歯周病

Q51 歯周病って生活習慣病なんですか?
A51

そうです、歯周病は生活習慣病です
朝は惰性で雑な歯みがきをして、タバコを吸って、夜はお酒を飲んで歯みがきしないで寝ちゃう。
これはぜんぶ歯周病を悪化させる生活習慣です。
また、影響が大きいのが毎日の食事内容。
軟らかくて味の濃い(甘みも強い)ものばかり食べていると、ベタベタの食べかすが口に残り、プラーク(細菌)が増えやすく、同じ食卓を囲む家族ぐるみで口内環境が悪化しやすいんです。
生活習慣の改善はなかなか難しいのが現実ですが、歯周病の治療の重要な柱です。

1.たばこを吸う

たばこは歯肉の血行を悪くし、歯肉の細胞にダメージを与えて歯周病のリスクを高めます。

2.疲労やストレスをためている

疲労や睡眠不足が続くと免疫力が低下し、口のなかのケアもおろそかになるため、歯肉の炎症を悪化させます。ストレスなどによる歯ぎしりも、症状を進行させる要因に。

3.よく噛まずに食べる

よく噛んで食べると唾液がじゅうぶんに分泌され、口のなかの汚れを洗い流し、細菌の繁殖しにくい環境に保ちます

4.間食が多い

食後に歯をみがいた後は甘いものを控えたいもの。特に口のなかに長くとどめるキャンディー、キャラメルなどは歯垢を増やすもとです。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q52 歯周病とメタボリックシンドロームに関連性はあるのですか?
A52

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態のことです。

糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、おなかのまわりの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きくかかわるものであることがわかってきました。

メタボリック症候群の診断基準は2005年4月に作られました。

ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上を基盤とし、さらに、下の3つの症状のうち2つ以上該当した場合、メタボリックシンドロームと診断されます。

1.中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満のいずれかまたは両方

2.血圧が上で130mmHg以上、下で85mmHg以上のいずれかまたは両方

3.空腹時血糖が110mg/dl以上

大きな特徴は内臓脂肪を基盤とすることであり、高血圧、高血糖、脂質異常の値がさほど高くなくても脳卒中や心筋梗塞の危険性が高くなります。

歯周病とメタボリックシンドロームの関連性が注目されています。

詳しいメカニズムは解明されていませんが、歯周病の病巣から放出されるLPS(歯周病菌由来の毒素)やTNFαは脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させます。また、重度歯周病患者では血中CRP値が上昇し、動脈硬化や心筋梗塞発症のリスク亢進と密接に関与すると考えられています。さらには、この慢性炎症が個体の老化を促進するという論文も出てきました。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q53 ED(勃起不全症)と歯周病の関係について教えてください。
A53

現在、ED(勃起不全症)と歯周病の関連が注目されています。

2012年の「米国泌尿器科学会年次集会」で以下の報告がありました。

・慢性歯周炎の人の割合

ED群 27%

EDでない群 9%

・重度慢性歯周炎の割合

ED群 53%

EDでない群 23%

 

陰茎の内部に何らかの理由で血液がスムーズに流れないと、勃起できなくなります。こうした血行障害を起こす原因にはストレスなどさまざまなものがありますが、血管内皮細胞の機能が低下するとEDになりやすいことがわかっています。歯周病はいってみれば、ずっと炎症が続いている状態ですから、血液を通して血管内皮細胞を傷つけている可能性があります。

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q54 バージャー病と歯周病の関係について教えてください。
A54

バージャー病は、タバコを吸う20代から40代の男性に多い難病で、閉塞性血栓血管炎とも呼ばれます。日本には約1万人の患者がいるとされています。

バージャー病を発症すると、手足の末端の血管が詰まって炎症が生じて、皮膚に痛みや潰瘍を起こし、放置すれば足が腐ってしまいます。

これまで原因不明とされてきましたが、東京医科歯科大学の研究グループがバージャー病患者14人を調べたところ、全員が中等度から重度の歯周病と診断されました。さらにバージャー病患者の幹部から取り出した血管試料の大半から、歯周病菌が検出されたのです。一方、正常血管の試料からは歯周病菌は全く検出されませんでした。

