歯周病

Q41 歯周病の治療はどのくらいの期間がかかるの?
A41

歯周治療は歯ぐきの治り方やブラッシングの状態を確認しながら、次のステップの治療へ移行します。初期の歯肉炎であれば、比較的短期間で終了することもありますが、中等度以上の歯周病の場合には病状の程度にもよりますが、比較的長期にわたることが多い傾向にあります。治療後も引き続きメインテナンスが不可欠で、定期的な検診が必要です。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q42 歯周病が治ると根面う蝕が多発するのですか?
A42

根面が露出すると根面う蝕のリスクが高まります。

歯周治療そのものが問題ではないからといって、歯周治療時に根面う蝕に配慮しなくてもよいというわけではありません。できることなら、予防や初期の歯周炎のうちに治療を行い、できるだけ根面の露出をさせないほうがよいでしょう。

しかし、中等度以上に進んだ歯周炎では、治療後に根面がどうしても露出してしまいます。初診時の検査の段階で治療後に根面の露出が予測されるのでしたら、う蝕リスクを判定し、歯周基本治療時の口腔衛生指導で、プラークコントロールだけでなくフッ化物の使用や、食生活習慣の改善に対するアドバイスもあわせて行うことが大切です。

歯周治療患者の根面う蝕の感受性―12年後の結果
Ravald N, Birkhed D, Hamp SE. Root caries susceptibility in periodontally treated patients. Result after 12 years. J Clin Periodontol 1993; 20(2): 124-129. 

※参考書籍
 「歯周病学の迷信と真実 その論文の解釈は正しいか?」
 関野 愉、小牧令二 著  クインテッセンス出版株式会社

Q43 歯周病検査にはどのようなものがありますか?
A43

一般に、次のような検査がおこなわれます。

1.問診

現在飲んでいる薬やアレルギーの有無、自覚症状や全身状態、既往歴など治療を進めるにあたり必要な情報をお聞きします。

2.視診

目で見て歯肉炎や歯周炎の症状を確認します。

3.プロ―ビング(歯周ポケット検査)

「プローブ」と呼ばれる診療器具で歯周ポケットの溝の深さを測定します。

3mm以内 → 正常

4~5mm程度 → 軽度歯周炎

5~6mm程度 → 中等度歯周炎

7mm以上 → 重度歯周炎

検査の際にはチクッとすることや出血する場合もあります。

4.エックス線検査(レントゲン撮影)

肉眼では見ることができない歯の中や骨の状態を調べることができ、非常に大切な検査です。

歯槽骨の破壊状態や根の病気など、歯周病進行度合いを明確に把握できます。

5.動揺度検査(歯の揺れ)

歯の揺れを調べる検査で4段階で表します。

歯槽骨など歯を支えている歯周組織の破壊具合を把握できます。

動揺度0:正常。ほとんど動かない。

動揺度1:初期の歯周病。前後に動く。

動揺度2:進行した歯周病。前後・左右に動く。

動揺度3:重度の歯周病。前後・左右・上下に動く。

6.歯並び・噛み合わせ

上下で強くあたっている部分などを診ます。

他にもPCR、出血指数、細菌検査などあります。

 

※参考書籍
 「日本人はこうして歯を失っていく」
 日本歯周病学会 日本臨床歯周病学会
 朝日新聞出版

Q44 歯周ポケットの検査ってチクチクしてイヤなんです。
A44

チクチクと歯周ポケットの深さを測る検査を「プロービング」といいます。
歯周組織が破壊されるほど、歯周ポケットは深くなり出血も増えます。
そこでプローブという器具を使って、炎症による破壊レベルを測っているのです。「チクチクして嫌だ」とおっしゃる患者さんはたしかに多いです。エックス線写真を撮れば、ある程度のことは分かりますので、それで代用することもできないではないのですが、プロービングには病態を立体的に把握できるメリットがあります。
より正確な治療のため、ご協力をお願いいたします。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q45 歯石を取るのは痛いですか?
A45

個人差はありますが、歯ぐきの上についている歯石を取る場合、ほとんど痛みはありません。歯ぐきの中の歯石を取る場合は多少痛みを伴う場合もあります。その場合は麻酔をいたしますのでご安心ください。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q46 ポケットのなかの歯石を取るのに何度も通うのがたいへんです。
A46

