仮歯
Q1 | 仮歯ってなぜ必要なのですか? |
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A1 |
仮歯はこんなに役に立ちます! 1.歯の移動を防ぐ歯を削ると、周囲と歯のあいだに隙間ができ、ピタリと並んで支えあっていた歯が動き始めます。 2.さらなるむし歯を防ぐ歯の表面のエナメル質はむし歯への抵抗性がありますが、その内側にある象牙質はむし歯に対する抵抗性があまり強くありません。そのため、エナメル質に穴があいた状態で長期間(1~2ヶ月以上)治療が続く場合に、仮歯がないと治療中の歯の内側に唾液といっしょにバイ菌が入り、新たにむし歯になってしまいます。仮歯は、治療中の歯にむし歯ができるのを防ぐことができます。 3.歯がしみるのを防ぐエナメル質を削って歯の治療をすると象牙質が露出します。 4.歯ぐきの変化を防ぐ歯を大きく削ると、いままで歯にどかされていた歯ぐきが、削った分の空いたスペースに広がり、おおいかぶさってきます。かぶせ物を入れるときの邪魔にならたにように、また余分に広がった歯ぐきがこすれて炎症を起こしたり、汚れが溜まりやすくならないように仮歯を入れます。 5.グラグラの歯を固定できる噛むたびにグラつく歯がある場合などに、何本か仮歯で歯をつなげて歯の固定を行うことができます。歯のグラつきを固定することで、安定した噛み合わせの治療や歯周病治療を行うことができます。 6.見た目が変わらないとくに前歯の治療中、歯がないと口もとの印象が悪くなってしまいます。治療の途中でも患者さんの印象があまり変わらないように仮歯を入れます。 7.食事がいつもどおりできる治療中、食べることに支障が出ないようにするために、仮歯を入れます。例えば、奥歯の治療中に仮歯がないと奥歯で噛むことができません。また、食べたものがたくさん詰まったりします。極端に引っ付くもの(ガムなど)や硬いものは噛めませんが、ふつうの食事なら通常どおりできます。 8.見た目がよく、しかもいつもどおりおしゃべりできる前歯の治療中に仮歯がないと、見た目が悪くなります。しかも歯のないところから息がもれて発音しづらくなります。仮歯があれば見かけも悪くなく、いつもどおりおしゃべりすることができます。 ※参考書籍 |
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Q2 | 仮歯が割れました。めんどうなので、このままでいてもいいですか? |
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A2 |
歯科医院に連絡し、指示を仰いでください。 1.ばい菌が入りやすい治療中の歯を保護していた仮歯が取れたり割れたりすると、治療している箇所が、食べかすやばい菌に汚染されてしまいます。 2.材料が劣化してくる仮歯の材料は、あくまで暫間用のもの。 3.かえって治療が複雑化する仮歯は長持ちしませんから、結局は再び治療を開始することになるでしょうが、ほとんどの場合治療の放置後は、以前に比べて治療が複雑化します。 ※参考書籍 「nico 2007.5 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q3 | 仮歯が入りました。不自由がないので、このまま過ごしていいですか? |
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A3 |
仮歯は削ったところを守ったり、見た目を良くしたり、歯ぐきの変化を防いだり、噛み合わせを守ったりする目的で作られる、「とりあえずの歯」です。 1.むし歯になる仮歯は、はずすことが前提になっていますので、通常より弱い接着剤でついています。そのため、1~2ヶ月も経過すると、除々に接着剤が溶けてしまい、その隙間からバイ菌が入ってむし歯ができてしまいます。 2.いつはずれるかわからない仮歯は弱い接着剤でとめますので、1~2ヶ月以上放置すると食事中などに突然取れたり、割れたりすることがあります。これでは出張先や旅行中などにたいへん困ってしまいます。 3.色が変色してくる仮歯の材料に使われているレジンはやわらかく、水分などといっしょに汚れも吸収してしまいます。長期間おなじ仮歯を使っていると、仮歯が変色し見た目が悪くなります。ちょうど、プラスティックのお弁当箱に色がついてしまうような状態です。 4.口臭を引き起こす仮歯についた汚れや、接着剤が溶けてできた隙間に入り込んだ汚れから臭いが出ます。これが口臭の原因にもなります。 5.すり減るのが早い仮歯に用いられる樹脂は、種類により硬さは異なりますが、最終補綴物よりもやわらかい材料でできているため、1~2ヶ月もすると奥歯を中心にすり減ってしまいます。これが原因で噛み合わせが変わってしまうと、治療が後もどりし、噛み合わせの治療から再度やり直しになり、それまでの治療が無駄になります。その結果、患者さんと歯科医師の双方にとって余分な負担が増えます。 ※参考書籍 「nico 2008.9 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q4 | 仮歯が入っています。どんなことに気をつけて毎日を過ごすとよいですか? |
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A4 | 仮歯はプラスチックでできています。また、仮のセメントで簡単に外すことができるよう固定していますので、いくつか注意が必要です。 1.硬いものを食べないでスルメ、フランスパン、せんべい、飴などの硬くて噛みごたえのあるものは食べないようにお願いしています。また、一見軟らかいようなのですが、たとえば焼き鳥の串を歯でしごいて食べたり、骨付きの肉をかじったりすると、ことに前歯の仮歯はひとたまりもありません。もし食べるのなら、串や骨から肉をはずして食べましょう。豪快な食べ方はガマンしてください。 2.歯にくっつくものは厳禁チューインガムやグミ、キャラメル、そして餅や求肥を使った和菓子など、歯にくっつくものは食べないでください。取りはずしできる弱めの接着材(セメント)で着けてあるため、くっつくと仮歯がとれてしまいます。 3.強く噛みしめたり歯ぎしりをしない噛み合わせの調整中で、まだなじんでいない新しい仮歯は、慣れないことも手伝ってたいへん気になるものです。とくに奥歯では、噛み合わせが慣れないと、歯を動かすときに、仮歯を横に揺さぶるような力を加えてしまったり、ギシギシと歯ぎしりをしてしまったりしがちです。無意識にしているかたも多いので、ぜひこの機会にご自分がついやっていないか、確認してみてください。また、仮歯の違和感については、歯科医師に遠慮なくお話しください。調整を重ねて、よりよい噛みあわせを探っていきましょう。 4.歯みがきはていねいに仮歯は、表面が粗く軟らかいプラスチックでできています。その分最終的に入る歯にくらべて汚れがつきやすいため、ケアには気を使いたいものです。ことに仮歯の根元の汚れには注意しましょう。軟らかい歯ブラシを使い、ゴシゴシみがきをしないように、やさしくケアします。 5.治療直後の飲食は控えて仮歯を入れた直後、20分間は飲食を控えて下さい。 6.トラブル発生時の対応型を取った時の歯や歯列の状態を維持しておくため、外れた時はすぐにご来院下さい。仮歯を入れておかないと歯は少しずつ動き、作った修復物が合わなくなってしまうことがあります。また、外れたり壊れた仮歯は捨てずにお持ち下さい。
仮歯は一時的な歯です。治療を中断するとお口に大きな悪影響が出てしまいます。きちんと最後まで治療しましょう。 ※参考書籍 「nico 2007.5 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q5 | 仮歯を入れたところではものを噛まないほうがいいですか? |
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A5 |
絶対に噛んではいけないということはありません。ですが、仮着用のセメントでお付けしていますので、外れやすいです。また、ご自身の歯と違い割れやすいので、硬いものや粘着性の高いものを噛むのは、なるべく控えて頂くように、お願いしています。 |
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