歯内療法
Q1 | 歯内療法って何? |
---|
A1 |
歯の中の感染した神経(歯髄)を取り除く際、入ってくる細菌を阻止して、根管内に存在する細菌を排除し、新たな細菌の侵入を阻止する治療のことです。 ※参考書籍 |
---|
Q2 | 歯根の治療って、じつはすごく難しいんだそうですね。なぜなんですか? |
---|
A2 | 小さな歯の、極細の神経のなかで暴れている細菌を、歯を傷めないように細心の注意を払い、しっかりと除去する治療だからです。 |
---|
Q3 | チクチクとする治療ばかりしていてちっとも治療が終わりません。なぜこんなに長く治療するのですか? |
---|
A3 | 歯の内部に入った細菌を徹底的に取り除くためです。大ざっぱな掃除でよいのならたしかに仕事は早く終わりますが四角い部屋を丸く掃いたような治療では取り残したしつこい細菌によってむし歯が再発するリスクが高くなってしまいます。 |
---|
Q4 | 神経を取ってあるはずなのに治療中にチクッとしました。治療がうまくいっていないのか、不安です。 |
---|
A4 | チクッとしたのは、ファイルの先が歯根の先まで達して歯根膜に触れたからです。ファイルが先まで達しているということはすみずみまで掃除ができているということ。治療が順調な証拠です。 |
---|
Q5 | 治療中にチクッとしたのですが、なぜ麻酔をしなかったのですか? |
---|
A5 | 麻酔は痛みを一時的に隠します。生体の示してくれるサインが消えるので、治療を遠慮なく進めることができます。つまり麻酔をすると、治療しすぎてしまう傾向があるのです。 |
---|
Q6 | 痛みがあるのにすぐに治療してくれないのはなぜですか? |
---|
A6 |
治療を始めるにあたって最も重要なのが診断です。診断には時間がかかるものもあります。 特に大切な診断は以下の4つになります。 1.原因歯の特定痛みのある歯がどの歯なのかを決定することは、予想外に難しいことがあります。わからないままに次々と抜髄すると、歯科医も患者さんもどの歯が痛みの原因なのかわからなくなります。 2.原因の特定歯髄、根尖歯周組織、辺縁性歯周組織、あるいはそのほかに原因があるのかを特定しなくてはなりません。たとえば、咬合が高いと、歯がしみると訴えることがあります。また、歯肉炎でも歯がしみるという場合があります。なんとなく変だ、違和感があるといったような弱い症状、たまにしか起こらない症状の場合には、原因の特定は困難を極めます。 例えば、むし歯がなく、深いポケットも見つからないが、患者さんは痛みを訴えているケースを考えて見ましょう。このような場合、抜髄する必要があるのでしょうか? 以下の点を考慮し、なるべく抜髄を避けるようにするのが適切だと考えられます。
3.歯を保存するか抜歯するかその後の修復処置との関連で、どの程度その歯を残すことが重要であるか、総合的な診療計画に基づいて保存するか抜歯するかを決めなければなりません。 4.治療方針の決定全体的な治療計画のなかで、最善と思われる治療方針を決定します。歯内療法の分野では、抜髄、感染根管治療、外科的歯内療法、意図的再植などから選択することになります。 ※参考書籍 |
---|
Q7 | 歯根の治療をしたら治療前よりも治療後のほうが腫れて痛くなりました。この治療、失敗したのでしょうか。 |
---|
A7 | 歯のなかの掃除や薬の刺激で、炎症が歯根膜などに一時的に起こり数日間痛むことがあります。でもこれは治っていくまでの一過程で、失敗ではありません。 |
---|
Q8 | 歯根の治療後、痛みが出たので再治療の必要があるのでしょうか? |
---|
A8 | 治療をして、「痛むから再治療してほしい」という患者さんもおられるのですが、治療をして歯のなかをかき回すと、その刺激でさらに痛くなって逆効果です。そのため、申し訳ないのですが、痛み止めや抗生物質を飲んで炎症がおさまるのを待つのがもっとも得策です。 |
---|
Q9 | 根管治療後に発症する通常の術後疼痛はなぜ起こるの? |
---|
A9 |
術後疼痛は、患者が歯科医院を離れた後に急性的に起こる痛みのことで、その発症率は条件や文献によって大きな幅があります。軽微なものも含めると、根管治療を受けた65%の患者に何らかの疼痛や深い症状がみられるとされています。 Glassman G, Krasner P, Morse DR, Rankow H, Lang J, Furst ML. A prospective randomized double-blind trial on efficacy of dexamethasone for endodontic interappointment pain in teeth with asymptomatic inflamed pulps. Oral Surg Oral Med Oral Pathol. 1989; 67(1): 96-100.そのうちの20~25%は鎮痛剤が必要であったり(中等度の疼痛)、鎮痛剤でも効果がない重度の疼痛を経験するとの報告があります。 Marshall JG, Liesinger AW. Factors associated with endodontic posttreatment pain. J Endod. 1993; 19(11): 573-575.痛みの強度の分類
痛みのピークは12時間以内で、ほとんどは48~72時間以内に治まり、長くても7日間で治まるとする報告が多くあります。 Jaclyn G, Pak BS, White SN. Pain prevalence and severity before, during, and after root canal treatment: A systematic review. J Endod. 2011; 37(4): 429-438.痛みの原因は、根尖歯周組織に与えられた刺激により起こった急性炎症と考えられています。根尖部への刺激には、機械的刺激(咬合、暴力的な器具操作等)、化学的刺激(根管洗浄液、貼薬剤、充填材等)、細菌学的刺激があります。 ※参考書籍 |
---|
Q10 | 根管充填後に痛みが生じた場合、どのように対処すべきでしょうか? |
---|
A10 |
原因としては、根尖部からのシーラーの微小な溢出による刺激が考えられます。しかし、一過性の可逆的変化と考えられ、7日以内に消失することが多いとされています。そのため、経過観察をすることが重要となります。 Wang C, et al. Int Endod J. 2010; 43(8): 692-697. ※参考書籍 |
---|