他疾病の治療中の方
Q101 | MRONJ患者への歯肉炎や歯周炎の治療(歯周治療)はしてもよいのでしょうか? |
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A101 | 歯周治療は非外科的アプローチが基本となります。 ポケットプロービングとスケーリング・ルートプレーニングについては通常通り行ってよいと考えられています。 また、わずかな骨整形をともなう侵襲性の低い歯周外科手術であれば行うことは可能かもしれません。 MRONJのリスク因子は、下記を参考にしてください。 ※参考書籍
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Q102 | MRONJハイリスクで薬剤を使用しています。抜歯はしてもよいでしょうか? |
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A102 | 保存不可能は歯は抜歯すべきで、場合によっては予後不良な歯も抜歯を検討します。
※参考書籍
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Q103 | 薬剤の種類、投与方法、投与期間によってMRONJのリスクは変わるのですか? |
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A103 | ■薬剤の種類や投与期間によりMRONJの発生頻度は異なります。 ■これまではビスフォスフォネート静注薬が投与されている悪性腫瘍の患者さんでの顎骨壊死発生率は、ビスフォスフォネート経口薬投与の患者さんに比べて高いというデータがありましたが、2016年には「経口薬と注射薬は同等の発症」とされています。 ■ビスフォスフォネートあるいはデノスマブの投与期間が長いほど、顎骨壊死のリスクが高くなります。 ■血管新生阻害薬(スニチニブ、ソラフェニブ、ベバシズマブ、シロリムス)も顎骨壊死を誘発します。
※参考書籍 「外来・訪問診療のためのデンタル・メディカルの接点」 |
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Q104 | ビスフォスフォネート(BP)の種類について教えてください。 |
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A104 |
※参考書籍 |
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Q105 | ビスフォスフォネート関連顎骨壊死のリスク因子にはどんなものが考えられますか? |
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A105 | A.薬剤によるもの(骨吸収抑制薬の種類、投与経路)■窒素含有ビスフォスフォネートのほうが、非含有(エチドロネートなど)よりもハイリスク ■累積投与量
B.局所的要因■根尖性歯周炎・歯周病の存在 ■侵襲的歯科処置(主に抜歯) ■口腔衛生状態の不良 ■骨隆起(被覆粘膜が菲薄で、骨露出を生じやすい) ■義歯による褥瘡性潰瘍
C.全身的要因および併用薬剤■糖尿病の合併 ■コルチコステロイドの全身投与 ■抗がん剤・免疫抑制薬 ■血管新生阻害薬 ■喫煙・飲酒 ■その他、高齢・口腔衛生状態の不良
D.遺伝的要因■SNPs(MMP-2、チトクロームP450-2Cなど)
※参考書籍 「歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本」 |
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Q106 | MRONJに罹患したのですが、どんな治療法があるのでしょうか? |
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A106 | リスクを有する患者MRONJステージング ■明らかな骨壊死を認めないが、経口的または経静脈的に骨吸収抑制薬や血管新生阻害薬が投与されている患者 治療法 ■治療の必要はない ■患者の教育
ステージ0MRONJステージング ■骨壊死を認めないが、非特異的な臨床所見やエックス線学的変化や症状がある 治療法 ■鎮痛薬、抗菌薬使用などの全身的管理
ステージ1MRONJステージング ■無症状で感染をともなわない骨露出や骨壊死またはプローブで骨を触知できる瘻孔 治療法 ■抗菌性洗口薬の使用 ■3カ月ごとの経過観察 ■患者教育とビスフォスフォネート投与の適応についての再評価
ステージ2MRONJステージング ■感染をともなう骨露出、骨壊死またはプローブで骨を触知できる瘻孔 ■骨露出部に疼痛、発赤をともない、排膿がある場合と、ない場合がある 治療法 ■抗菌薬による対症療法 ■抗菌性洗口薬の使用 ■疼痛コントロール ■軟組織への刺激を軽減させるためのデブリードマンと感染対策
ステージ3MRONJステージング ■疼痛、感染また1つ以上の下記の症状をともなう骨露出、骨壊死またはプローブで触知できる瘻孔 ■歯槽骨を越えた骨露出、骨壊死(例えば、下顎では下顎下縁や下顎枝にいたる。上顎では上顎洞、頬骨にいたる。)その結果、病的骨折や口腔外瘻孔、鼻・上顎洞口腔瘻孔形成や下顎下縁や上顎洞までの進展性骨溶解 治療法 ■抗菌性洗口薬の使用 ■抗菌療法と疼痛コントロール ■感染ならびに疼痛を長期的に軽減させるための外科的デブリードマン/切除