この研究によって、バージャー病の原因や悪化には口の中の細菌、とくに歯周病菌がかかわっている可能性が濃厚になりました。

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q55 口呼吸は歯周病に悪いのですか?
A55

口呼吸することにより口の中が乾きやすくなり、プラークが溜まりやすくなります。

口呼吸が歯周病に悪いというのは、口が開くことによって、歯と歯ぐきの周囲が乾燥し、歯周病菌は粘度を持つことで歯にへばりつこうとすることにあります。また唾液による自浄作用がなくなることから口の中の細菌の活動性を高めるなど、悪影響があります。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q56 メインテナンスごとに毎回SRPをするのはなぜ?
A56

歯周ポケットのなかのプラーク&歯石取りが終わり、ひとまず炎症が治まった患者さんでも、定期的にスケーリング&ルートプレーニング(SRP)を受けていただく必要があります。
というのも、歯周ポケットは一度できてしまうと「完全になくなる」ということはまずありません。再びプラークがポケットのなかに入り込み歯石も溜まってしまいます。また、SRPには汚れの除去以外にも大切な仕事があります。歯周ポケットのなかを掻き回し、空気を送り込んで、嫌気性細菌(空気に触れるとイチコロ)である歯周病菌をやっつけているのです。
再発予防にたいへん効果があります。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q57 メインテナンスを途中で中断したのですが・・・・
A57

メインテナンスも重要な歯周治療の一部分です。歯周病は主に口腔内の細菌が原因で発病する疾患です。したがって、この細菌を除去し続けることが歯周病を予防し、お口の健康を維持するために必要となります。細菌の集団である歯垢は、毎日の適切なブラッシングでほとんど除去することが出来ますが、深い歯周ポケットの中や歯並びの悪い所にある細菌はご自身のブラッシングだけでは除去できません。メインテナンスを途中で中断した場合、歯周病が再発したり、新しいう蝕が発生して、以前に行った治療の効果が失われてしまいます。歯科衛生士による専門的なクリーニングを受け定期的なメインテナンスを継続していくことが、歯周治療のゴールとなります。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q58 メインテナンスの効果ってどのくらいあるんでしょうか?
A58

10年間で失う歯の本数の平均が、何も治療を受けなければ3.6本、動的治療のみ受けると2.2本、動的治療とメインテナンスを受けると1.1本というデータがあります。このことから、メインテナンスというケアまで受ければ、何もしないより歯の寿命が3倍以上になる計算になります。また、ブラッシングを全くしない人に比べ、ブラッシングやフロッシング、そしてメインテナンスまで受けると、歯を失うリスクが約80%下がるという明るい報告もあります。

メインテナンスの効果

※参考書籍 「ペリオバカ養成講座~学びの門戸を開くための100の質問~」
      山本浩正 著 医歯薬出版株式会社

Q59 何回も歯磨き指導を受けているのですが、ある程度磨けている(スコアが20%くらいだと言われました)のにもっと丁寧に磨くように、といわれています。自分でもこれくらいが限界だと思いますし、自分で磨くよりも治療をしていただいた方が早く治るのではないでしょうか?
A59

歯磨きで大切なことは、その時にどれくらい磨けていたか、というだけでなく、自分で自分の歯を全て見落とすことなく磨けるかということです。歯科医院には毎日通うわけでもありませんので、治療に通院している期間を通じて、磨き残しができるだけないように、磨けないところがないようにしてください。

もしも、全部自分で出来なくても治療で通院している間は歯科医院で歯周病の治療の一環としてプラークをしっかり除去してもらいましょう。治療後も定期的にリコールしていただければ、歯周病が再発する可能性も少ないです。

※参考サイト 「日本歯周病学会」

Q60 喫煙していると歯周病にかかりやすいって本当ですか?
A60

喫煙する人は歯周病の発症や進行が早く、歯周治療に対する反応も悪いです。つまり、「歯周病になりやすく、治りにくい」ということです。

喫煙していると歯周病にかかりやすい

喫煙者は非喫煙者と比較して、平均で約4倍((1))歯周病になりやすく、危険率は喫煙量によって変化し、1日9本以下では3倍弱、1日31本以上のヘビースモーカーでは6倍弱((2))に跳ね上がります。

※参考書籍 「ペリオバカ養成講座~学びの門戸を開くための100の質問~」
      山本浩正 著 医歯薬出版株式会社

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