歯周病
Q61 | 禁煙しないと歯周病は治らないのですか? |
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A61 |
禁煙は歯周治療の効果を高めることに繋がります。 非外科処置における喫煙の影響に関するシステマティックレビュー
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Q62 | 喫煙すると歯周病のリスクはどのくらい増えるのですか?もし禁煙するとすぐリスクは下がりますか? |
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A62 | 喫煙によりリスクが上がり、禁煙によりリスクが下がります。 ※参考書籍 「ペリオバカ養成講座~学びの門戸を開くための100の質問~」 |
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Q63 | 最近以前より歯ぐきが赤くなったように感じます。病的な歯ぐきに対する指標ってありますか? |
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A63 |
歯ぐきの色を見ます。鏡さえあれば、自分で診断できます。 唇を、指でそっとめくり返します。 鏡の中に手前から、 A 乾いた唇(口紅を塗る部分)B 唇の裏側(濡れている部分、粘膜)C 歯ぐき(歯が生えている土手)が、この順で映っていると思います。 ABCの色の濃さを比べてください。A口紅を塗る唇が最も濃く、以下、B唇裏、C歯ぐきとだんだん薄くなり、歯ぐきが若々しいピンク色なら、健全です。年齢に関係ありません。 もし、C歯ぐきが、B唇裏(粘膜)と同じくらいの濃さか、あるいは唇裏より濃いというのなら、歯ぐきは病んでいます。一般に、ひどくなるほど紫色がかって、色が濃くなります。
唇をめくり返して比べる方法は、片山式自検法といいます。慣れると、テレビに出る芸能人の歯ぐきが健全か病んでいるか、一目で判断できます。
※参考書籍 |
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Q64 | 歯槽膿漏になりたくないのですが、どんな症状が出ると歯医者に行った方がいいんでしょうか? |
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A64 |
歯を意識したら気をつけてください。 急性症状は、体調の谷間で無理をしたとか、疲れが溜まったときよく起きます。病気ほどでなく「体調がすぐれない」ときが、最も警戒しなければなりません。特に気を付けたいのは、歯(正確には歯ぐき)がむず痒いなど「歯を意識した」場合です。多くは、急性症状の起きかけです。 歯槽膿漏の症状は一般に地味です。うずくだけで、立派な急性症状です。歯を意識するのは異常感のためで、この入り口です。急性症状の手当てを行い、「歯の安静」を保ちつつ、非常に軟らかい歯ブラシで、そ~っと長時間かけて磨くブラッシングによって、ばい菌の後続を断つのが最善です。しかし歯を意識すると、逆に予防のつもりで、例えばスルメやピーナッツを噛みしめてたくさん食べ、後でひどく腫れる例が目立ちます。一時の一念発起は、膿漏治療にかえって有害です。徐々に、ごく少しずつ鍛えていくことが大切です。
※参考書籍 |
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Q65 | 歯槽膿漏時のみがき方について教えてください。 |
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A65 |
歯周病(歯槽膿漏)はずっと同じやり方では治りません。 症状改善に伴って、磨き方を変更し、たえず最善の刺激を与え続けることが回復の秘訣です。 1.磨きはじめ磨きはじめに最も大切なことは、「決して痛くしない」ことです。油絵用の画筆など、決して痛くない極軟毛ブラシを使いましょう。一か所ずつ意識して、じっくり確認しつつ磨きます。それでも痛い恐れがありますから、初めは毛を寝かせ気味にします。痛くないことを確認し、出血もなければ、日を追って毛を立ててゆきます。 注意点として、ブラッシングしているのに何度も腫れるようなら、歯ぐきに関心の強い歯科医院へ行ってください。専門的な処置が必要になります。
