歯ぐき
Q11 | 歯ぐきがやせるとどんなトラブルが? |
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A11 | 本来なら歯ぐきに覆われている場所が露出したり、歯ぐきがくぼんでしまいます。すると歯が不自然に長く見えたり、歯ぐきに影ができて暗くなり、見た目が老けた印象になってしまいます。 |
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Q12 | 歯周病で歯ぐきがやせてしまいました。前歯が長く、歯根が見えて老けた印象です。若々しい口もとにしたいですが、歯ぐきって増やせるのでしょうか? |
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A12 | 大丈夫。歯周形成外科で改善できます。 歯科の治療には露出してしまった歯の根を移植した歯ぐきで覆う「根面被覆」があります。歯ぐきをお口のなかの別の場所から採取したり、隣の歯ぐきから移動させてくる外科治療です。根面被覆のメリットは、審美性の改善だけではありません。歯の根元を新たな組織で覆うことで、歯を長持ちさせる効果や知覚過敏の抑制が見込めますよ。 ただし、きれいな口もとを維持するには、手術だけでなくお口の健康管理が大前提です。
※参考書籍 |
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Q13 | 子どもの頃に受動喫煙の影響で黒ずんだ歯肉は、大人になれば消える? |
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A13 | 歯肉の黒ずみの原因が受動喫煙の場合、黒ずみの消失は早いでしょう。しかし、黒ずみはタバコだけが原因とは限りません。 歯肉の黒ずみの症状はメラノーシスと呼ばれます。メラノーシスは、歯肉上皮の基底細胞で、黒ずみの元になる成分の産生が高まることで起こります。基底細胞で産生された後、上皮に運ばれる過程で酸化されて発色し、そのあと代謝により排出されます。これは、歯が黒くなる理由(外来性色素沈着)とは大きく異なります。 メラノーシスは喫煙開始から1年以内の喫煙者の大多数にみられることから、歯肉の色素細胞は喫煙に敏感であることは確実であり、タバコの成分がメラニン色素産生細胞を刺激する経路も推定されています。 喫煙者の歯肉メラノーシスに関しては、国内外の報告で、禁煙後3~5年経過すると、約半数においてメラノーシスが消失したとされています。そして、年齢とともにメラノーシスの割合は低下していきます。喫煙の量とメラノーシスの程度には量一反応関係があることから、受動喫煙によって起きる歯肉の黒ずみの場合、消失するまでの期間は、より短いと推定されます。また、成人は子どもより歯肉の角化度が高いため、成長するにしたがって黒ずみが見えにくくなる可能性も想定されます。 歯肉の黒ずみが気になる場合、審美面をカバーする脱色治療法が確立されています。しかし、喫煙により再発してしまいますので、治療を機会に禁煙を勧めるとよいでしょう。 歯肉メラノーシスの原因では、喫煙以外に遺伝や全身疾患との関連が示されています。たとえば、皮膚や髪の毛の色が濃い人には歯肉メラノーシスが多いなど、非喫煙者や受動喫煙がない場合にも見られることがあります。歯肉の黒ずみはタバコ以外の理由で起きる場合もあると知っておくことはたいへん重要で、黒ずみがあるからと言って受動喫煙の影響だと早合点させてはいけません。 参考文献1.埴岡 隆, 田中宗雄, 玉川裕夫, 雫石 聰. 喫煙習慣が関係する歯肉メラニン色素沈着の疫学的研究. 口腔衛生会誌 1993; 43; 40-47. 2.埴岡 隆. 喫煙による子どもの健康被害 7.子どもの口腔内へのタバコによる健康影響. 小児科臨床 2008; 61(3): 397-404. 3.厚生労働省 喫煙の健康影響に関する検討会編. 喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書. 2016. ※参考書籍 |
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Q14 | 歯周形成外科の手術前の注意点は? |
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A14 | 手術前に、必ずお願いしたいことがあります。 |
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Q15 | 歯肉が黒っぽくて気になります。原因はなんですか? |
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A15 | 歯肉が黒くなる原因は、内因性と外因性のものがあります。 内因性のものは遺伝的なメラニン色素の沈着です。 外因性のものはタバコでの着色や嗜好品の形で取り込まれたものが原因です。 治療で金属を使った土台や冠が影響して歯肉が黒ずんでしまうこともあります。(メタルタトゥ) メラニン沈着の治療は、薬剤を塗布し治すことができます。金属による黒ずみは金属の冠、土台を金属の使っていない樹脂性の土台、セラミック冠にやりかえ、歯肉切除をするなどの方法があります。 気になるようでしたら早めの受診をオススメいたします。 ピンク色の歯ぐきは歯の白さを際立たせ、健康的な印象をあたえます。 |
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Q16 | カルシウム拮抗薬による歯肉増殖では、薬剤を変更したほうがよいのでしょうか? |
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A16 | 内科主治医と相談し、カルシウム拮抗薬以外の高血圧治療薬(利尿薬、α・β遮断薬、アンギオテンシン返還酵素阻害薬など)への変更が可能かどうか問い合わせるのがよいでしょう。 ※参考書籍 |
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Q17 | 歯ぐきが腫れてなければ、少々磨かなくても大丈夫でしょ? |
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A17 | 歯周組織が健康でも一時的に歯を磨かなければ誰でもエンドトキシン血症を発症します。 米国・インディアナ大学の研究チームは、歯も全身も健康な若者50名(平均年齢24.7歳)を対象に3週間の歯磨きを中止するという臨床研究を行いました*)。 その結果、被験者が歯肉炎を起こしただけでなく、56%の人がエンドトキシン血症を発症し、エンドトキシン(LPS)の血中平均濃度は0.74EU/mLと、腎臓病患者と同程度の濃度を示しました。 また、歯肉炎指数に加えてプラーク数が上昇しており、エンドトキシン血症はプラークの蓄積による歯肉炎が関与していることがわかりました。 さらに、健康な若者が参加したこの臨床試験では、エンドトキシン血症発症後に歯科衛生士の専門的歯面クリーニングを受け、自宅での歯磨きを2週間続けると歯肉炎指数、プラーク指数が低下するとともに、0.74EU/mlまで増加した血中エンドトキシンは検出限界の0.08EU/ml以下になることが示されました。 *)Wahaidi V Y, et al. Endotoxemia and the host systemic response during experimental gingivitis. J Clin Periodontol 2011. 38(5):412-7. ※参考書籍 |
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