他疾病
Q21 | 脳卒中を発症し、3カ月が経過しました。歯がとても痛いのですが、どうしたらいいですか?原則6ヶ月は歯医者での処置は控えたほうがいいと聞いていますが…。 |
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A21 | 脳卒中の患者さんへの歯科治療は、原則発症後6ヶ月間は局所麻酔を要する歯科治療を避けるべきとされていました。 しかし、近年では決して安静が脳卒中の患者さんに良い影響を与えるわけではないことが指摘されており、全身状態が安定した場合には早期のリハビリ開始が推奨されています。歯科治療についても、必要があれば早期に歯科治療を開始すべきとされていますが、血圧や服用薬剤、後遺障害に対する配慮が必要になるため、脳卒中発症後1カ月以内の急性期に抜歯などの観血的歯科治療を要する場合は、病院歯科での受診・治療が望ましいでしょう。
※参考書籍 |
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Q22 | インプラント治療後、腎疾患が発覚し、透析することになりました。影響ありますか? |
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A22 | 進行した骨・ミネラル代謝異常(CKD)や人工透析の患者さんは、尿毒症環境と透析による細胞性免疫異常によって易感染性状態になっています。 そして、ステロイド薬を長期服用していることも多く、さらなる免疫力の低下と骨粗しょう症の発症もみられ、これがインプラントの脱落やインプラント周囲炎のリスクファクターとなることが予想されます。 さらに、骨量減少に対する治療としてビスフォスフォネート製剤が投与されていることもありますので、顎骨壊死や骨髄炎の発症にも十分な注意が必要です。 ステロイド薬を3カ月以上投与されている患者さんは、骨代謝学会のガイドラインの推奨によって、ビスフォスフォネート製剤が併用されている可能性が高いことに留意しなければなりません。 インプラントの患者さんは、定期的な歯科医院における専門的口腔ケアを、健常者よりも厳重に行いましょう。
※参考書籍 |
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Q23 | インプラント治療後、肝炎を発症しました。影響ありますか? |
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A23 | ウイルスに感染して急性肝炎を発症した場合、食欲不振や悪心・嘔吐の症状が出る可能性があるため、口腔清掃が不十分になります。 悪心・嘔吐によりブラッシングが困難となることに加え、治療は安静と肝庇護剤の点滴や栄養補給であるため多くは入院加療となることから、入院中は院内の歯科にブラッシングを含めた口腔管理を依頼するのが一番よいと考えられます。劇症肝炎にまで進行した場合は、もちろん入院加療が必要となりますが、急性の重篤疾患ですので、安定するまでは歯科のアプローチは困難となります。回復してから口腔の再評価を行い、その評価を基に口腔管理を行わなければなりません。 一般的に、B型急性肝炎は慢性化せずに治癒しますが、C型肝炎は大部分が慢性肝炎に移行します。治癒すればもちろん問題はなく、慢性肝炎になったとしても埋入されたインプラントに対して何か特別な対応を直ちに行う必要はありません。これまでどおり毎日のブラッシングと、インプラント治療を受けた歯科医院での定期的な診察を受けるようにしてください。
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Q24 | インプラント治療後、肝硬変が発覚しました。影響ありますか? |
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A24 | 肝硬変になった場合、注意が必要です。 進行するまでは慢性肝炎と同じような対応を行うことができますが、進行した肝硬変(肝がんを含め)では、肝臓で合成される凝固因子の低下を招いて出血傾向がみられるようになり、歯肉出血が起こりやすくなります。すなわち、肝硬変によって肝組織の線維化が進み、門脈血流のうっ血により門脈圧亢進が起こり、脾腫が生じるようになります。 その結果、血小板減少や肝細胞によるタンパク合成能の低下のため血液凝固因子の産生量の低下を起こし、一次止血・二次止血が障害され易出血性となります。 ブラッシングなどの刺激によっても出血するようになるため、出血を恐れてブラッシングを含めた口腔ケアが消極的になりがちです。 このような状態になるとインプラント体に付着したプラークの除去が困難となり、周囲歯肉に炎症を惹起して歯周炎を発症したり歯周炎を悪化させたりし、より出血しやすくなるという悪循環に陥ります。こうして口腔のケアはさらにおろそかになり、インプラント周囲炎を発症する危険性が高くなります。
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Q25 | インプラント治療後、関節リウマチを発症しました。影響ありますか? |
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A25 | 関節リウマチは日本人においては0.5~1%に発症することが知られています。 疾患の進行により関節痛が生じるようになりますが、痛みは初期には手足の指の関節(特に近位指節間関節)に生じ、次第に手首、肘、膝などの体幹に近い大きな関節の痛みを感じるようになり、その痛みは動作により増強するため、無意識にその関節を動かさなくなる傾向にあります。 さらに関節炎が進行すると関節自体が変性し、滑膜細胞の増殖、軟骨の破壊と骨のびらん形成が進行して、最終的には関節という構造物が破壊されて骨と骨が直接接した「強直」という状態になります。指の骨が強直することで変形が生じ、関節リウマチの患者さんに典型的な手の形を呈するようになります。 このように関節リウマチの病状が進行すればするほど、患者さん自身でのブラッシングを含む口腔清掃の実施が困難になることは、想像しやすいでしょう。 リウマチ治療の第一選択として用いられる抗リウマチ薬は、その作用機序から「免疫調整薬」と「免疫抑制薬」に分類されます。すべての免疫機能を非特異的に抑制する免疫抑制薬は、免疫低下に伴う易感染の状態に繋がる可能性があるため、インプラント治療後にこのような薬剤の服用が原因で、インプラント周囲の感染、炎症が惹起される可能性もあります。さらに抗リウマチ薬の中には、副作用として骨髄障害を有するものもあり、インプラント周囲の骨代謝に影響を与える可能性もあります。 また、抗リウマチ薬は遅効性であり、多くの効果発現まで2~3カ月を要することから、その期間の関節内の炎症のコントロールや炎症増強時にはステロイド薬が用いられることも珍しくはありません。このステロイド薬も免疫抑制による易感染の状態を惹起するため、長期服用により感染のリスクは増大します。 さらに、ステロイドの副作用としてもう一つ重要なものに骨粗しょう症があります。高用量、長期間の服用によりステロイド性骨粗しょう症の発症リスクが増大し、それに対してビスフォスフォネート系製剤(BP製剤)の処方を受けている患者さんも少なくありません。 関節リウマチが発症・進行して、手指の拘縮などにより細かな動きを伴う通常のブラッシングが困難な患者さんは、口腔内の状況が天然歯、インプラントにかかわらず、音波ブラシを用いた清掃も考えていただきたいと思います。
