歯周外科・再生療法

Q21 歯周炎で歯がグラグラしはじめてとても困っています。よい治療法はありますか?
A21

歯周治療を目的とした再生療法をおすすめします。以前なら抜いていた歯もかなりの確率で保存できるようになってきています。ただし、 再生療法にも欠点がありますのでよくご確認下さい。

再生療法の欠点

1.治療結果が分かるまで時間がかかります(8~12ヶ月)
2.すべての症例に適用できるわけでありません
3.術後の患者さんのお口のケアの状態や健康状態に治療結果が
 左右されやすいです
4.健康保険が適用されず費用がかかります

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q22 GTR法ってどんな方法?
A22

再生療法としてのGTR法の歴史は古く、1976年にはすでに開発されていました。日本では1992年に認可され用いられるようになりました。
GTR法とは、GTRメンブレンという特殊な膜で隔壁を作って、歯槽骨が再生するスペースを確保し、再生しやすい環境を与えることで歯周組織の再生を誘導する方法です。

膜がない場合 膜がある場合
膜がない場合 膜がある場合
膜がないと、回復の早い歯肉が先に入り込んでしまい、歯槽骨が増えるスペースがなくなってしまいます。 膜があると、歯肉の侵入を防ぐことができ、歯槽骨や付着が回復しやすくなり、しっかりと再生することができます。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q23 GTR法の治療の流れを教えてください。
A23
歯槽骨に大きな欠損ができています。 歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。 欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。 横からみるとこんな感じです。
1.歯槽骨に大きな欠損ができています。 2.歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。 3.欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。 4.横からみるとこんな感じです。
歯槽骨がしっかりと増えました。 膜を取り除きます。 縫合して終了です。。
5.歯槽骨がしっかりと増えました。 6.膜を取り除きます。 7.縫合して終了です。
歯槽骨に大きな欠損ができています。
1.歯槽骨に大きな欠損ができています。
歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。
2.歯肉を切開し、歯石などの汚れや炎症におかされた歯周組織を取り除きます。
欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。
3.欠損部に移植材を入れて、膜でしっかりとおおい縫合します。
横からみるとこんな感じです。
4.横からみるとこんな感じです。
歯槽骨がしっかりと増えました。
5.歯槽骨がしっかりと増えました。
膜を取り除きます。
6.膜を取り除きます。
縫合して終了です。。
7.縫合して終了です。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q24 エムドゲイン法ってどんな方法?
A24

特殊なタンパク質によって歯周組織を再生させる治療です。1997年より臨床応用されて以来副作用の報告もなく安全性の高い治療法として世界中で用いられています。ただし残念ながら健康保険適用ではありません
おもに楔形に切れ込むように失われた歯槽骨の欠損箇所に塗布されます。ゲル状なので、欠損が楔形ではなく、こぼれてしまうような形状の欠損箇所には向きません。このような場合はGTR法や骨移植法などと併用することで効果が得られます。骨欠損の部位や形状にあわせて、治療法の組み合わせを選択します。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q25 エムドゲイン法の治療の流れを教えてください。
A25
鋭く切れ込んだように歯槽骨が失われています。 歯肉を切開します。 歯石やプラークや汚染された歯周組織を取り除きます。
1.鋭く切れ込んだように歯槽骨が失われています。 2.歯肉を切開します。 3.歯石やプラークや汚染された歯周組織を取り除きます。
エナメル基質タンパクを欠損部に塗布します。 ゲルを包み込むように歯肉を縫合します。
4.エナメル基質タンパクを欠損部に塗布します。 5.ゲルを包み込むように歯肉を縫合します。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q26 再生療法の手術の当日に注意することはなんですか?
A26

手術前

1.食事は?

手術の2時間前までに軽くすませておきましょう。術後しばらく食べにくくなるからと、欲張って食べ過ぎないようにしましょう。

2.歯みがきは?

手術前にていねいに歯みがきをして清潔なお口でご来院ください。

3.服装は?

身軽でらくな服装で、お化粧やアクセサリーはお控えください。

4.たばこは?

たばこは予後の経過に重大な影響をあたえます。直前だけでなく、術前2週間、術後8週間はかならず禁煙してください。

手術直後

手術直後はことに、鎮静剤や麻酔が効いていますし興奮していたり疲れていたりするものです。十分に休憩をとり、落ち着いてからご帰宅ください。処方された薬は必ず歯科医師の指示どおりに飲みましょう。

1.食事は?

術後2時間くらいで麻酔が覚めます。術部の反対側でやわらかいものを食べてください。術後1週間は、刺激の少ない流動食や、やわらかい食事にしてください。

2.歯みがきは?

