顎関節症
Q31 | カラオケで思いきり歌って以来、口を開けると顎関節が痛いんです。顎関節症は不定愁訴を引き起こすって前に聞いたことがあって不安です。 |
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A31 |
顎関節症が体調を悪化させるという直接的な因果関係は認められていませんし、一般的に言われているような悪質な病気ではありません。そんなに怖がらなくて大丈夫ですよ。 ※参考書籍 「nico 2015.2 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q32 | マウスガードは何のために必要なのでしょうか? |
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A32 | マウスガード装着には様々な効果があります。 1.スポーツ外傷の軽減・予防日本スポーツ歯科医学会の研究から、マウスガードの装着はスポーツ時の口腔外傷の発生を抑制できることが明らかになっています。スポーツ時のマウスガード装着が選手の安全と健康維持に有効となることを知っておきましょう。 (安井利一ほか:マウスガードの外傷予防効果に関する大規模調査について-中間報告. スポーツ歯学, 17(1):9-13, 2013.) 2.強い噛みしめによる咬耗の予防スポーツ選手は、競技中に歯を強く噛みしめている場合があり、歯に著しい咬耗を誘発して徐々に下顎位が側方へ偏位していくことがあります。そのまま放置していると、臼歯が破折し抜歯することになったり、顎口腔系筋群や顎関節に障害をもたらしたりすることがあります。マウスガードの装着により、強い噛みしめによる歯の咬耗を防止し、下顎位や歯の損傷を予防することができます。 3.相手選手に対する傷害の防止コンタクトスポーツの競技時には、相手選手との接触で自身の前歯が相手選手の顔面や眼球、頭部などを損傷する場合があります。マウスガードを装着することによって、自身の前歯が適度な粘弾性を備えた材料で被覆されていれば、相手選手に傷害を負わせることを予防・軽減することができます。相手選手の安全を保つためにも、マウスガードを装着するように心がけましょう。 4.衝撃吸収と分散マウスガード材料が持つ粘弾性は、加わった外力の衝撃を吸収することができます。また、マウスガードは歯列全体を被覆しているので、衝撃力を局所的に集中させることなく分散する効果も発揮し、傷害を効果的に防止・軽減できます。 スポーツ時の接触により生じる衝撃力を吸収と分散により緩和し、歯冠部の破折、歯根部・歯槽骨の破折、歯の脱臼、下顎骨骨折、脳震盪、頸椎損傷などを予防・軽減できる可能性があります。ただし、過大な衝撃力が加わると傷害を予防しきれないことも認識しておきましょう。 5.顎関節の保護スポーツ時の接触により下顎へ加わった衝撃力が顆頭を介して顎関節に伝搬され、下顎頭頸部骨折や顎関節円板転位、外側靭帯損傷などの顎関節障害が生じる場合があります。これらの障害を防止・軽減する効果があり、二次的な問題となる咬合異常の発生も予防することができます。 6.顎位の安定マウスガードを装着すると噛みしめ時の顎位が安定し、頭や首、腰の位置を適正に保ち、身体バランスを良好に維持することができます。ただし、マウスガードに付与した咬合調整が不適切で安定していない場合は、顎位も不安定となってしまい、身体バランスが不良になるだけでなく、相手選手との接触時に衝撃力の吸収や分散機能が発揮されず、かえって局所的に力が集中して傷害を予防できないことがあります。このようなこともあることから、市販品のマウスガードではなく、咬合関係を適正に調整することができるカスタムメイドのマウスガードを使いましょう。 7.脳震盪の予防・軽減マウスガードを装着することで下顎に加わった衝撃力を緩和して頭蓋・脳へ伝達することができ、脳震盪の予防、脳への障害を軽減する可能性があることが研究によって示唆されています。 Hickey JC, et al : The relation of mouth protectors to cranial pressure and deformation. J Am Dent Assoc, 74(4) : 735-740, 1967. 武田友孝:マウスガードの装着ならびに咬合状態の相違が顎顔面頭蓋の安全性に及ぼす影響. 歯科学報, 103(9):705-713, 2003. 住吉周平ほか:マウスガードのスポーツ外傷予防効果―オトガイ部打撲を想定した有限要素解析. 日口外誌, 42(12):1192-1199, 1996 . 8.心理的効果他の選手との接触で本人が傷害を負ったり、他の選手に傷害を負わせてしまったりというような不安や恐れを、マウスガードの装着によって大幅に軽減することができます。このことから、リラックスした状態で安心して競技プレーに専念でき、集中力と積極性が増して伸び伸びプレーすることができます。選手本来の実力を発揮できるという心理的効果も期待できます。 9.スポーツパフォーマンス身体のバランスが良好に維持され、その結果、選手本来のスポーツパフォーマンスを安全に発揮することができます。 10.経済的効果マウスガードの装着で外傷を予防できれば、疼痛などの苦痛や治療期間の審美障害、治療のための時間的損失などを免れられるだけでなく、治療費もかからず、経済的効果も大変高くなります。 ※参考書籍 |
