歯の痛み
Q1 | 昨日で歯の神経を取る治療が終わりましたが、まだなんとなく違和感があります。神経を取ったのに変じゃないですか? |
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A1 | 歯の中心を通る歯髄は痛みの受容器のほんの一部分で、歯の周辺には網の目状にネットワークが広がっています。痛みを感じるセンサーは歯髄だけでなく歯の外側の歯根膜や、歯槽骨などいろいろなところにあるのです。 処置後数日の違和感は通常の症状なので心配しないでまずは様子を見ましょう。 ※参考書籍 「nico 2014.3 臨時増刊号 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q2 | 神経を抜いたのになぜまだ痛むのですか? |
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A2 | 細菌感染が広がって周りの歯根膜や歯槽骨にも感染が及んでいると、痛みや違和感が治まるまで少し時間がかかります。 ※参考書籍 「nico 2014.3 臨時増刊号 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q3 | 最近舌が痛いんですが、どんな原因が考えられますか? |
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A3 | 舌の痛みを訴える患者さんについては、まずは医療面接(問診・問診票)と診察により、舌に肉眼的な異常があるかどうかを確認します。 舌に肉眼的な異常がある場合①侵害受容性疼痛例)外傷性/非外傷性の舌炎、粘膜病変、全身疾患や薬の副作用に起因する口腔乾燥症など
舌に肉眼的な異常がない場合①神経障害性疼痛例)三叉神経痛、舌咽神経痛、外傷性神経障害性疼痛、帯状疱疹性神経痛/帯状疱疹後神経痛
②心理社会的疼痛例)心理状態、社会的ストレス、患者の性格、精神疾患
③特発性疼痛舌痛症/口腔灼熱感症候群
侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛は、それぞれ併発する可能性があります。
※参考書籍 |
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Q4 | 日常生活のなかで舌が痛むんです。どうやったら痛みが治まりますか? |
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A4 | 舌が痛む方へ、痛みの改善に向けて4つアドバイスします。 1.どんなときに痛みが減るか観察してみましょう。舌痛症の痛みは、日によって、時間帯によって増減します。どんなときに痛みが増し、何をしていると痛みが減るかに気をつけてみてください。痛みを客観的にとらえることが、ご自分のつらさを客観視することにつながり、これが痛みの不安から距離を置くきっかけになって、改善へと踏み出す一歩になります。
2.日中の食いしばりを発見してやめましょう。無意識に食いしばりをしていませんか?食いしばると舌が緊張し、歯に強く押しつけられて痛みが増しやすいです。仕事中、運転中、料理中などにしていないか気をつけ、していたら歯を離しましょう。(食いしばりをすると、舌に歯の圧痕がつき、ギザギザになります)
3.痛みを抑えるお薬の服用も効果的です。舌痛症の患者さんにみられるのが、痛みを抑制する脳内ホルモンの働きの低下です。これを改善させ痛みの抑制に効くのが抗うつ薬や抗てんかん薬です。ただし、こうした薬の舌痛症治療への使用は適応外処方になりますので、慢性痛を専門に診ている病院で相談してください。漢方薬では五苓散(ごれいさん)、白虎加人(びゃっこかにん)、参湯(じんとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)が有効だとの報告もあります。
4.服薬+カウンセリングと生活改善で効果アップ!抗うつ薬や抗てんかん薬の服薬は、舌痛症の痛みの抑制に効果的ですが、お薬をやめると痛みが元どおりになってしまうのでは困ります。そこで、服薬だけでなく、医療面接で受けた生活指導を毎日に生かしていきましょう。食事では刺激物を避け、睡眠時間を確保します。痛みの変化を観察し、痛みが和らぐ時間帯を少しずつ増やしましょう。
※参考書籍 「nico 2020.3 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q5 | 歯が舌にあたって痛いんです。どんなことに気をつけたらいいですか? |
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A5 | 歯が舌に触って痛む方へ、4つ注意点をアドバイスします。 1.歯を削るなどの歯科治療は慎重に。舌の先や側面の縁が痛いとき、舌に触る歯を削ってほしいとご希望になる患者さんがよくおられます。しかしその痛みがもしも舌痛症によるものなら、痛みは脳のなかで生まれている可能性があり、歯科治療で症状が改善される保証はありません。また、歯は一度削ったら元には戻せないので、歯科治療の選択は慎重にお願いします。
