矯正治療
Q11 | インビザラインの不適応症例にはどんな症例がありますか? |
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A11 | 外科治療が必要なケース、特に骨格性の反対咬合に該当する症例は、アライナー(マウスビース矯正装置)で治療することはできません。ディープバイト(深い嚙み合わせ)症例を治すこともできません。 また明らかに歯性で正中がズレていれば正中のズレは治せますが、下顎前歯1本分以上ズレている場合は骨格性にズレている可能性が高くなり、そもそも外科治療の適応となる可能性が高いです。骨格性の大きなズレがあれば、アライナー以外の治療方法を選択する必要があります。 さらに成長期における受け口の症例に関しても、アライナー治療は難しく、不適応症例となります。
※参考書籍 |
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Q12 | 上下の顎で成長が違うって本当ですか? |
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A12 | 上顎の成長は6~8歳で止まりますが、下顎の成長は男子で18歳、女子で15歳までは続きます。
※参考書籍 |
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Q13 | なぜ正中のズレが起こるのですか? |
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A13 | 正中がズレている理由
※参考書籍 |
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Q14 | マウスピース矯正はワイヤーを使う矯正治療ほどは、歯がスムーズに動かないそうですがどういう動きが苦手なのですか? |
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A14 |
抜歯して歯を大きく移動させること、力を加える方向に倒れた歯の移動など苦手な動きはいろいろあります。補助装置や従来の治療と組み合わせてこの欠点を補って治療してきます。 もちろん患者さんのなかには、テクニックを駆使せずともスムーズに治るケースもあります。しかし、残念ながらそんなケースばかりではありません。そうした場合、補助装置を使ったり、目立たないように奥歯や側面だけワイヤー矯正で動かして置き、目立つ前歯をマウスピース矯正で治すなど、さまざまな引出しを使い、それを組み合わせて治療します。
マウスピース矯正の苦手な歯の移動1.傾いている歯の移動ワイヤー+ブラケットの場合 ワイヤーを使うと簡単・確実に移動します。 マウスピース矯正の場合 歯を動かす方向に向かって倒れた歯を立てるのが苦手です。
2.回転歯を大きく回転させるのが苦手 3. アップライト引っ張り出すのが苦手
歯を適正に動かすためのいろいろな補助装置インビザライン®で使用する装置です。 歯にボタンをつけゴムで下の歯を引っ張り上げています。 奥歯と犬歯をゴムでつなぎ、犬歯の傾きを治しています。 歯につけた装置をゴムで引っ張り、歯の傾斜をまっすぐにしています。 目立たない場所でワイヤー矯正をしながら、ゴムで下の歯を引っ張り上げています。 「日本歯科評論」 槙宏太郎 著 vol.75 no.8 P64-74より引用 ※こうした補助装置を使う場合、ゴムも毎日きちんとつけていただく必要があります。
最低限の移動で並べるため、エナメル質を削除しスペースを作ることも1.エナメル質を歯の健康に問題のない範囲で少しだけ削ります。2.最低限の歯の移動できれいに並びました。※参考書籍
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Q15 | 普段歯ぎしりをしていて開咬の歯をしています。マウスピース矯正をしようと思うのですが、留学など遠方に行くとなった際、マウスピース矯正は留学中も矯正し続けることは可能でしょうか? |
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A15 | 留学中も行うことはできますが、留学の期間(1年に何回帰ってこられるのかなど)やお口のなかの状態によって対応が変わってきます。留学中はお口のなかのチェック・フォローができないので、綿密な連絡が必要となります。 長期出張中の際についてもマウスピース矯正を行うことは可能です。矯正期間中はチェック、フォローが必要なので、ご希望の場合はご相談ください。 |
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Q16 | 歯を動かすことって可能なんですか? |
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A16 | 矯正治療がそれにあたります。歯を動かす方向(移動様式)は5つが考えられます。 1)挺出歯の長軸に平行に歯冠側方向へ移動させる様式のことです。 2)回転歯の長軸を中心軸として、歯を回転させるような移動様式のことです。 3)整直(傾斜移動)近遠心的に、あるいは頬舌的に傾斜している歯の歯軸を是正する移動様式のことで、歯は回転中心を軸として歯冠と歯根が反対方向に移動します。 4)歯体移動歯を傾斜させないで異動する様式で、歯冠と歯根が同一方向に移動する様式のことです。 5)圧下歯の長軸に平行で根尖側方向に移動させる様式のことです。 ※参考書籍 |
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Q17 | 筋機能訓練法(MFT)って何ですか? |
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A17 |
MFT(Myo functional Therapy)とは、舌突出癖や口呼吸により弛緩した口唇を、舌や口唇の訓練によって調和のとれた状態に改善する療法です。また、咀嚼、嚥下、発音、安静時の舌位や口唇位、呼吸などの口腔機能の改善を目指して舌や口腔顔面筋を訓練し筋肉を強調させる療法でもあります。 |
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Q18 | MTMって、口全体の矯正とどこがちがう? |
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A18 |
おもに1本の歯にねらいをしぼって動かしていく治療です。口全体の矯正よりも小規模に時間をかけずに行います。歯の治療や歯周炎の治療にたいへん効果の高い治療です。 |
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Q19 | 歯ならびがいいとどんないいことがあるのですか? |
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A19 | 1.歯みがきがラク歯並びが悪いと歯ブラシがなかなか届かず日常の歯のケアはたいへん難しいものです。 歯並びを改善するとむし歯や歯周病の予防にもなります。歯並びにデコボコがないと歯ブラシの毛先が届きやすくお掃除がラク。その分むし歯菌や歯周病菌がひそむプラークを取り除きやすく、歯石もつきにくいのです。 歯並びが悪く掃除がたいへんだとむし歯や歯周病になるリスクが高まってしまいます。とくに、歯周病が進行すると歯が動いてしまうため、さらに歯並びが悪くなってしまうことも少なくありません。
2.噛み合わせがよいと歯の寿命も長持ち歯は本来、馬蹄型に並んで噛む力を受け止め、バランスよく調和しています。噛み合わせがよいと、かたよった力がかからないため、力によって歯が傷んだり、治療した歯が壊れたりするリスクがグンと減ります。噛み合わせがお口の健康に与える影響は大きいのです。
3.発音しやすい舌やくちびるの動きが妨げられないので、発音がしやすくなります。主にサ行、タ行の発音に影響します。
4.しっかり噛めると胃腸にいい噛み合わせが悪く、前歯で噛み切れなかったり、奥歯でしっかり噛めなかったりすると、食べ物を十分噛まずに飲み込みがち。長い間には、胃腸への負担が大きくなってしまいます。
5.自浄作用でお口のなかがきれいに歯並びにデコボコがなく、くちびるや舌、頬が歯列にフィットしていると、活発な筋肉の働きで食べカスが押し出され、唾液に流されて口のなかに溜まりにくくなります。お口が本来持つ自浄作用が効果的に発揮されるので、当然むし歯や歯周病のリスクが低くなります。
6.笑顔がはなやかに口もとに自信があると、自然と笑顔が明るくはなやかになります。歯並びをキレイにすると、見た目が美しくなるばかりではなく心まで笑顔にしてくれます。 一見きれいな歯並びに見えても前歯のせいで口もとが出ているかたは案外日本人には多いのです。こういう方も矯正をすると、横顔の印象がすばらしく変わります。 健康的で若々しい印象は美しい歯並びから!