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Q33 | マウスピースは上顎・下顎、どちらに装着するか基準はありますか? |
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A33 |
通常上顎です。
※参考書籍 |
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Q34 | 顎関節症治療のマウスピースを装着しても痛みがなくならないのですが・・・。 |
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A34 |
マウスピースにも症状によって様々なタイプのスプリントがあります。ただ、噛み合わないようにするのがスプリントではありません。症状にあったスプリントを装着し、痛みがやわらいだところで、原因を診断し、治療することをおすすめします。
※参考書籍 |
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Q35 | 22歳の女性です。先日歯科口腔外科を受診して、顎関節症と診断されました。でもそのお医者さんは、完治することはない、一生マウスピースを装着しなければならないと言っていました。治療に時間はかかってもいいので完治させたいです。一生マウスピース生活は嫌です。 |
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A35 |
マウスピースで上下の歯を接触させないようにすると症状はとれますが、根本的な噛み合わせの原因は解決できていません。一生マウスピース生活ではなくても、きちんと診査診断をして原因を見つければ解決できるので大丈夫ですよ。
※参考書籍 |
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Q36 | 顎関節症の治療で歯を削られたのですが、正しい治療なのでしょうか? |
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A36 | 文献から咬合調整を顎関節症の初期治療に行うべきではないという結果が出ています。 かつては、顎関節症の原因は噛み合わせの悪さであると思われていました。したがって「治療には、悪い咬合を正しい咬合に修正することが必要である」と、積極的に咬合調整を行っていた時代もありました。安定した咬合関係をつくることにより顎関節や咀嚼筋への過剰な負担を軽減することとされていたためです。しかし、咬合調整によって患者さんの痛みが消えた、開口量が増えたということにはつながりませんでした。 咬合調整は、多くの先人によりさまざまな手法が考案されてきましたが、その対象は顎関節の痛みや開口障害のある患者さんではなく、健全な顎関節と筋組織を備えた患者さんです。顎関節症の患者さんの場合、痛みや開口障害によりもともと下顎位が不安定なうえ、筋疲労や関節痛などによっても下顎位が変化しやすい状態です。そのような状態で咬合調整を行っても、改善された咬合関係を維持することは困難です。このようなことから、咬合調整が顎関節症患者の治療で効果が上げられなかったと考えられます。 現在では、顎関節症には多様性があり、さまざまな原因で生じる疾患であることが判明していますので、初期治療では歯を削るなど咬合調整や外科的療法のような不可逆的な処置は避けるべきであるという概念が、常識になっています。患者さんに害をもたらすリスクの高い不可逆的治療を最初に選択するのは好ましくありません。 外科的処置をしない顎関節症の可逆的な保存療法には、患者教育とセルフケア、認知行動療法、薬物療法、理学療法、スプリント治療などがあります。 運動療法や理学療法などの保存療法の30年間の経過を追跡した研究があります。その研究では「治療された99名の顎関節症内障患者は治療開始後2~4年後で疼痛や開口障害などは優位に消失し、その後は30年後までほとんど症状の再発はみられなかった。