2.矯正治療をはじめる前に一度立ち止まりましょう。歯並びの悪い歯が舌に当たって痛むというかたは、矯正治療をはじめる前に一度立ち止まって確認をお願いします。患者さんの現在の歯並びは、永久歯に生え変わったときに完成しています。つまり舌は中学生の頃から、その飛び出た歯に当たっていたはずなのです。痛くなったのがもしも最近であれば、痛みの原因は歯並びではない可能性が高いです。
3.舌の痛む場所を繰り返し確認するのはやめましょう。舌痛症の痛みが気になって、舌に変化がないか鏡で見たり、指で触ったり、歯に舌を触れさせてみたりして痛む場所を確認してしまうかたがおられます。痛むたびにこれを繰り返していると、痛みの記憶が定着してしまいます。症状をこじらせないために、舌の痛む場所を確認するのは控えてください。
4.歯に触れるとつらいときは舌を上あごにくっつけて。舌の先や側面の縁が痛んで下の歯と触れるのがつらいとき、そのつらさを和らげるコツは、舌をあげて上あごのくぼみにペタッとくっつけ、上下の歯を軽く離すことです。この位置が舌にとってはいちばん安静な位置で、歯との接触を減らせます。お口をポカンと開けていると舌が下がって下の歯に触れやすいので、お口を閉じる習慣をつけましょう。
※参考書籍 「nico 2020.3 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q6 | 舌がピリピリしてとても困っています。歯と当たるあたりが痛むのですが診察や検査を受けてもどこにも異常がないといわれます。 |
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A6 | 舌が痛む病気は様々ありますが、それらを疑って色々調べても痛みの原因となっている病気が見つからない場合に診断されるのが「舌痛症」です。痛みの原因はいまだ不明ですが、ストレスや神経の過敏化との関連が疑われています。
※参考書籍 「nico 2020.3 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q7 | 舌痛症の特徴って何ですか? |
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A7 | 舌に疼痛ないし違和感を訴える疾患の中で、器質的な変化が認められず、さらに神経痛や関連痛等が除外された、いわゆる“原因不明”の舌痛症状が持続する病態を「舌痛症」と呼びます。 ある研究では、狭義の舌痛症を「心理情動因子に起因し、舌に異常感を訴えるが、それに見合うだけの器質的(肉眼的)変化がないもの」と定義しています。 永井哲夫:舌痛症. 歯科心身医学(日本歯科心身医学会 編), 247-256, 医歯薬出版, 東京, 2003. 舌痛症は、舌の側面や舌の先など歯と触れるところがヒリヒリ・ピリピリします。 舌痛症の臨床的特徴
※参考書籍 「対応に困る患者さんたち」 |
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Q8 | この間からむし歯が痛くて、「歯医者さんに行かなきゃ」と思っていたらいつの間にか痛みが消えました。自然に炎症が治まったってことですか? |
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A8 | とんでもない、違います。「痛みが消えた」とホッとしてはいけません! 歯髄が死んでしまうほど歯の破壊が進んで痛みが消えただけです。炎症がひどすぎて歯髄が死んでしまったか歯のなかに溜まり歯髄を圧迫していた膿が何かの拍子に排出されたのでしょう。すぐに歯科医院に行きましょう。 このままでは歯を失ってしまいますよ。 ※参考書籍 「nico 2014.3 臨時増刊号 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q9 | 痛みの原因を調べるとき、検査しても痛くない歯が原因とされることがあります。なぜでしょうか? |
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A9 | 様々な診査・検査が行われますが、それらは絶対的なものではありません。問題がない歯に反応がでることを「偽陽性」、問題のある歯に反応がないことを「偽陰性」といいます。 偽陽性を起こす原因
偽陰性を起こす原因
※参考書籍 |
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Q10 | 歯に原因はないのに歯に痛みが出ることってあるの? |
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A10 | そのような痛みのことを「非歯原性疼痛」といいます。 痛みの特徴としては、下記が挙げられます。 1.(原因が見当たらないのに)自発痛が多数歯に及ぶ 2.痛みを説明できる歯科的原因が、局所に見当たらない 3.刺激的、灼熱的、非拍動性の歯痛(炎症性の痛みと異なる) 4.一定不変で間断のない歯痛(痛みに波がない) 5.継続的で再発性の歯痛 6.(痛みを感じている部位に)麻酔をしても痛みに変化がない(診断的局所麻酔) 7.理にかなった歯科治療を行っても、痛みに変化がない
口腔顔面痛の最新ガイドライン 改定第4版. クインテッセンス出版, 東京, 2009.
