マウスピース矯正
Q1 | マウスピース矯正って何ですか? |
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A1 |
マウスピース矯正とは、従来のワイヤー+ブラケットでなく、樹脂製の透明なマウスピースを使った新しいタイプの歯科矯正法です。歯をマウスピースでくるみ、その弾性を使って(システムによっては補助装置も使用)歯を動かしていきます。 この方法は「取り外しできるし目立たない」と近年注目を集めていますが、じつは従来の矯正に比べると難易度が高く、患者さんを選ぶ治療法でもあります。
※参考書籍 |
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Q2 | マウスピース矯正のメリット・デメリットを教えてください。 |
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A2 | 近年注目を集めているマウスピース矯正(アライナー矯正)ですが、メリットだけでなく、デメリットもありますので、参考にしてください。 患者さんへのメリット
患者さんへのデメリット
※参考書籍 |
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Q3 | マウスピース矯正ってどんな歯並びでもなおすことが出来るんですか? |
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A3 | 推奨される症例1) 非抜歯症例で、以下の要件を満たす症例 ・軽度の空隙を有する症例 ・軽度の叢生で歯列の拡大により咬合の改善が見込まれる症例 ・大きな歯の移動を伴わない症例 2) 矯正治療終了後の後戻りの改善症例 3) 抜歯症例であっても歯の移動量が少なく、かつ傾斜移動のみで改善が見込まれる症例 4) 金属アレルギーを有する症例 推奨されない症例1) 抜歯症例 ・犬歯が遠心傾斜している症例 ・前歯部が大きく舌側傾斜している症例 ・歯の大きな移動を必要とする症例 ・大きな回転、圧下・挺出を必要とする症例 ・患者の協力度が低い症例 2) 乳歯列期、混合歯列期で顎骨の成長発育や歯の萌出の正確な予測が困難な症例 3) 骨格性の不正を有する症例 治療における留意点1) 効果は装着時間に影響される 2) 傾斜移動が多い 3) 抜歯症例では、予期しない移動が発生することがある 4) 術前のシミュレーションには歯根の位置に関する情報が欠けている 5) 歯冠形態によっては把持力に差異を生じることがある 6) 咬合面を覆う形態のため、臼歯部が圧下されることがある 7) 保険診療には使用できない ※参考文献 |
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Q4 | マウスピース矯正にとても興味があります。目立たないし取り外せるのが魅力ですよね。ただ、なぜマウスピースで歯が動くのかなとちょっと不思議な気もします。 |
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A4 |
歯に力を「点」で加えて動かす従来の方法に対し、マウスピース矯正は「面」で力を加えて動かします。フレキシブルに力を加えられる従来の方法に比べ、面による移動の場合は適応症例が限られるため、主に軽度の治療に用いられています。 ワイヤー+ブラケットの矯正歯に力を点で伝えて動かします。
マウスピースの矯正
歯に力を面で伝えて動かします。
※参考書籍 |
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Q5 | インビザラインをやっています。歯を削って調整すると言われました。どういうことですか? |
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A5 | 隣接面削合のこと(歯の側面を削ること)をIPR(Inter Proximal Reduction)といいます。ディスキング(Disking)といわれることもあります。 0.2mmの薄いカッティングディスクなどを使用して、隣接面のエナメル質を削ることで歯を動かすためのスペースを確保します。一般的には1ヵ所につき0.5mmのIPRを上限量とすることになっています。 IPRのメリット
IPRのデメリット
※参考書籍 |
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Q6 | 矯正治療中ですが、歯がグラグラします。これって大丈夫なんですか? |
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A6 | 矯正治療とは、歯が顎骨のなかを移動していくことで歯並びを治す方法で、そのメカニズムは骨の吸収と添加の連続で成り立っています。その際、骨吸収は1~2日で起こるのに対して、骨の添加が活発に起こるのはおおよそ最初の1週間です。 このタイミングの違いで、矯正治療中は歯がグラグラしたり、後戻りが起こったりします。特にマウスビース矯正では、矯正装置(アライナー)を1日のうちに付けたり外したりすることが数回ありますが、その度に矯正力がいったんなくなるため後戻りが生じ、骨添加が起きにくくなります。 骨の吸収と添加吸収と添加のタイミングが違うために矯正治療中は歯がゆれ、後戻りが起こります。
※参考書籍 |
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Q7 | 抜歯後にマウスピース矯正治療を開始しました。治療中に奥歯で噛めなくなりましたが、どうしたらいいですか? |
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A7 | 奥歯の傾斜で隙間ができてしまう(離開)原因は、患者さんの使用時間が少ない場合や治療計画において大臼歯の移動量が多い場合に起こりやすいです。そのため、定期的に使用時間をチェックしたり、適切な治療計画を立案したりし、対応します。
※参考書籍 |
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Q8 | マウスピース矯正治療中ですが、色々な理由で治療期間が長期化してしまいました。いつまで続くのか考えるようになり、本当に治療が終わるのか不安です。 |
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A8 | マウスピース型矯正装置で治療を開始したものの、途中で使用時間の減少や治療に対してのモチベーションの低下を起こす患者さんは少なくありません。とくに矯正治療自体に自主的でない未成年の患者さんは、そもそも治療へのモチベーションが低く、治療費も自分で支払っていないため、治療期間が長期になったり治療を中断したりしやすい状況です。 治療開始時にはマルチブラケット装置よりもマウスピース型矯正装置のほうが違和感が少なく、簡単に治療できるイメージを患者さん本人が持ちやすいという傾向もあります。 そのため、当医院では使用時間や治療の進め方について丁寧に説明しています。
※参考書籍 |
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Q9 | インビザラインの不適応症例にはどんな症例がありますか? |
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A9 | 外科治療が必要なケース、特に骨格性の反対咬合に該当する症例は、アライナー(マウスビース矯正装置)で治療することはできません。ディープバイト(深い嚙み合わせ)症例を治すこともできません。 また明らかに歯性で正中がズレていれば正中のズレは治せますが、下顎前歯1本分以上ズレている場合は骨格性にズレている可能性が高くなり、そもそも外科治療の適応となる可能性が高いです。骨格性の大きなズレがあれば、アライナー以外の治療方法を選択する必要があります。 さらに成長期における受け口の症例に関しても、アライナー治療は難しく、不適応症例となります。
※参考書籍 |
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Q10 | 上下の顎で成長が違うって本当ですか? |
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A10 | 上顎の成長は6~8歳で止まりますが、下顎の成長は男子で18歳、女子で15歳までは続きます。
※参考書籍 |
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