また、2~8年半の縦断研究において、保存治療によって85%の患者さんに疼痛症状の消失もしくは改善がみられた」と報告されています。 このように、ほとんどの顎関節症は可逆的な保存療法によって症状が消失もしくは緩解することがわかっています。 しかしながら、初期治療がある程度進んだ段階でデータを再分析した結果、若干の咬合調整が必要な状況もあり得ます。さらに、治療が終了して症状が消失すると、その段階で咬合が不安定になって食事がしにくくなるケースもあります。そのような場合は、咬合をつくり直す必要が生じます。いずれにせよ、咬合調整はあくまで“アフターケアとして行う処置”であると、考えていただいたほうがよいでしょう。 ※参考書籍 「顎関節症のリハビリトレーニング」 「顎関節症Q&A 自分でできる予防と治療のアドバイス」 |
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Q37 | 噛み合わせ・噛みしめと姿勢は関係あるの? |
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A37 |
姿勢は人が筋力を発揮した結果であるため、姿勢を見ることにより適切に(機能的に)筋力が使われたかどうかを判定できます。 下の図を見てもらうとわかりやすいと思います。 ●例 消しゴムと鉛筆の位置関係(姿勢) 消しゴムの正中線に沿って正しく力を加えてやれば、消しゴムを直線的に押すことができます。もし、押す位置が不適切であれば、真直ぐに押すことができません。このように、消しゴムと鉛筆の位置関係(姿勢)により、力が無駄になったり役立ったりするのです。 これを口腔領域の問題としてみたとき、よくわかる例が前方頭位姿勢(forward head posture)です。 体軸から前方へズレた頭部の重さを支えるために、常に肩部や頸部の筋肉が過度の緊張を強いられることになります。このことにより、首や肩の凝りが発生し、噛み合わせなどにも影響が出ます。 また、噛みしめは関節を固定し、姿勢維持に貢献するものとして考えられています。実際、人の運動を観察してみますと、耐える動作や身体を固めて護る動作をする場合に噛みしめが見られます。
※参考書籍 |
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Q38 | 顎が痛くて、片側の歯が強く当たります。咬合調整で治りますか? |
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A38 | 可逆性と診断した場合には、顎関節症症状の消失にあたるとともに、咬合接触状態が元に戻るのを待つという対応をとります。筋痛が原因となっている場合は、開口ストレッチが有効です。 不可逆性と診断した場合には、顎関節症症状の治療期間中に咬合接触状態を観察し続け、顎関節症症状が消退後に偏位した下顎位がその位置で安定していること(来院ごとに同じ咬合接触状態であること)を3か月程度確認し、その位置で正常な咬合接触を与えるために、下顎の偏位量に応じて咬合調整あるいは咬合再構成を行って治療を終了します。
※参考書籍 |
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Q39 | 口を開け閉めしているときに頭も動いているって本当? |
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A39 |
顎の開閉運動により、口は開いたり閉じたりします。 実は、顎の開閉運動では上の顎、下の顎を両方とも動かしているのです。 顎の過用や頻繁な噛みしめ、歯ぎしりにより、首や肩の“凝り”が生じるのは、これが原因となっているのです。
※参考書籍 |
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Q40 | 最近噛みしめをするようになってから首が凝るのですが関連性はありますか? |
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A40 |
近年、咬合(噛み合わせ)と全身の関わりについて関心が高まっています。そして、多くの研究がされており、姿勢と下顎位の関連について解明されつつあります。 顎の開閉運動では、下顎を動かす咀嚼筋だけではなく、上顎を保定するために首や肩の筋肉も活動します。胸鎖乳突筋は屈曲にも伸展にも働くため、重要な筋肉です。 このことから、長時間強く噛みしめると、噛みしめに主に働く咀嚼筋だけでなく、頸部の筋肉も凝るのは当然であることが分かりますね。
関連Q&A
※参考書籍 |
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