※MRONJステージング 顎骨の放射線療法の既往がない骨吸収抑制薬と/または血管新生阻害薬を投与された患者で、顎顔面領域に8週間以上治癒しない、骨露出やプローブで触知できる骨
※治療法 病期に関係なく、分離した腐骨片は非病変部の骨を露出させることなく除去するべきである。露出壊死骨内の症状のある歯は、抜歯しても壊死過程が憎悪することはないと思われるので、抜歯を考慮するべきである。
※参考書籍 |
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Q107 | 顎骨壊死を誘発する薬剤にはどんなものがありますか? |
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A107 | 骨吸収抑制薬と血管新生阻害薬に加え、さまざまな薬剤がその可能性をもっています。 しかし、すべての骨粗鬆症治療薬がMRONJを引き起こすわけではありません。顎骨壊死を引き起こすことがはっきりとわかっている薬剤は、BP製剤とデノスマブの2種類だけ1)~4)です。 BP製剤とデノスマブ以外の薬剤は、その病理組織像を詳細に調べていないことや報告数が少ないため、あえて「MRONJに類似した疾患」としています。 骨粗鬆症や悪性腫瘍などの患者さんはBP製剤やデノスマブを投与していることもありますので、問診にてお聞きしたり、お薬手帳を見たり、または医科主治医に紹介状を書いたりして確認します。
薬剤の適応症 骨吸収抑制薬は、次のために使用されます。 1.悪性腫瘍の高カルシウム血症 2.乳がん・前立腺がん・肺がんなどの固形腫瘍における骨転位に関連した骨関連事象 (skeletal related event:SRE) 3.骨密度を増加して骨折の予防
ビスフォスフォネート経口薬は、骨粗鬆症治療の第1選択薬のため、超高齢社会の日本では頻用されています。慢性関節リウマチなどでコルチコステロイドを投与している患者さんでは、コルチコステロイド性骨粗鬆症を予防するためにビスフォスフォネートを投与している場合があります。
血管新生阻害薬は、胃・腸腫瘍、腎細胞がん、膵神経内分泌腫瘍、非小細胞肺がん、肝細胞がんなどに有効です。
※骨関連事象(SRE)とは? 痛み、病的骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症は、がんの骨転位に伴う症状です。 この痛みを除く、1.病的骨折、2.脊髄圧迫、さらにこれらに関連した3.放射線療法、4.外科療法、を合わせた4つの事象(高カルシウム血症を含めることがある)をまとめて、骨関連事象(skeletal related event:SRE)と称します。骨転移診療ガイドラインでは、ゾレドロネート、パミドロネート、デノスマブは、骨転移を有する肺がん、乳がん、前立腺がん、多発性骨髄腫に対して、SREを抑制するために有効であるとされています。 1)Ruggiero SL, Dodson TB, Aghaloo T, Carlson ER, Ward BB, Kademani D. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons’ Position Paper on Medication-Related Osteonecrosis of the jaw 2022 Update. 2022. Doi: https://doi.org/10.1016/j.joms.2022.02. 2)Ruggiero SL, Dodson TB, Fantasia J, Goodday R, Aghaloo T, Mehrotra B, O’Ryan F; American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons’ Position Paper on medication-related osteonecrosis of the jaw 2014 Update. J Oral Maxillofac Surg 2014; 72(10): 1938-1956. 3)Aliya A Khan, Archie Morrison, David A Hanley, Dieter Felsenberg, Laurie K McCauley, Felice O’Ryan, Ian R Reid, Salvatore L Ruggiero, Akira Taguchi, Sotirios Tetradis, Nelson B Watts, Maria Luisa Brandi, Edmund Peters, Teresa Guise, Richard Eastell, Angela M Cheung, Suzanne N Morin, Basel Masri, Cyrus Cooper, Sarah L Morgan, Barbara Obermayer-Pietsch, Bente L Langdahl, Rana Al Dabagh, K Shawn Davison, David L Kendler, George K Sándor, Robert G Josse, Mohit Bhandari, Mohamed El Rabbany, Dominique D Pierroz, Riad Sulimani, Deborah P Saunders, Jacques P Brown, Juliet Compston; International Task Force on Osteonecrosis of the Jaw. Diagnosis and management of osteonecrosis of the jaw: a systematic review and international consensus. J Bone Miner Res 2015; 30(1): 3-23. 