歯周ポケットのなかのプラークや歯石を除去するスケーリング&ルートプレーニング(SRP)は、スケーラーという鋭い刃物を使って根に付着したそれらを取り除く細かい処置です。
歯石を取り残すと、その箇所の炎症がいつまでも治りませんので精密に行う必要があり、急ぎ仕事ではできないという事情があります。また、歯列全体を1度の来院で済ませるには、長時間にわたりお口を開けていていただかなくてはなりません。
炎症箇所の処置ですし、処置後の菌血症による発熱も心配です。術者の疲労と集中力の問題もあります。
そこで、通常はお口を6分割して計6回で行っています。
よりよい治療のためご理解をお願いします。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q47 歯周病菌が原因なら、薬で殺菌してはどうですか?
A47

たしかに、歯周病の治療ではよく殺菌剤や抗生剤を併用します。ただ、薬剤だけで歯周病を治すのは現状では難しいです。
というのも歯周病菌は7種類ほどいて、そのすべてに共通して効く抗生剤はいまのところありません。
また、口のなかの細菌を一掃していいなら、殺菌剤のクロルヘキシジンがピッタリですが、これだと善玉の常在菌も殺してしまいます。
しかも歯周病菌は歯周ポケットの奥に潜んでいて殺菌剤が届きにくく、薬を濃くすると粘膜が荒れてヒリヒリしてしまう。ということなので薬剤は治療にとって効果的な補助役。
勤勉な歯みがきと、定期的な歯石取りはやっぱり必須なんです。

※参考書籍 「nico 2011.9 クインテッセンス出版株式会社」

Q48 歯周病は薬で治るのですか?
A48

歯周病は機械的なプラーク除去を主体とした治療法でないと治りません。

患者さんによって、あるいは部位によっては抗菌薬がよく効く場合があるのかもしれません。しかしながらほとんどのケースは機械的な治療を徹底すれば治癒するし、抗菌薬が必要なケースがあるとしても、それを事前に確認する方法は今のところ存在しません。さらに副作用の問題や費用対効果を考えると、少なくとも抗菌薬の投与は第一選択とはなり得ないのが現状です。

サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)でのドキシサイクリン局所投与の3年の治療結果
Bogren A, Teles RP, Torresyap G, Haffajee AD, Socransky SS, Wennström JL. Loccally delivered doxycycline during supportive periodontal therapy: a 3-year study. J Periodontol 2008; 79(5): 825-835.

広汎型急速破壊性(侵襲性)歯周炎の細菌叢への機械的デブライドメントと抗菌薬全身投与の併用効果
Heller D, Varela VM, Silva-Senem MX, Torres MC, Feres-Filjp EJ, Colombo AP. Impact of systemic antimicrobials combined with anti-infective mechanical debridement on the microbiota of generalized aggressive periodontitis: a 6-month RCT. J Clin Periodontol 2011; 38(4): 355-364.

※参考書籍
 「歯周病学の迷信と真実 その論文の解釈は正しいか?」
 関野 愉、小牧令二 著  クインテッセンス出版株式会社

Q49 薬液によるポケット洗浄は効果的なのですか?
A49

薬液によるポケット洗浄の効果は期待できません。

抗菌薬を用いたくり返しのポケット洗浄の臨床的効果・1
Wennström JL, Heijl L, Dahlén G, Gröndahl K. Periodic subgingival antimicrobial irrigation of periodontal pockets(Ⅰ). Clinical observations. J Clin Periodontol 1987; 14(9): 541-550. 

抗菌薬を用いたくり返しのポケット洗浄の臨床的効果・2
Wennström JL, Dahlén G, Gröndahl K, Heijl L. Periodic subgingival antimicrobial irrigation of periodontal pockets(Ⅱ). Microbiological and radiographical observations. J Clin Periodontol 1987; 14(10): 573-580.

※参考書籍
 「歯周病学の迷信と真実 その論文の解釈は正しいか?」
 関野 愉、小牧令二 著  クインテッセンス出版株式会社

Q50 無髄歯(神経のない歯)は歯周病を進行させるのでしょうか?
A50

歯髄(神経)の有無と歯周病の進行には関係性はありません。

辺縁歯槽骨吸収の進行にあたえる根管内の状態
Miyashita H, Bergenholtz G, Gröndahl K, Wennström JL. Impact of endodontic conditions on marginal bone loss. J Periodontol 1998; 69(2): 158-164.

※参考書籍
 「歯周病学の迷信と真実 その論文の解釈は正しいか?」
 関野 愉、小牧令二 著  クインテッセンス出版株式会社

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