入れ歯

Q11 寝るとき、入れ歯は外したほうがよいのでしょうか?
A11

一般的には、入れ歯をしているときは歯ぐきが圧迫されているため、歯ぐきを休めるために外したほうが望ましいといえるでしょう。また、寝ている間に飲み込んでしまう危険性もあります。こうしたことから入れ歯は夜に外して洗浄し、朝に装着するのが普通です。
しかし、残っている歯が少なく、入れ歯を外してしまうといっそう大きな負担がかかってしまう場合や、歯ぎしりや食いしばりが激しい人はつけたまま寝たほうがよいでしょう。なかには、入れ歯を外すと呼吸がしづらくなるという人もいます。お口の中が乾燥する方は、入れ歯を入れておくことによって保湿効果も期待できます。
このように寝るときに入れ歯を外したほうがよいのか、装着したままがよいのかは、その人によって違います。自分の歯と入れ歯の状態をよく知る歯科医に相談して、どうするかを決めるのがよいでしょう。装着したまま寝る場合にも、いったん入れ歯を外して洗浄し、その後で再び入れ歯を入れて寝るようにしましょう。

※参考書籍 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

Q12 入れ歯を作るとき、費用はどのくらいかかりますか?
A12

入れ歯を作るときの費用は、保険適用なのか、自由診療なのかで大きく違います。保険適用の場合、人工歯や義歯床の素材は樹脂に限られます自由診療の場合は、義歯床の素材としてチタンなどの金属を使うことができます。入れ歯の使い心地も、より精密な治療を行うだけに、自由診療のほうが優れている場合が多いというのが一般的な評価です。
総入れ歯を保険適用で作った場合、上下いずれか片方で1万円前後です。自由診療の場合は、入れ歯の形式や素材、形状によって大きく違います。金属床の場合、上下いずれか片方で20~50万円程度が一般的ですが、これは1つの目安に過ぎません。歯科医院によっても費用に幅があり、100万円を超えることもあります。
費用は安いのに越したことはありませんが、高い費用にはそれなりの根拠があります。今後のメインテナンス、次に新しい入れ歯を入れ替えるまでの期間など、さまざまな点を総合的に考えてどれだけ費用をかければよいかを判断することが大切です。

※参考書籍 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

Q13 入れ歯をすると頭痛や肩こりがするのですが・・・
A13

入れ歯と肩こり・頭痛はあまり関係がないように思われるかもしれませんが、実はそうではありません。合わない入れ歯をしていると、さまざまな症状が出てきます。人間にとって「噛む」という行為は、たいへん重要な意味を持っています。そのバランスが悪くなると、体の重心のバランスが崩れ、肩こりや頭痛が起こり、人によっては、腰痛や目まい、眼精疲労などの症状を示すこともあります。 私たちは食事をするとき、普通は片側だけで食べ物を噛んでいます。そして噛む側をときどき交代して、バランスを保っています。片側の入れ歯の噛み合わせが悪いと、いつも反対の側で噛むようになり、やがて口の周囲の筋肉が一方の側に引き寄せられ口元がゆがみ、それが頭痛や肩こりのほか、さまざまな症状の原因となるのです。心あたりがある人は、歯科医に相談しましょう。噛み合わせを調整しただけで、これらの症状が軽減したという例は少なくありません

※参考書籍 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

Q14 入れ歯をして食事をすると味覚がおかしいのですが・・・
A14

味覚は、上顎や舌の表面にある「味蕾」という感覚器官が感じ取ります。この味蕾に何らかの原因で支障が生じると、本来の味覚を感じ取れなくなります。

例えば、大きめの入れ歯を入れると違和感も大きくなり、味が変わってしまうことはよくあります。このような場合も入れ歯になれると、味覚は改善されます。あるいは噛み合わせが悪いときも、未蕾に影響します。
特に総入れ歯・部分入れ歯がレジン(樹脂)床である場合、味覚がおかしいと訴えるケースが多く見られます。これは樹脂は熱伝導が悪く、食べ物の「熱さ」や「冷たさ」を味わう感覚が鈍り、それが味覚にも影響するためです。
この場合は、レジン床を金属床に変えると、本来に近い味覚を感じることができます。これは金属は熱伝導がよく、またレジン床と比べ厚さが薄いからです。あるいは、上顎を覆うような入れ歯をしている場合も味覚が変わります。

