インプラント
Q81 | インプラント治療後も禁煙しないといけませんか? |
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A81 | インプラントを長持ちさせたいなら、禁煙することをおすすめします。喫煙者のインプラントと骨が結合する確率は、非喫煙者と比べると、10%以上低いという米国の調査報告があります。このため、ヘビースモーカーの人には、インプラント治療をしないという歯科医師も少なくありません。 たとえインプラントと骨が結合したとしても、その後の感染リスクも高くなります。喫煙するとニコチンの作用によって血管が収縮し、血流障害が起きます。すると、インプラント周囲に酸素や栄養素が不足し、菌の攻撃を受けやすくなるのです。さらに唾液が減って自浄作用も低下することから、インプラント周囲炎を起こしやすくなります。 インプラントの成功率を高め、長持ちさせるためには、治療前はもちろん、治療後も禁煙を続けることが大切です。
※参考書籍 |
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Q82 | インプラント治療を受けた歯科医院とは別の歯科医院でメインテナンスを受けてもいいですか? |
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A82 | 基本的には、インプラント治療を受けた歯科医院でメインテナンスを受けるのが望ましいでしょう。ただし、引っ越しなどのやむをえない事情もあります。クリーニングだけなら問題ないのですが、補修や再治療を受けることになった場合、治療時の情報が必要になります。インプラントメーカーは日本国内だけでも30社近くあり、同じメーカーでもサイズや種類はさまざまです。例えばインプラントを取りはずすことになった場合、そのために使えるドライバーは、インプラントのメーカーや種類によって異なります。インプラントと上部構造をどのように装着しているかによっても、取りはずし方法は変わってきます。 このため、使用したインプラントのメーカーや種類、装着方法をメインテナンスを受ける予定の歯科医院に伝えたうえで、対応してもらえるかどうかを確認しましょう。できるなら、「口腔インプラントカード(手帳)」を作成してもらい、次の歯科医師に治療データを引き継いでもらうのが望ましいといえます。
※参考書籍 |
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Q83 | お口の中にインプラントが入っていると、CTやMRIなどの画像検査を受ける際に影響がありますか? |
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A83 | あごのCT検査の場合、インプラント部分にX線が当たると、画像上わずかに影響が出ることがありますが、ほかのからだの部位のCT検査に影響はありません。 MRI検査の場合は、使用している金属によっては、注意が必要です。鉄やコバルト、ニッケルなどの強磁性体を装着している患者さんのMRI画像は歪み、特に脳領域の影響が強いことが脳疾患を生じた際に懸念されています1),2)。 しかしながら、すべての金属がMRIで金属アーチファクト(撮影時に発生するノイズ)、発熱、磁力に伴う位置変化が生じるわけではありません。磁場にさらしても磁化しない非磁性体金属(チタン、金、銀、パラジウムなど)は、MRIに対して安全で影響のない金属とされています。 現在では、体内に埋め込む医療用器具である脳動脈瘤のクリップや骨折時の金属プレートは非磁性体のチタン製となっています3),4)。 1)Kaneda T, Minami M, Curtin HD, et al. Dental bur fragments causing mental artifacts on MR images. AJNR 1998; 19: 317-319. 2)Asano S, Kaneda T, Fukuda T, et al. Influence of metal artifact by orthodontic appliances on brain MRI. Metal artifact experiment and young volunteer study. Int J Oral-Med Sci 2016; 14(4): 74-81. 3)岡野友宏, 小林 馨, 有地栄一郎編. 歯科放射線学. 第6版, 東京:医歯薬出版, 180-190, 2022. 4)日本口腔外科学会編集. 口腔外科研修ハンドブック. 第1版, 東京:医歯薬出版, 15-21, 2022. ※参考書籍 「日本口腔インプラント学会誌 2023.9 vol.36 No.3」 |
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Q84 | インプラント治療期間中に仮歯は入れられますか? |
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A84 | これはケースバイケースです。患者さんがお困りにならないようさまざまな工夫をさせていただきますが、難症例の場合、治療を成功させるために、入れ歯も仮歯も使わずにそっとしておく期間もあるからです。入れ歯や仮歯を使えない期間があるかどうかについても説明を受け、それも含めインプラント治療を選択するかをお考えいただければと思います。 ※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版」 |
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Q85 | インプラント手術後の痛みや腫れが不安ですが大丈夫ですか? |
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A85 | 痛みの感じかたは個人差があるので一概には言えないのですが、再生療法などをしていない通常のインプラント治療であれば、術後1日ほど軽く痛む程度でしょう。免疫応答がさかんな若い人ほど腫れやすいですが、腫れが引くのは遅くなります。しかし、痛みが治まってきていれば心配いりません。痛みが増すようでしたら、治療を受けた歯科医院で診てもらいましょう。 ※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q86 | インプラントが結合しなかったらどうなるのですか? |
