歯周病

Q81 なぜ歯周病はからだに悪いのですか?
A81

歯周病を放置している患者さんの歯周ポケットは、歯周病菌の培養工場であり増殖した歯周病菌の貯蔵庫になっています。腫れて破れた歯周ポケットの上皮からは血清成分や血液が行き来しますが、貯蔵庫にいる細菌の出す毒素や細菌そのものも血液の流れに乗って絶えず体内へと流れ込み、悪さをします。ただれた上皮をトータルするとなんと手のひらサイズの面積になります。この大きな潰瘍から、毒素や細菌、炎症物質が常時体内へと流れていきます

※参考書籍 「nico 2013.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q82 電動歯ブラシと普通の歯ブラシでは電動歯ブラシのほうがいいですか?
A82

一概にどちらがいいとは言えません。電動歯ブラシには、たくさんの種類があり、それぞれブラシの形、大きさが違っています。単純な一平面を磨くことにおいては、電動の方が短時間で効率良くできると思いますが、複雑な形をした歯に、毛先がうまくあたっていないと意味がありません。

歯科医院で自分にあった歯ブラシの使用法の指導をうけることをおすすめします。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q83 電動歯ブラシだけで歯周病予防は万全ですか?
A83

電動歯ブラシも手動歯ブラシも同じブラッシングの道具です。正しく使うことが大切で、どちらが効果があるとはいえません。また個人差はありますが、確かに歯ブラシだけでは磨ききれない場所は出てきます。例えば歯と歯の間などがそうでしょう。このような場所には歯間ブラシやデンタルフロスといった補助的な道具が必要になります。ただし高齢や病気などの理由で、手が動かしづらい場合には電動歯ブラシは、効果的な道具となるでしょう。また、唾液分泌を促進する電動歯ブラシもありますので、詳しくは歯科衛生士までお気軽にお尋ねください。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q84 歯は昔から丈夫で自信があります。でも、近ごろ歯ぐきから血が出たり、疲れると歯が浮く感じがするんです。
A84

間違いなく歯周病の症状ですね。もう何年も歯科医院とご無沙汰なのでは?できるだけ早く歯周病の検査を受け、プラークと歯石をしっかり取ってもらいましょう。

※参考書籍 「nico 2013.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q85 歯周病になると心臓や脳の血管が詰まりやすいのですか?
A85

血管が狭くなって詰まることでおきる心筋梗塞、脳梗塞と歯周病の関連が近年指摘されるようになりました。まだ疫学的には証明されていませんが、歯周病菌の毒素が血管の壁を厚くしたり脂肪のかたまりや血栓を作るなどさまざまな関与が指摘されています。糖尿病との関係ほどはまだ解明されていない血管障害への関与ですが、今後のさらなる研究が待たれます。

※参考書籍 「nico 2013.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q86 歯周病菌は女性ホルモンが好きって本当ですか?
A86

「子どもを産むと歯が弱くなる」と聞いたことはありませんか?実は、これには理由があります。歯周病菌の仲間のなかには女性ホルモンをエサにしている細菌がいて、女性ホルモンの分泌量が増える妊娠中に、俄然元気になって増殖しやすいのです。「赤ちゃんがカルシウムを使ってしまうから歯が弱くなる」というのは迷信です。女性のお口は男性よりも歯周病になりやすいです。プラークコントロールで日ごろから歯周病菌を減らしておきましょう!

※参考書籍 「nico 2013.4 クインテッセンス出版株式会社」

Q87 現在、歯周病ではないのですが、どのようなことが影響して歯周病になるのですか?
A87

ヒトは胎児のときには無菌状態ですが、出産時に母体の産道で細菌に遭遇し、その後は有菌的な状態で一生を過ごします。特に、皮膚や粘膜など外界と接する部位には多種多様な細菌が定着していますが、このような細菌群のことを常在細菌叢といいます。口腔内には700種類以上の菌種が存在していますが、そのほかに、真菌、アメーバ、トリコモナスやウイルスが検出されます。

