顎関節症
Q61 | いすに座って足を組むとどんな悪影響があるのですか? |
---|
A61 |
足を組んでいすに座ることは歯の噛み合わせを悪くする原因になります。実際に、足を組んだ姿勢で歯を噛み合わせると、足を組んでいないときに比べて顎の位置がずれてしまうことが明らかになっています。コンピューターで解析すると、足を組んでいないときと比較すると、足を組んでいるときは歯の接触面積は半分以下、噛む力も半分以下になるという結果がはっきりと出ています。 このように、いすに座って足を組んだ状態で食事をしたり、ガムを噛んだりしていると、顎関節にずれが生じ、噛み合わせがおかしくなってきます。また、顎関節のずれは、肩こりや首の痛みの原因にもなりますので、いすに座るときは、足を組むことをやめ、身体への負担が少なく、見た目にも美しい姿勢で座るようにしましょう。 ■こんな座り方していませんか?脚を組んで膝を内転させていますが、ポーズを作るために肩と腰椎、さらに足首も外旋させるモデル座りは大きな負担がかかります。真似をするのはやめましょう。肘掛けにもたれたり、足を投げ出したりするのもよくありません。 ■美しくいすに座るためのポイント・自然な形で背もたれに腰を当てる。 ・深く腰掛ける。 ・首すじをぴんと伸ばす。 ・胸を張り、顎を引く。 ・足をそろえてまっすぐ下へ。かかとを床につける。 ※参考書籍 「Tarzan 2016年2月11日号」 |
---|
Q62 | 楽器演奏や運動と顎関節症の関係を教えてください。 |
---|
A62 | 楽器を演奏したり、運動をするには基礎体力が必要です。ここでいう基礎体力とは、重力に抗して、よい姿勢でいることができる体力のことを指します。 基礎体力がないにもかかわらず、無理をして楽器を演奏したり、過激な運動をしたりすると、全身の骨格にゆがみが生じ、顎の関節にも悪い影響が出てきます。 例えば、楽器の演奏でいえば、あまり力を入れなくても演奏できる楽器ならよいのですが、トランペットのように下腹部や口元にかなり力を入れなければならない楽器の演奏や、ブラスバンドで重い太鼓を持たなくてはならないような場合などは、上半身をそらし、全身に力を入れなければなりませんから、腰や首ばかりでなく、全身に大きな負担がかかります。 そのため、ブラスバンド演奏で有名な学校では、楽器の練習の前に、まず腹筋運動をしたり走りこみをしたりして、基礎体力をつけることからレッスンを始めるとのことです。 中学校の学校歯科医として活動していた竹中正敏さんは、平成7年から追加された顎関節の診査で、「吹奏楽部の生徒に顎関節の異常が多く見られる」ということに気づいたそうです。また、詳しい調査で「弦楽器ではその演奏姿勢から、バイオリンやヴィオラ奏者に顎関節障害が多く見られる」、「声楽でもその最大開口量の大きさや長時間の開口が顎関節に悪影響を及ぼす可能性がある」などの報告も見つかったようです。顎のオーバーワークにはプレイ後のアイシングが効果的です。また、休みを入れながらの演奏練習をしましょう。ウォーミングアップやクールダウン、ストレッチングやマッサージは期待されているほど効果が出ないことも分かっています。
楽器の演奏だけでなく、運動にも気をつけなくてはなりません。「最近、運動不足だから少し運動をしなくては・・・」などと思って、いきなり激しい運動を始めたりすると、とたんに顎関節の調子が悪くなることがあります。また、運動部に所属している人では、「もうすぐ試合があるからがんばらなくては」ということで、一生懸命練習したことが原因で、顎関節症になるなどということもあります。 よい姿勢を身につけるには、毎日適度な運動をして、首、腰、大腿部などの筋力を鍛えることが大切ですが、過度な運動は禁物です。くれぐれも注意しましょう。 ※参考書籍 「筋の生理から運動指導・手技療法まで 歯科臨床が変わる筋機能学こと始め」 |
---|