2.腫れが静まったら次は歯ブラシを使います。ひどい腫れが一段落した部分や、そう腫れていなかったので最初から歯ブラシで磨きはじめた部分は、(1)毛を寝かせ気味にする、(2)直角に当てる、(3)歯ぐきに突き立てる、と変えてゆきます。痛くなく、出血しない場合は、1~2日で次の段階に進め、突き立てて磨いても大丈夫なら、ブラシを一段階硬めのものに変えてもよいでしょう。ポイントは「歯と歯ぐきの境目と、歯冠部(歯と歯の間)の歯垢除去」です。歯間に毛先を突っ込み、振るわせなければ、ここの歯垢はとれません。一~二列の毛のブラシを使いましょう。 ブラッシングし始めた当初から、悪い部分と比較的良好な個所とでは、当然用いるブラシも異なってきます。二種類以上の適切なブラシを併用するのがブラッシングの必須事項です。
3.歯間空隙重点期ブラッシングを続けると、歯ぐき(歯の根元から5~6ミリ幅)の色が、それより外側の粘膜部より淡くなり始めます。歯間部にこの時期、隣り合う2つの歯の間に三角形の隙間が出来てきます。これが歯間空隙です。 この状態では、軟毛ブラシ(軟らかめより一段軟毛のブラシ)を歯間に突っ込み、振るわせます。二列以下でないと、毛がよく入りません。歯ぐきが下がってきて、「歯が長くなった」と感じる人も多いと思いますが、この場合、「昨日までは毛先が届いたのに、同じ磨き方では今日はもう毛先が届かず、磨けない」ということになってきます。そこで、次のように磨きましょう。 (1)かなり力を入れ、ブラシを当てると歯肉が白っぽくなるくらい、歯間に圧しつけてゆく(2)必要であれば、ブラシの握り方をペン方から「わしづかみ」にする歯肉鍛練のため、力は次第に「力まかせ」くらいに強めていきます。 また、フォーンズ法(後述参照)を併用すると、歯肉全体の活性が上昇し、悪い部分の回復にも効果があります。
4.くぼみ退治期(クレーター退治期)順調な人で当初から1~2ヶ月、標準で2~3カ月で歯間空隙が広がってきます。 「突っ込み振るわせ磨き」が痛くないこと、歯間空隙が拡大し続けていること、出血はないことが目途になります。この段階では、市販の軟らかめブラシ(二列以下)で「突っ込み振るわせ磨き」を続け、別のブラシでフォーンズ法を併用してください。ブラッシングが定着し、気分もダレやすいので注意が必要です。 くぼみの中をしっかり磨くことで、腫れがなくなり下がった歯ぐきが、中の骨が再生してきて盛り上がってきます。
5.歯肉の後退磨き続けてよくなってくると、歯間の歯ぐきが後退し、歯が長くなったように感じることが多いですが、これは回復の証拠です。女性は美容上気になるかもしれませんが、ぜひ続けて頑張ってください。
フォーンズ法外側は歯を噛み合わせ、下あごを前に出し、大きな円を描くように上下の歯ぐきも一緒に磨きます。 裏側は平行線を描いて、手前にこすります。「ついでに歯を磨く」感じです。 こすって鍛えることが主な目的です。 歯間空隙重点期のブラシは「軟らかめ」(三~四列)です。 くぼみ退治期のブラシは、市販の「普通」の硬さでよいでしょう。
補助器具ブラッシングの補助器具に、ラバーチップ・ワンタフトブラシ・うがい液・歯間ブラシ・デンタルフロス・水の噴出機などがあります。それぞれ正しい使い方を歯科医院で教えてもらって、継続的にケアしましょう。
※参考書籍 |
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Q66 | 歯槽膿漏時、磨きすぎか、治って健康に近づいているのか分かる方法はありますか? |
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A66 |
露出してきた根を見てください。 磨きすぎなら歯の一部分だけ、多くは前歯の唇側だけが、根の露出を起こします。対して、治ってきているのなら、歯のぐるり全面、根が露出してきます。さらに具体的には、歯間乳頭はそのままに盛り上がっている(磨きすぎ)か、歯間乳頭も縮んできている(治ってきている)かを見てください。 歯の全面、根が露出してきているのなら、磨きすぎの心配はまったく要りません。
※参考書籍 |
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Q67 | ある歯科医院に行って“歯磨きをするとよく出血するのですが”というと、悪い血はどんどん出してしっかり磨いてくださいと言われました。本当ですか? |
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A67 |