口腔内では、粘膜面だけでなく、舌、歯の表面、歯肉溝、唾液など、それぞれの部位で特有の常在細菌叢が形成されています。さらに、口腔清掃を怠ると、歯の表面には細菌が増殖し、プラークと呼ばれる細菌の密集した集団が形成されます。このようなプラーク中の細菌は、浮遊菌と異なる生態系を作り、さまざまな栄養成分を取り込んで増殖し、口腔領域における2大感染症であるう蝕歯周病を引き起こします。

プラークの蓄積を助長するリスクファクター(危険因子)というものがあります。

リスクファクターとは、「リスクファクターに曝露することで、疾患が起きる可能性が増加する。また、リスクファクターは原因の一つであるかもしれないが、それがあったとしても疾患が必ず発症するわけではない。」と述べられています。どのようなリスクファクターがあるかを確認しておきましょう。

リスクファクターの分類

変えることのできる要因
(modifiable risk factor)

 細菌因子

 全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、好中球機能不全、HIV感染、肥満)

 環境因子(喫煙、ストレス、飲酒、栄養)

容易に変えることはできない要因
(Non-modifiable risk factor(determinant))

 全宿主因子(加齢、性、遺伝的要因)

変えることのできる要因は治療法を選択する時に有用な情報になり、容易に変えることはできない要因は将来の進行予測のために参考とすることができます。

※参考書籍
 「ビジュアル 歯周病を科学する」
 監修 天野敦雄 岡賢二 村上伸也 クインテッセンス出版株式会社

 「ザ・ペリオドントロジー」
 編集主幹 和泉雄一 木下淳博 沼部幸博 山本松男  永松書店

Q88 歯石を取ったあとから歯がしみるようになりました。大丈夫なのですか?
A88

歯石を取ったあと、腫れていた歯肉が引き締まり歯根が露出する場合があります。

ほとんどの場合、丁寧にブラッシングを続けているとおさまってきますが、症状が長引く場合にはかかりつけの歯科医院で診てもらいましょう。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q89 歯科衛生士に歯石を見せてもらいました。黒い歯石と白い歯石がありますが、違いは何ですか?
A89

歯石が付着する場所は主に2箇所あります。

歯肉縁上歯石(白い歯石)

歯面に付着した歯石のうち、歯肉辺縁より歯冠側に存在するものを歯肉縁上歯石といいます。通常は乳白色や黄白色ですが、歯肉縁下に形成された黒褐色の歯肉縁下歯石が歯肉退縮により歯肉縁上に現れることがあるため、歯石の色だけでは判断せず、付着する位置で決定します。

好発部位

下顎の前歯の裏側、上顎の奥歯の頬側

特徴

・だ液由来の材料で作られるため、だ液の出る穴がたくさんある場所につきやすい

・おおむねエナメル質上のペリクルというたんぱく質に付着する

歯肉縁下歯石(黒い歯石)

歯肉辺縁より根尖側に付着した歯石を歯肉縁下歯石といい、歯肉溝滲出液や血液由来のヘモグロビン(血清)を含むため茶褐色や黒褐色となっています。

好発部位

ポケットの深いところ

特徴

・血清由来の材料で作られる

・セメント質の凸凹した面に入り込むように付着する

細菌がつくといけないので、定期的なメインテナンスを利用してしっかり歯石を除去しましょう。

※参考書籍
 「ザ・ペリオドントロジー」
 編集主幹 和泉雄一 木下淳博 沼部幸博 山本松男  永松書店

Q90 歯肉炎と歯周炎の違いって何ですか?
A90

以下を参考にして下さい。

歯肉炎 歯周炎
歯肉の発赤・腫脹 あり あり
ポケットの形成 歯肉ポケット 歯周ポケット
歯槽骨吸収 なし あり
歯の動揺 なし

あり
(軽度ではなし)

 

※参考書籍
 「ザ・ペリオドントロジー」
 編集主幹 和泉雄一 木下淳博 沼部幸博 山本松男  永松書店

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