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A86 | しっかりとした検査と診断、予備治療を終えて治療をしているのであれば、もし結合しなかった場合でも、早期に抜いて再治療をすることができます。あごの骨の穴は数カ月でもとどおりにふさがりますので、それを待って再埋入を行います。順調に結合が進むよう、「手術したところで噛まない」などの歯科からのお願いごとに注意してお過ごしください。 ※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q87 | インプラントが壊れたらどうしたらよいですか? |
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A87 | インプラントの構造でいちばん壊れやすいのは、上部構造(被せ物)です。インプラントで強く噛めるようになるうえ、天然歯のときにはあった噛む力を感じる歯根膜がないため、噛む力の加減が働かず、上部構造が欠けたり割れたりしやすいのです。インプラント体が壊れたわけではないので、上部構造だけの修理・交換で対応できます。ご安心ください。 ※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q88 | インプラント治療の流れについて教えてください。 |
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A88 | インプラント治療には、1回の手術で治療する「1回法」と一次手術と二次手術の2回の手術で治療する「2回法」があります。加藤歯科医院では主に2回法にて治療を行います。 2回法は、インプラントを埋入後にいったん歯ぐきを閉じてインプラント体とあごの骨の結合を待ち、その後2度目の手術をしてインプラントの頭を出し、アバットメントを取りつけます。2回法は適応症例が広く、より慎重に治療を進めたい場合に用いられます。 インプラント治療の流れ1. インフォームド・コンセント&インフォームド・チョイスインプラント治療の説明をします。メリットとデメリットを知ったうえで、インプラント治療を検討してください。説明終了後に、よく考えた結果、お断りいただいても結構です。どんなお悩み、質問でも構いません。お気軽にご相談下さい。
2.診査・診断問診、採血、口腔内検査、X線撮影など、数十項目にわたる診査をもとにした診断を受けます。 診査・診断の例
治療期間受診2回程度
3.検査結果と診断の説明
治療期間納得できるまでじっくり検討します。
4.インプラント埋入前の予備治療お口のクリーニングと歯みがきのスキルアップ指導を受けていただき、お口の清潔を保ちます。また、インプラント埋入前に必要な治療を行います。
治療期間治療内容により異なります。
5.インプラント治療1)インプラントの埋入 インプラントを埋入します。感染を防いでそっとしておくために、歯ぐきを閉じて骨との結合を待ちます。(一次手術) 局部麻酔を行い痛みを和らげ、治療を行います。 治療期間おおむね1~4カ月
2)頭出し手術 1次手術終了から約3~6か月後(個人差があります)。インプラント体の頭を出します(二次手術)。必要に応じて、歯(補綴物)を付ける為の土台を立てる症例もあります。 治療期間2~4カ月
3)上部構造体の製作と装着 仮歯をつけている間に、上部構造体(新しい歯となる部分(補綴物))を製作します。歯になる部分の材質は天然の歯に近い色や硬さのセラミックのものや金属のものなどがあります。 製作が終わったら、お口のなかに装着します。
治療期間奥歯1~3カ月、前歯3~6カ月 6.定期メインテナンス歯を被せても、未だインプラント治療は完成ではありません。インプラントを長持ちさせるために、4か月~半年ごとのメンテナンスを開始します。 ※参考書籍 「nico 2018.1 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q89 | 会社を40年勤め、定年退職しました。口腔内に興味なく気づけばガタガタになってしまいました。先生からは入れ歯かインプラントを勧められました。インプラントを入れた人は満足しているんでしょうか? |
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A89 | インプラント治療および補綴歯科治療を行った高齢メインテナンス患者に対して、咀嚼能力と口腔および咀嚼の主観的満足度に関する調査結果がありますので、紹介します。 ①高齢メインテナンス患者の咀嚼能力に関しては、インプラント治療群が義歯治療群よりも高く、天然歯および歯冠修復群と同等の咀嚼能力であることが示された。 ②主観的満足度評価に関しては、咀嚼能力が高値を示した群で有意に高く、特にインプラント治療は他の欠損修復法よりも高値であり、また主観的満足度も高いことから、高齢者の口腔へのリテラシーをより向上させる可能性が示唆された。 ③欠損補綴の選択として、インプラント治療は義歯治療群より咀嚼能力が高くなることから、健康寿命の延伸に寄与する可能性が示された。
※参考書籍 |
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Q90 | GBR法とは何ですか? |
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A90 | GBR法(骨再生誘導療法)とは、人工膜を使って失われた歯槽骨を再生することです。 加齢や歯周病で歯槽骨(歯を支えているあごの骨)が失われていると、インプラントを埋めるのに必要な骨量や骨幅が足りないことがあります。このようなとき人工の膜で失われた歯槽骨部分を覆い、スペースを作って歯槽骨の再生を促す処置『骨再生療法』を行います。 GBRの手順
『メンブレン』とは……
※治療期間の目安は、6ヶ月~です。 |
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