いわゆる炎症性の痛みとは異なる状態が存在する場合、非歯原性の痛みである可能性があります。 非歯原性疼痛は様々な要因によって引き起こされ、次のようなものがあります。 1.三叉神経痛たとえば歯のブラッシングや食事あるいは顔を触った際のような、無害な刺激な後に引き起こされます。その痛みは突然発症し、鋭く撃つような電撃的な痛みで数秒で終わります。脳内の動脈や静脈による三叉神経の圧迫が原因ではないかと考えられています。 2.前三叉神経痛顔面や歯にぼんやりした深い鈍痛を持続的だったり間欠的に感じる痛みのことです。三叉神経痛に移行することがあるため、“前三叉神経痛”と呼ばれています。 3.非定型歯痛(幻歯痛)痛みは歯に入っている末梢神経ではじまりますが、中枢性の神経系の一部に変化をもたらし、歯痛を感じるように進行してしまいます。 4.慢性(複合性)局所疼痛症候群慢性局所疼痛症候群(CRPS)は、末梢神経のダメージによって発症し、神経系の末梢および中枢部分を変化させ、非定型歯痛にみられるものと似ています。非定型歯痛との違いは、交感神経系が関わっていることです。交感神経系は神経系の一部であり、いろいろな働きがありますが、その部位の血管が狭くなっているのが原因です。痛みは、「焼けるような」と表現され、軽い接触や他の刺激が引き金となります。CRPSは腕や脚に頻繁に発症しますが、顔面にも起こることがあります。 5.神経血管痛(頭痛の関連痛)偏頭痛、群発性頭痛、連続性片頭痛は脳の神経および血管の変化に由来するタイプの頭痛です。あるケースでは、三叉神経からの関連痛により、これらの頭痛が歯のなかに感じ歯痛となることもあります。痛みは持続的、激痛、拍動性、また緩和される時期もあります。 6.心臓由来の歯痛狭心症や急性心筋梗塞といった心疾患では、関連痛が肩や腕または顎にさえ現れることがあります。また関連痛は歯にも表れることがあります。胸の痛みと関連していることもあります。歯痛が心臓由来である場合には、運動によって疼痛は増加し、投薬(たとえばニトログリセリン錠とか)により痛みは減少します。 7.上顎洞/鼻由来の歯痛上顎洞粘膜や副鼻粘膜の問題が、上顎の歯に関連痛を引き起こすことがあります。上顎の数本の歯に鈍く持続性や拍動性の痛みを感じます。また目の下の部分に圧を伴うことがあり、頭を下に下げたり、咳や鼻をすすることで上顎洞に圧が加わると痛みが増してきます。冷水反応や咬合、打診反応のような歯の検査で、上顎洞由来の痛みは強くなってきます。 8.頸部における新生物あるいは他の病変腫瘍は歯の神経の近くの部位にも現れることもあり、それにより歯が緩く感じたり、動いたり感じる原因になります。 9.唾液腺機能不全唾液腺からの関連痛で歯の痛みを感じることがあります。また歯および周囲組織の健康を損ねることによって、唾液の欠如が起き、歯痛を引き起こすこともあります。 10.心理的な障害心理学的障害は歯痛の原因ではなく、増幅因子と考えられています。 ※参考書籍 |
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