籍 |
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Q13 | 小2の娘が歯科検診の結果を持ち帰りました。永久歯にむし歯があるらしく大ショックです。これから大事な永久歯を守っていくにはどんなことに気をつけるとよいですか? |
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A13 | 永久歯が生えると、みがく場所も範囲もガラリと変わるので注意が必要です。この機会に歯科医院でブラッシング指導を受け、フッ素やシーラントで予防していきましょう。 |
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Q14 | 学校から歯科健康診断の結果の紙がきました。うちの子はむし歯の検査が必要だそうです。学校で歯医者さんにもう診てもらっているのに、なぜ歯科医院でも検査を受けるのですか? |
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A14 |
学校歯科健康診断は、病気の確定診断ではなくお口の健康度のスクリーニングだからです。経過観察でよいか、詰める必要があるかといった確定診断には、歯科医院の精密な検査が必要です。
学校歯科健康診断は「お口の健康度のスクリーニング」
お口の健康度を「とくに問題なし」「軽度の問題があり経過観察が必要」「歯科医師による精密検査と診断、適切な治療や相談が必要(受診のおすすめ)」の3つに分けてお知らせします。
歯科医院の検診は「治療方針の決定と必要な精密検査と確定診断」
エックス線写真を撮ったり、う蝕探知機でむし歯の進行度を測定したり、歯周ポケット検査を行って歯周病の進行度を測定するなどして精密に調べます。
※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q15 | 子どもの歯を見てもらいたいのですが、レントゲンを撮ると言われました。放射線は大丈夫なのでしょうか? |
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A15 | レントゲン撮影の放射線量は海外旅行に行くより低い量ですので、ご安心ください。レントゲン写真を撮影すると、あごのなかで永久歯が無事に育っているかどうか、これから先の歯の生え替わりを診ることができます。外から診てもわからない欠如歯、過剰歯の発見にも、レントゲン撮影が必須です。 先天欠如は決して珍しくありません。早期発見できると、予防を進めながら、矯正治療を含めた将来的な治療計画を立てることもできます。 また過剰歯の場合は、永久歯が生えるのを邪魔することがあるので、場合によっては早めに取り除き、その後の歯並びへの影響を診ていく必要があります。 左の歯はとっくに生えたのに右がちっとも生え替わらない、奥歯は生えたのに前歯はまだなど、気になることがありましたら、小児歯科でご相談ください。
※参考書籍 「nico 2020.8 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q16 | 指しゃぶりはいつ、どのようにやめさせるといいのですか? |
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A16 | 指しゃぶりは小児にみられる口腔習癖のひとつです。 1~2歳児の指しゃぶりは生理的なもので、口蓋へのタッチを楽しんでいるのでしょうから、まだ無理にやめさせなくてもよいでしょう。3歳近くなったら少しずつ減らしていき、多くの場合は外遊びを始める4~5歳までにはだんだん減っていき、やがて自然となくなります。 成長しても指しゃぶりが治らないケースは注意が必要です。長期にわたる指しゃぶりは、歯の健全な発育に悪影響をもたらすことがあるからです。 乳幼児の弱い歯ややわらかい歯肉は変形しやすく、指しゃぶりを続けていると出っ歯や開口といって、前歯がかみ合わず開いたままになってしまうといった歯並びやかみ合わせの異常を起こします。また、あごの関節や口の周りの筋肉の発達にも影響してきます。このように、審美的な問題だけでなく、機能的な問題を引き起こすことも考慮して対応しなければなりません。口腔習癖への対応を行う際は、小児の成長発育を十分考慮した対応を行うことが必要です。 指しゃぶりがなくならない原因は、乳幼児期の指しゃぶりが習慣化してくせになっていたり、心理的な要因でも引き起こされると言われています。無理にやめさせるのではなく、お子さまと積極的にスキンシップを取って気持ちを安定させてあげることも大切です。また、指しゃぶりのよくない理由を優しく説明してあげて徐々にやめさせるようにしましょう。4~5歳になっても指しゃぶりが治らないようでしたら、歯医者さんに相談しましょう。 学童期以降の口腔習癖は、保護者も小児自身も気づきにくい習癖が増えてきます。まずは習癖があることを意識させることが大切です。 口腔習癖除去のためには、小児自身の習癖をやめたいという気持ちを引き出すことが最も重要です。
下記に指しゃぶりの考え方と対応をステージごとにまとめましたのでご一読ください。 胎児期→乳児期→幼児期 前期→幼児期 中期とステージが進むにつれて、みまもる時期となります。 1)胎児期
対応胎児期の指しゃぶりは、口のまわりの感覚が発達するはじまりです。 生まれてすぐに、母乳、ミルクを飲むための練習として重要な役割となります。 2)乳児期
対応指しゃぶりやおもちゃしゃぶりは、ミルク以外の食べ物をとる練習に重要な行動で、清潔なおもちゃで口遊びをさせることも重要です。 3)幼児期 前期
対応この頃の指しゃぶりは、発達期の生理的なものですので、あまり神経質にならず、子どもの生活全体を温かくみまもることが大切です。 4)幼児期 中期
対応生活のリズムを整えることが大切です。 外遊びや手や口を使う遊びを増やし、子どもとのスキンシップをはかり指しゃぶりをやめるようなきっかけを与えましょう。 昼夜の頻繁な指しゃぶりは、積極的なはたらきかけが必要になります。
※参考書籍 「子どもの健やかなお口をつくる」 |
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Q17 | 小児の外傷について教えて下さい。 |