味覚とは複雑な感覚であり、本来、人間の器官ではない入れ歯を入れると、ある程度変わってしまうのはやむを得ないことです。しかし、噛み合わせを調整しただけで、本来に近い味覚を取り戻せることも少なくありません。歯科医と相談してみてください。

※参考書籍 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

Q15 入れ歯がにおい、とても気になってしまうのですが・・・
A15

本来の歯と同じように、入れ歯にも歯垢や歯石が付着します。きちんと洗浄しないと歯垢や歯石が蓄積され、雑菌が繁殖しにおいを発散するようになります。
金属床の入れ歯と比べ、レジン床の入れ歯はにおいやすい傾向があります。これは樹脂が水分を吸収しやすく、唾液などのにおいが移るからです。
ほかにも、タバコのヤニや食べ物のにおいも吸収してしまいます。近年は粒子が細かいレジンが開発され、従来のものに比べ、においの吸着が抑えられるようになりましたが、それでも金属には及びません。予算が許すなら、金属床の入れ歯に変えたほうがよいでしょう。
このように入れ歯のにおいの原因は、素材によるところが大きいといえます。しかし、レジン床、金属床のいずれの入れ歯にしても、毎日入れ歯を洗浄し、清潔に保っておくことが大切です。

※参考書籍 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

Q16 新しく作った義歯でうまく話せません。そのうち慣れるものなのでしょうか?
A16

入れ歯をすると、発音しにくいという人は少なくありません。また、会話相手から何度も聞き返されて、話すことに臆病になってしまう人もいます。入れ歯をすると発音しにくくなる大きな原因は、義歯床が舌の動きの障害となり、思うような発音ができなくなることです。特にサ行の「さしすせそ」とタ行の「たちつてと」の発音が不明瞭になる場合が多いようです。

入れ歯をしていても明瞭な発音をするには、できるだけ大きく口を開けて話すことです。そうすることで、舌の動きの自由度が高まります。日頃から、大きく口を開けて音読することを練習しましょう。

金属床の入れ歯と比べ、レジン床の入れ歯はどうしても分厚くなってしまいます。大きめの入れ歯や前歯の人工歯の位置が悪いと、発音が不明瞭になりやすいといえます。その場合、できるだけ小さく薄い義歯床に変えることを考えてもよいでしょう。

 

ある研究では、義歯を装着してから発音的になれるまでに約3週間必要であるという報告があります。

また、平均では59日、つまり、1~2カ月程度の期間を要するという結果もあります。

うまく発音できるまでには少し慣れる必要がありますが、発音しにくいと感じた時にはかかりつけの歯科医院で相談してみてください。



※参考書籍
  「義歯床形態の違いが発音に及ぼす影響」
 九州歯科大学大学院歯学研究科歯科補綴学第1専攻
 豊田  雅信
 九州歯会誌 41(1):163~177, 1987.