7.補綴治療との連携クラウンやブリッジ、インプラントで歯の修復を行う際、歯並びが障害となってしまい治療のできないことがあります。そうしたときには治療中の歯科医からの依頼で歯科矯正専門医が連携をとり、治療しやすい歯並びに矯正します。こうした他科との連携も歯科矯正専門医の重要な仕事です。
8.外科も併用して噛めるお口に矯正装置による治療と外科手術による治療を併用し、歯並びとともに噛み合わせの治療を行って本来そうあるべき噛めるお口を創るための治療を行うのも歯科矯正の重要な仕事です。
※参考書籍 |
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Q20 | おとなの矯正治療のデメリットを教えてください。 |
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A20 |
矯正治療は通常、患者さんがおとなになる前に行われるべきものです。その時期には顎骨は成長発育期にあるので変化が活発であり、歯の移動が容易で、歯の移動がもたらす弊害も少ないからです。おとなの矯正治療はいくつかのデメリットがあります。 1.矯正力に対する組織反応が著しく遅い成人の顎骨は成長が完了しているので骨の急激な変化は期待できません。つまり、歯の移動に伴う組織の修復が遅いということです。 2.矯正力に対する反応が遅い小児では、矯正力に対する最初の反応は24時間以内に生じますが、成人では約3週間かかってしまいます。 さらに歯の移動速度も遅くなってしまいます。歯の移動速度は矯正力の性質や強さにもよりますが、骨の緻密度に大きく左右されます。成人の顎骨は骨髄腔の数が少なく骨の密度が高いという理由で骨の吸収現象を起こすことが難しいといわれています。 3.hyalin zone(歯の移動時に歯の移動を一時的に妨げる層)が移動歯の圧迫側に容易に形成される特に、矯正力が大きい場合にはその危険が大きくなってきます。 4.歯に矯正力を加えたときの骨破壊活動が骨造成活動を上まわることがありうる成人では唇頬側の歯槽骨が薄くなっていることが主な原因であり、その結果しばしば歯槽骨の吸収が生じます。 5.歯根吸収の危険が大きい特に、大きな矯正力を作用させたとき、長期間の継続的な歯体移動を行ったとき、歯の圧入などを行ったときなどには歯根吸収の危険が増大します。歯根吸収は被移動歯だけでなく、大きな力を受けている固定歯にも生じる可能性があります。一方で顎骨発育期の患者さん(小児)は、矯正治療による歯根吸収はあまり見られません。 6.抜歯空隙の閉鎖が困難で、閉鎖後しばしば再離開しやすい歯の移動のためのスペースを確保するために行う抜歯が推奨されない症例もあります。 7.ほとんどの症例に歯周炎が見られる歯周炎になっている歯は移動時に骨再生能力が弱く、その結果歯の移動に伴う歯槽骨吸収の危険が大きくなります。また歯周炎のない症例でも、おとなは歯肉の抵抗性が弱いので、矯正装置の機械的刺激や、矯正装置による清掃不全などによって辺縁歯肉の炎症を作りやすいということも注意しなければなりません。矯正治療による骨吸収と年齢との間には相関関係が見られ、年齢の増加と共に骨吸収の危険が大きくなるというデータもあります。 8.十分な固定が難しい場合が多い歯が欠損していたり、歯周病により歯の支持が弱くなっているといった理由で、十分な固定が難しいときもあります。 9.ごく僅かな量の歯の移動を行っても多くの場合その後に咬合治療を行う必要がある小児の患者さんは、僅かな歯の移動による噛み合わせの変化は自然な歯の移動によって調整され、良好な噛み合わせ状態を自然に確立することができます。しかしおとなではそれがほとんど期待できないので、僅かな歯の移動後でも噛み合わせの調整やその他の咬合治療が必要な場合が多くなってしまいます。 10.小児と比べると矯正装置に対する適応能力が劣るたとえば可撤性矯正装置を装着したとき、成人は、小児に比べると発音がうまくできるようになるまでにより長い期間が必要となります。 ※参考書籍 「矯正歯科の基礎知識」 飯塚 哲夫 著 愛育社 |
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