指示があるまで、手術したところに歯ブラシを当てないようにします。食後には、歯科医院で処方されたうがい薬で30秒ほど時間をかけてクチュクチュうがいをしましょう。

3.不快な症状が出たら?

お薬によると思われる発疹、あるいは38度以上の熱が出たとき、痛み止めを飲んでも痛みがとれないとき、出血が止まらないなどの不快な症状があるときは、遠慮なく歯科医院にご連絡ください。

4.お風呂は?

手術後当日は、湯船には入らず、シャワー程度にしてください。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q27 再生療法の術後の治療期間の過ごし方について教えてください。
A27

手術が終わったら、あとはそっと骨の再生を待ちますがよりより治療結果を出すには患者さんの協力が欠かせません。いっしょにがんばりましょう。

1.食事は?

1週間ほどでふつうの食事ができるようになりますが、再生治療中の箇所になるべく負担をかけないよう、かたい食べ物を避け、手術した側を使わないように、治療箇所の反対側で噛んで食べるようにします。当然ですが、お酒も控えましょう。

2.歯みがきは?

通常、術後3週間くらいすると、手術したところの歯みがきができるようになります。それまでは、手術した箇所のケアにはうがい薬を使います。そして、歯科医院のプロフェッショナルケアで足りない分をきれいにしていきます。治療箇所を歯みがきできるようになっても、ソフトブラシでやさしくみがくことです。歯間ブラシは、術後1ヶ月間は使用しないでください。定期的な受診でプロのケアを受け、お口の清潔を保ちましょう。

3.生活習慣は?

ストレスが強かったり、睡眠不足が続いたりするのはよくありません。規則正しい生活をして、バランスのとれた食事をすることも再生療法で良好な結果を得るための重要なポイントです。つまり、からだが元気であれば、免疫力がアップし、再生力も高まるわけです。

4.たばこは?

喫煙は治療の結果に重大な悪影響をあたえます。免疫の正常な働きを妨げるため、手術した箇所の傷の治りが遅く、歯槽骨の再生量が減少する可能性が高くなります。そのためかならず術前2週間、術後8週間は禁煙していただきます。これが達成できないかたの場合、良好な結果は期待できません。せっかくですから、この機会に禁煙しましょう。

5.通院は?

手術直後は、ご自分でのお口のケアはむずかしいので、週に1~2回通っていただき、診察とプロフェッショナルケアを受けていただきます。また、歯肉が安定してからも、しばらくの間は月に1~2回通っていただきます。こうした術後経過の確認とお口のケアはたいへん重要です。ご予約どおりの通院をこころがけてください。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q28 再生療法によって骨がよく回復するにはどんなことが大切なのですか?患者としてできることはありますか?
A28

再生の前提条件としては「病気の原因がきちんと除去されていること」です。
ひとつは、炎症を止めること。そのためには、スケーリング・ルートプレーニングや歯肉の切開によって、奥の奥までしっかりときれいにします。歯肉が下がって見えるようなお口の状態では、歯科医師や歯科衛生士のプロの技術がかならず必要です。そして、きれいになったお口を維持するために、患者さんには毎日の歯みがきをていねいにしていただきます。
そしてつぎに、噛む力もコントロールしなければなりません。これは歯科医師による指導と治療が中心となります。
再生にはたしかに時間がかかります。再生療法の手術後、歯槽骨の細胞が増殖し回復・安定するには、通常数年かかります。しかし、その前にこの2つの大前提が実現されていることが必要です。これにも当然一定の時間がかかります。
さらには、再生の障害になるリスクをなくしていくことも大切です。たとえば、タバコを吸うかたには再生の成果はほとんど得られません。また、極度のストレス、睡眠不足、不規則な生活など、生活習慣の乱れは、炎症をストップさせ再生に転換する邪魔になります。ようするに、からだの免疫力をあげるような生活をすることが大切なのです。免疫力がさがると、からだが細菌に負けてしまいます。
生活習慣もふくめた再生の大前提を整えるには、価値観の転換が必要です。そして時間も必要です。
手術などの治療をおもに歯科医師が、そしてお口のクリーニングや生活習慣改善の指導をおもに歯科衛生士が、歯みがきをふくめた生活習慣の改善を患者さんご自身がそれぞれ担い、患者さんと歯科医院がいっしょに治す、それこそが歯周治療であり、よい結果を生む大前提です。

※参考書籍 「nico 2007.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q29 再生療法の術後合併症について教えてください。
A29

術後合併症には、歯間乳頭の壊死・陥没、骨移植材の流出、知覚過敏などがあります。

このうち、歯間乳頭の壊死・陥没はもっとも頻度が高い術後合併症です。歯間乳頭や歯肉弁への血液供給量の低下によって生じます。

※参考書籍
 「歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー」
 著 宮本 泰和、尾野 誠 クインテッセンス出版株式会社

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