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A17 | ●外傷後に見られる特徴1.歯冠の変色脱臼性の損傷後は歯冠の変色が起こりやすくなります。受傷当初は歯髄内の充血によるものが多く、やや赤みを帯びることがあります。受傷後3ヶ月以降には、歯髄壊死による灰褐色の変色が始まります。 2.歯髄の壊死根未完成歯ほど発生しにくい傾向にあります。脱臼性損傷では、根尖部における循環障害に陥りやすく、歯髄壊死が生じやすくなります。 3.歯根の吸収炎症性の歯根吸収は、感染歯髄を放置することで象牙細管を通過した壊死物質や細菌が歯根表面に達して炎症反応が起き、その結果出現する破骨細胞によって引き起こされます。歯髄壊死の早期発見と治療により、拡大を防止することができます。 ●歯冠破折の治療法(Sane J : Maxillofacial and dental injuries in contact team sports. Proc Finn Dent Soc, 84 : 1-45, 1998.) 1.不完全破折(亀裂)冷水痛がある場合には、エナメル質表面をレジンでコーティングします。 2.露髄を伴わない破折破折片がある場合には、できるだけ破折片を接着します。 3.露髄を伴う破折根未完成歯では、露髄の程度と状況に応じて、直接覆髄か部分生活断髄法、あるいは生活断髄法を行います。そして、覆髄面を含めた破折面を封鎖性が確実なセメント、または接着性レジンで仮封します。破折片がある場合には、水に浸漬し冷蔵庫で保管します。1,2ヶ月後、仮封剤を除去し、歯冠形態を回復します。 根完成歯で露髄面が新鮮な場合(受傷後、おおむね24時間以内のもの)には、根未完成歯と同じ方法で治療します。露髄面が陳旧性である場合には、抜髄または根管治療を実施します。 ●歯根破折の治療法(Sane J : Maxillofacial and dental injuries in contact team sports. Proc Finn Dent Soc, 84 : 1-45, 1998.) 1.歯根破折受傷歯は隣在歯を固定源として2、3ヶ月間、しっかりと固定します。変色などの歯髄壊死の徴候が現れるまで根管治療は行いません。 2.歯冠・歯根破折歯冠部歯髄まで達している場合には、歯冠破折の露髄を伴う治療法に準じて対応します。歯肉縁下深部にまでおよぶ場合には、歯の保存が難しくなり、抜歯することになります。 ●脱臼の治療法脱臼性の外傷に対する治療法はこちらをご覧下さい。 ※参考書籍 |
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Q18 | 乳歯が虫歯になりました。治療のために神経を抜くとその後に生えてくる永久歯に影響がありますか? |
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A18 |
乳歯の神経と永久歯の神経は同一と考えられる方がおられますが、別ものです。 しかし、ばい菌が残っていて乳歯の根っこが膿んでいる状態ですと、永久歯が白濁色や褐色に着色して萌出することがあります。このような場合、乳歯の神経を抜くことになります。神経を抜くと、歯根の吸収が上手く行われず、永久歯の萌出位置がずれる場合もあります。 乳歯であっても虫歯にならないようにしっかりケアしましょう。 |
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Q19 | 小児期の矯正にはどんな意義があるのですか? |
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A19 |
早期矯正治療について、その人にとってどのように歯が生えてくるのか(生体に備わった素質)によって次のような意義が述べられています。
1.生体に備わった素質が正常咬合への方向をもっており、何らかの環境によってそこから外れてしまった場合早期治療によって永久歯に生えかわった後の治療を不要にすることができます。
2.生体に備わった素質が正常咬合からやや外れている場合早期治療による抑え込みによって、永久歯での治療を不要にできる場合もあります。しかしこの範囲は一般的に想像されているよりも狭く、多くは後の成長発育によって本来の素質が再現し、再度の矯正治療が必要となります。
3.生体に備わった素質が正常咬合から大きく外れている場合成長発育に伴ってさらにその傾向が強くなります。
早期矯正治療の意義は、全ての患者さんの本来の素質を正常咬合へと変えようとすることではありません。個々の患者さんの本来の素質を見極め、それを尊重しながら早期矯正治療の必要性と治療目的を見極めることにあります。早期矯正治療を行うかどうかは、肉体的な要因に加え、精神的、社会的要因も考慮し判断します。当然、永久歯列期の矯正治療を行う可能性も十分考慮して治療計画を立案しなければなりません。
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Q20 | 学校歯科健康診断の流れを教えてください。 |
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A20 |
事前準備 保険調査票(アンケート)の記入2016年から毎年全学年の保護者の方に、学校歯科健康診断のための事前準備として保険調査票(アンケート)をお願いすることになりました。お子さんのお口の健康度のスクリーニングをより効果的に行うために役立てますので、気になることなどありましたらお教えください。 学校歯科健康診断 保険調査票を確認しながら診断・骨格のゆがみ ・顎関節 ・歯並びや噛み合わせ ・歯垢の付着度 ・歯ぐきの状態 ・歯の状態 ・その他気になっていること
学校は保護者あてに「健康診断結果のお知らせ」を作成し、クラス担任を通じてご家庭に通知します。 また、学校歯科医は健康診断の結果を分析して、歯科の健康教育や保健指導を校内で行うように提案します。
※参考書籍 「nico 2016.4 クインテッセンス出版株式会社」 |
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