※参考書籍 |
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Q26 | インプラント治療後、全身性エリテマトーデスを発症しました。影響ありますか? |
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A26 | 重度の口腔乾燥と口腔病変のある全身性エリテマトーデス疾患の患者さんは、入れ歯の安定性が損なわれるため、インプラント治療が推奨されています。 Ergun S, Katz J, Cifter ED, Koray M, Esen BA, Tanyeri H: Implant-supported oral rehabilitation of a patient with systemic lupus erythematosus: case report and review of the literature. Quintessence Int, 41(10): 863-867, 2010. しかしながら、本疾患に対してはステロイド薬服用が必須となること、さらにループス腎炎を歯証している場合は免疫抑制薬の服用も必要であるため、易感染の状態になりやすいといえます。疾患自体だけでなく、服用薬剤の影響も考慮にいれて対応する必要があります。
※参考書籍 |
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Q27 | メタボリックシンドロームについて教えてください。 |
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A27 | メタボリックシンドロームは一般に、肥満・高血糖・高中性脂肪血症・高コレステロール血症・高血圧の危険因子が重なった状態と定義されています。放置することで糖尿病・心筋梗塞・脳卒中などの発症リスクが高まります。高カロリー・高脂肪の食事と運動不足が原因といわれています1,2)。 厚生労働省によると、日本ではウエスト周囲径が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断される3)とされています。ただこの診断基準は国によって異なり、科学的根拠は薄いという意見もあり、さまざまな議論があります2)。 1)スーパー大辞林. 三省堂 2)デジタル大辞泉. 小学館 3)厚生労働省. e-ヘルスネット [accessed 20.04.24]
※参考書籍 |
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Q28 | 歯周病とメタボリックシンドロームに関連性はあるのですか? |
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A28 |
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態のことです。 糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、おなかのまわりの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きくかかわるものであることがわかってきました。 メタボリック症候群の診断基準は2005年4月に作られました。 ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上を基盤とし、さらに、下の3つの症状のうち2つ以上該当した場合、メタボリックシンドロームと診断されます。 1.中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満のいずれかまたは両方2.血圧が上で130mmHg以上、下で85mmHg以上のいずれかまたは両方3.空腹時血糖が110mg/dl以上大きな特徴は内臓脂肪を基盤とすることであり、高血圧、高血糖、脂質異常の値がさほど高くなくても脳卒中や心筋梗塞の危険性が高くなります。 歯周病とメタボリックシンドロームの関連性が注目されています。 詳しいメカニズムは解明されていませんが、歯周病の病巣から放出されるLPS(歯周病菌由来の毒素)やTNFαは脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させます。また、重度歯周病患者では血中CRP値が上昇し、動脈硬化や心筋梗塞発症のリスク亢進と密接に関与すると考えられています。さらには、この慢性炎症が個体の老化を促進するという論文も出てきました。 ※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」 |
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Q29 | 睡眠時無呼吸症候群について教えてください。 |
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A29 | 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に無呼吸が繰り返される病気で、体に様々な障害を起こします。 ■原因喉の辺りの空気の通り道が閉塞することが原因で、その原因となるのは、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、舌根沈下、舌が大きい(巨舌症)ことがあります。鼻中隔湾曲では、鼻の空気の通りが閉塞しているSASの原因になることがあります。顎が小さいため、やせているのにSASである方もおられます。 ■症状・合併症いびき、睡眠の途中で目が覚めてしまうことや、日中の眠気、起床時の頭痛、などがあります。昼間の眠気は、居眠り運転事故や労働災害などにつながり、社会的にも悪影響を及ぼします。
■治療経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive airway Pressure:CPAP)があります。マスクを介して空気を送り気道を広げる治療法で、中等症以上(AHIが20回以上)のSASで保険適用です。軽症のSASには歯科に依頼してマウスピース療法が行われます。手術療法はSASの責任部位が明確な場合に適応され、小児でのSASは大半は扁桃肥大が原因で、扁桃摘出術が有効です。成人の場合は、責任部位が明確でないことが多く、手術療法は慎重な判断が必要です。 ※参考サイト ※参考書籍 |
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Q30 | 睡眠時無呼吸症候群だと緑内障になりやすいって本当ですか? |
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A30 | 本当です。 他にリスク要因として、低血圧・高血圧・糖尿病・近視・偏頭痛・遺伝(学族歴)や、40才以上の冷え症も悪いと言われています。 原因は血液の量と質の悪化、すなわち目の血流低下による栄養である酸素の不足により引き起こされるということです。
※参考 |
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