出血は、血管が破れたということです。 動脈なら血管内の圧力が高いため血が外へ出るだけです。しかし、毛細血管や静脈だと、血圧は無いに等しく、出血時に周囲から血管内にバイ菌が入ってくる可能性があります。 口の中は細菌でいっぱいです。特に膿漏部分は歯根と歯肉がはがれ、ポケットと呼ばれる狭い空間が出来ていて、中に歯槽膿漏の原因菌と考えられる嫌気性菌がたくさん詰まっています。 歯ブラシでこすると、血管を順に圧迫し、血液を一方に押し流していきます。ブラシが通過して血液がなくなった部分は、真空(陰圧)になります。近くに穴があれば、そこから中へ物質が入り込みます。物質にはバイ菌がたくさん含まれますので、出血時のブラッシングは、バイ菌を吸い込ませて大変危険です。 このように、出血時に、ブラシの先で血管内を陰圧(周囲より圧力が低い状態)にして、バイ菌を血管内に揉みこむのは、悪い影響を及ぼす可能性が極めて濃厚です。 出血に構わずに磨き続け、それが成功して悪影響も現れず歯ぐきがよくなっていく患者さんも多いですが、これらは歯槽膿漏の進行のまだ浅い、若くて症状もひどくない人が中心でしょう。また、出血は全身への悪影響をもたらすこともあり得ます。 症状がどのくらい進んでいるかは、患者さんには正確にはわかりませんので、歯科医院に行き、診察を受けて進行度をチェックしてもらいましょう。
※参考書籍 |
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Q68 | 歯ぐきが赤いまだらのようになっていますが、大丈夫でしょうか? |
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A68 |
歯ぐきが健全なら全面ピンク一色で、まず「まだら」はありません。 粘膜部のような「濃い赤」が、歯肉にまだらに現れたら、「病気」の印です。腫れている状態です。歯肉の「赤まだら」を探すと、再発や症状後退を早期に発見する手掛かりになります。 他にも、次のようなまだらがあります。 赤紫まだらポケット内部でバイ菌が増殖して炎症が進んで広がり、急性症状が起こった結果、歯ぐきは赤紫色に腫れます。最大の警戒が必要です。歯肉膿瘍となり「白まだら」も発生します。 白まだら歯肉膿瘍の頂上は、ときに白く膿がたまることがあります。その周囲はひどい「赤紫まだら」になっています。 真紅まだら歯肉膿瘍ほどはっきり腫れなくても、歯肉に隠れた歯石が中心となり、歯との境目の歯肉が一部分、ひときわ鮮やかに真っ赤に発色することがあります。周りが腫れていても、そこは真紅に彩られて目立ちます。この発色は必ず歯に接して発生します。歯肉膿瘍と同様か、場合によってはそれ以上に警戒しなければなりません。 黒まだらごくまれに健全でも歯肉が黒いまだらになった人がないことはありません。しかし「黒まだら」のほとんどは体質ではなく、歯槽膿漏のためです。体質の黒まだれはごくまれで、この場合は他の兆候によって健全とすぐわかります。他にも、金属イオンが原因の「黒まだら」もあります。 各種のまだらは、金属による黒まだらを除いて、すべてブラッシングで膿漏が治っていくにつれ、順調に消えるものです。まだらを「膿漏の指標」として、退治に励んでください。
※参考書籍 |
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Q69 | 咬み合わせが悪いと骨が溶けるって本当ですか? |
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A69 |
歯槽膿漏にやられるのは、確かに歯一本ずつです。けれど歯は、上下で咬み合っています。それも奥歯ではっきり分かりますが、単純に上一本と下一本が咬み合うのではなく、上下が微妙にズレていて、噛むときには一本の歯が、上下反対側の二本ずつの相棒(対合歯)と咬み合います。 さらに歯は、隣同士も接触し、もたれ合っています。だから咬合が一か所変化すると、上下も前後(左右)も影響して、ズレた同士がまた上下でぶつかり合い、歯列全体に影響が広がります。そのため、一本の膿漏歯を治すためにでも、その上下反対側の歯や前後(左右)の広い歯列の嚙み合わせを診る必要があります。
※参考書籍 |
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Q70 | 早期接触って何? |
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A70 |
非常に多いケースですが、歯が一本だけ浮いて少し背が高くなり、噛むたびにその歯が他の歯よりも一瞬早くぶつかることをいいます。
※参考書籍 |
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