おとなの矯正治療
Q51 | 矯正をしたいと思っているのですが、糸切り歯(犬歯)が骨の中に埋まっていると言われました。矯正期間はどのくらいかかりますか? |
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A51 | 「犬歯の埋伏が咬合面より14mm未満の場合、治療期間の平均は23.8カ月、犬歯の埋伏が咬合面より14mm以上の場合、治療期間の平均は31.1カ月であった。」 Stewart JA, Hep G, Glover KE, Williamson PC, Lam EW, Major PW. Am J Orthod Dentofacial Orthop 2001; 119(3):216-225. 「成人患者における矯正歯科治療に成功した埋伏犬歯の予後安定率は若年患者よりも低く、予後は年齢とともに悪化すると結論された。さらにこうした治療では、その治療完了までの期間が長期にわたると予想された。」 Becker A, Chaushu S. Am J Orthod Dentofacial Orthop 2003; 124(5):509-514. 「埋伏犬歯の40%に顕著な後戻りを示し、陥入、舌側転位、近心への回転、変色が認められた。反対側の犬歯は91%が正常であった。埋伏の既往をもつ犬歯のうち約75%は、カラーの口腔内写真を用いた変色の判定によって同定することができた。」 Woloshyn H, Artun J, Kennedy DB, Joondeph DR. Angle Orthod 1994; 64(4):257-264. 「上顎犬歯は、第三大臼歯に次いで最も多く埋伏となる永久歯である。埋伏した上顎犬歯の約1/3は唇側または歯槽内に位置し、2/3は口蓋側に位置する。多くの場合、埋伏犬歯開窓の適切なタイミングおよび外科的処置は、特定の基準によって決定される。本論文では、埋伏した上顎犬歯の外科的および矯正歯科的処置について検討した。」 埋伏上顎犬歯への外科的および矯正歯科的処置 「埋伏犬歯の治療期間は治療開始時の患者の年齢に関係し、年齢が若いほど治療に時間がかかった。また年齢が若い患者ほど犬歯の埋伏の程度は重要であった。両側埋伏群は片側埋伏群より、少なくともどちらかの犬歯については埋伏の程度が重度であった。犬歯の埋伏が咬合面より14㎜未満の場合、治療期間の平均は23.8か月、犬歯の埋伏が咬合面より14㎜以上の場合、治療期間の平均は31.1か月であった。」 口蓋側に埋伏した上顎犬歯を有する患者の治療期間に関連する要因 「成人群を年齢で分けた場合、排列できなかった犬歯はすべて30歳以上の年長の患者に見られた。このことから、成人患者における矯正歯科治療に成功した埋伏犬歯の予後安定率は若年患者よりも低く、予後は年齢とともに悪化すると結論された。さらにこうした治療では、その治療完了までの期間が長期にわたると予想された。」 成人患者の口蓋側に埋伏した上顎犬歯に対する矯正歯科治療の成功率と治療期間 ※参考書籍 |
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Q52 | ブラケットは唇側に張ったものと舌側に張ったものとどちらが不快ですか? |
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A52 | ある論文では、「舌側矯正装置を装着後に患者の57~76%が舌の痛みや線維質の食べ物の咀嚼が難しいこと、sやtの発音が難しいこと、歯磨きが難しいことを訴えていた。この割合は唇側のエッジワイズ装置を用いて治療中の患者よりも有意に高く、患者の20~44%はこうした不快感を高レベルで経験していた。不快感は時間とともに徐々に減少したものの、患者の2~46%は舌側矯正装置の除去時まで続いた。」と報告されています。 後ろ向きアンケートによる成人患者の舌側矯正装置使用時における不快感の調査 他の論文では、「LI群において発音障害が最も深刻な問題であった。LA群の全患者とLIの患者の76.7%では問題が治療開始30日後に解決されたが、LI群の23.3%は3ヵ月の治療期間後も発音に問題を抱えていたと報告された。最大適応期間でさえ、LI群(90日)ではLA群(30日)よりも長かった。この研究の一般的評価では、初期の不快感のある時期の後、わずか一部(10%)の舌側矯正患者が治療による何らかの障害を訴えたことが示唆された。」 ※LI群:舌側矯正装置、LA群:唇側矯正装置 患者の不快感:舌側矯正装置と唇側矯正装置の比較 ※参考書籍 |
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Q53 | 矯正をすると顎関節症になりやすいって本当ですか? |
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A53 | 矯正を行う上で、咬合状態による咀嚼筋の機能や顎関節への力学的負担の変化について、十分に配慮する必要があります。 日本顎関節学会(編).顎関節症.京都:永末書店,2003. ※参考書籍 |
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Q54 | 今薬を常用しています。矯正に影響ありますか? |
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A54 | 内服薬は矯正歯科治療による歯の移動(OTM)に影響を及ぼすものがあるため、矯正歯科医は患者の既往歴や常用薬について把握し、適切な対応を行う必要があります。 Bartzela T1, Türp JC, Motschall E, Maltha JC. Medication effects on the rate of orthodontic tooth movement: a systematic literature review. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009 Jan;135(1):16-26. ※参考書籍 |
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Q55 | 歯列矯正治療の継続中に妊娠が分かった場合、どうしたらよいですか? |
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A55 | 基本的には、妊娠中でも歯列矯正治療は続けられます。 ※参考書籍 |
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