4)厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル(平成30年6月改訂版):ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死(平成21年5月). https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1l01.pdf(2022年5月16日アクセス) ※参考書籍 「MRONJのリスクがある患者の歯科治療を行う時に読む本」 |
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Q108 | 口と腸が影響し合う深い関係にあるって本当ですか? |
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A108 |
口腔と腸はただつながっているというだけでなく、どちらかの状態が悪くなると、もう一方の働きも悪くなってしまう深い関係にあります。 食べ物が口腔内へ入ると、まず咀嚼によって細かく砕かれ、唾液と混ぜ合わされて消化が始まります。飲み込んだ食べ物は食道を経て胃にたどり着き、さらに消化が進み、小腸、大腸へと進んで、消化・吸収されていきます。 口は消化器官のスタート地点であり、腸までずっとつながっています。これまでは口腔と腸は物理的につながっていても、機能的なつながりはうすく、直接影響し合うことはないと考えられてきました。 ところが、口腔の環境が悪化すると、腸内細菌のバランスが乱れ、腸内環境も悪くなるということが最近の研究で分かりました。この腸内細菌は、ある種類のリンパ球の発達にかかわっているため、腸内環境が悪化すると、免疫機能の調整が難しくなります。 一方、口腔内にある免疫細胞は、腸管で成熟したものがリンパ管を経由して、口腔に到達したものです。そのため、腸内環境が悪くなると、口腔内の免疫力もダウンしてしまいます。 ※参考書籍 |
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Q109 | 糖尿病には運動がいいと聞きます。本当ですか? |
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A109 | 本当です。 様々な研究機関から報告がありますので、ご紹介します。
東京ガス研究定期健診受診者の有酸素運動能力(体力)の変化と、糖尿病発症率について7年間観察しました。有酸素運動能力の変化を低下、やや低下、やや増加、増加の四つに分けて、糖尿病発症率を比較すると、1.0、0.64、0.40、0.33となりました。 このことから、運動不足(有酸素運動能力低下)は、日本人の2型糖尿病発症の危険因子と考えられます。
関西ヘルスケア研究通勤時の片道歩行時間が10分以下を基準とし、21分以上の群では発症リスクが27%低下しました。通勤(歩行)時間は、2型糖尿病の発症に関して、他の要因と独立した効果を示しています。
日本糖尿病合併症研究日本人の2型糖尿病患者さんを対象とした調査で、余暇時間の運動量に関して、「高運動量群」では、「低運動量群」に比べて、脳卒中発症と死亡率が明らかに低下していました。糖尿病患者さんでは、余暇時間の運動量が少ないと、脳卒中の起こる危険性が高まります。
このように、運動にはいろいろな効果があります。食後の運動実施は食事による血糖上昇を抑制し、血糖コントロール状態の改善が期待できます。一般的に週に150分以上実施するべきといわれています。なお、ヘモグロビンAlcレベルの低下は、運動量(頻度)の増加とは相関がありますが、運動強度とは相関がないことが判明しています。
※参考書籍 |
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Q110 | 糖尿病になると歯周病になりやすいのですか? |
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A110 | その通りです。糖尿病になると歯周病になりやすいです。 2型糖尿病患者は非糖尿病患者に比較して、歯周病発症率が2.6倍高いことが報告されています1)。 1)Nelson RG, Shloss,am M, Buddinf LM, Pettitt DJ, Saad MF, Genco RJ, Knowler WC, Periodntal disease and NIDDM in Pima Indians. Diabetes Care. 1990; 13: 836-40. ※参考書籍 |
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