 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

Q17 先日はじめて部分入れ歯をつくりました。でも、うまく入れられないし違和感にもまだ慣れなくて使っていません。ほんとうは使ったほうがいいんですよね?
A17

入れ歯は、慣れるまでたしかに努力が必要ですよね。でも、使えるようになると、噛めるし、しゃべりやすいし、お顔のシワさえもとってくれるんです。ぜひ使っていってくださいね。

入れ歯の使い方のコツ

1.「はめる」「外す」の練習をしましょう

入れ歯が出来上がったら、「はめる」「外す」の練習をしましょう。歯科医院でやり方を教えてもらい、自分でも何度かやってみてください。無理に入れると、歯や歯ぐきを傷めたり、部分入れ歯のバネがゆがんではめにくくなってしまうことがあります。慣れるまで難しいかもしれませんが、練習を重ねましょう。

2.試運転と調整の期間が必要です

入れ歯を使いこなすには、慣れるための期間をとることが大事です。とくに最初の2週間程度は、試運転だと思って過ごしましょう。最初はベロや頬を噛みやすいので、やわらかいものを食べ、1~2週間使ったら、歯科医院で使い心地を伝えて微調整してもらいます。この微調整がとても重要。調整のため何度か通院をお願いします。

3.お手入れ法や保管法をおぼえましょう

お口の中で使っていると、入れ歯も自分の歯と同じように汚れます。入れ歯に付くプラーク(歯垢、最近のかたまり)を放っておくと、入れ歯が細菌の巣になってしまうので、清潔を保つためにお手入れ法をマスターしましょう。また、入れ歯がゆがんだり傷んだりしないような保管法もだいじです。大切に扱っていきましょう。

4.何年かに一度は補修が必要です

入れ歯は、使っているうちに歯がすり減りますし、プラスチックの床(歯ぐきに触れる部分)にヒビが入ったり、バネがゆがむこともあります。また、時間が経つと患者さんご自身のあごの骨の形や歯の位置も少しずつ変わってきます。そこで、定期的に入れ歯の割合をチェックしてもらい、必要に応じて補修してもらいましょう。

※参考書籍
 「nico 2018.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q18 やっと新しい入れ歯ができました。なのに、また何度か調整のために通う必要があるそうです。なぜなのですか?
A18

どんな名人のつくった入れ歯でも、調整は必須です。実際に使ってみると、入れ歯に圧迫された歯ぐきは痕がつき、微妙に形が変わります。微妙なキツさなどは、実際に使ってみないとわからないものなので使っていきながらの最終調整がとても大事なんです。

※参考書籍
 「nico 2018.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q19 この入れ歯を使って3年になります。ずっと快適に使ってきましたが最近ガタつきを感じます。どこも壊れていないように見えるんですが・・・なぜでしょう?
A19

気づかないうちに、人工歯がすり減ったり、細かいヒビが入っていることも。また、患者さんのお口の変化が原因の場合もあります。まずは、歯科医院で診てもらい不具合が拡大しないうちに修理してもらいましょう。

※参考書籍
 「nico 2018.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q20 入れ歯が壊れてしまったのですが・・・
A20

入れ歯は、何らかの衝撃を受けると壊れてしまうことは珍しくありません。壊れ具合にもよりますが、ある程度まで修理できるので、破片を持参して歯科医に相談してください
修理が不可能な場合は、新しい入れ歯を作ることになります。ただし、以前保険適用で入れ歯を作った場合、6ヶ月間は再度保険適用で同じ箇所の入れ歯を作ることはできません。壊れるところまでいかなくても、ひびが入ることもあります。この場合も、歯科医に相談してください。入れ歯の異常を早く見つけるためにも、定期検診は大切です。

入れ歯が壊れると、瞬間接着剤などを使って自分で直そうとする人がいますが、これは禁物です。一時的に修理できても、すぐに壊れてしまいます。また部分入れ歯のクラスプがゆるくなったので、自分で調整しようとする人がいますが、これも避けるべきです。こうした自己流の修理では十分なことができず、結局、歯科医院へ修理を依頼することになります。その場合は、修理期間も長くなり、費用もかさみます。

通常は修理期間として1~2日かかるかもしれませんが、当医院は技工士が常勤していますので1~2時間で修理が可能です。ヒビが入ったり、割れたりした時は必ず来院されて下さい。

※参考書籍 「入れ歯名人」 田中 久敏 監修 海苑社

河口

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