酸蝕歯

Q11 知覚過敏が気になり歯医者さんに行ったら、「黒酢による酸蝕症では?」と指摘されビックリでした。からだにいいことが歯にもいいわけではないんですね。
A11

そうなんです。健康意識の高いかたが、からだのためを思って毎日欠かさず酸をとることが原因の酸蝕症のケースも増えています。なにごとも、過ぎたるは及ばざるがごとし。歯の健康のことも考え生活習慣の見直しをお願いします。

酸蝕症のリスクのある生活習慣

  • 健康のために柑橘類や黒酢を毎日欠かさない。
  • ジョギング・筋トレのおともはスポーツ&ビタミン飲料。
  • チューハイ、梅酒、ワイン。毎晩チビチビと。
  • 赤ちゃんがぐずったら哺乳びんでジュース。

※参考書籍 「nico 2018.2 クインテッセンス出版」

Q12 酸蝕症は「現代病」と聞きましたが、なぜですか?
A12

季節を問わずに柑橘類が手に入り、健康のため酸性食品が大人気という現代ならではの食生活が酸蝕症の発症に大きく影響するからです。

私たちの歯を取り巻く酸の環境はここ数十年で様変わりしました。

季節ものだった柑橘類が一年中手に入るようになり、食卓では主菜にレモンやポン酢をかけ、デザートにオレンジやグレープフルーツが並びます。お酒も、果汁たっぷりのチューハイ、ワインが大人気です。

一方、おやつは、コーラ飲料や柑橘ジュースがどこでも手に入ります。グミや梅菓子もとてもすっぱく、私たちの歯が強い酸と出合う機会は、うなぎのぼりです。

少し前までの日常食は穏やかな酸性度の調味料で味付けした食事でした。

現代の日常食はレモン、酢、トマトなどを使い酸味を加えたメニューが増えています。

もう一つ注目すべきは、健康志向。柑橘系果物を毎日欠かさず食べ、飲酢するかたが増えました。意識の高い人ほど熱心に続けるため、酸蝕症のリスクが増大します。

酸蝕症を防ぐために重要なのは、現代人が陥りがちな「酸性飲食物の過剰摂取」にまず気づいて止めることです。

過ぎたるは及ばざるがごとし。酸の摂取は、唾液が守ってくれる程度に抑えて、からだだけでなく、歯の健康にも気を配っていきましょう。

健康のための努力が酸蝕症の原因に

  • もずく酢を毎日食べていた
  • 毎日黒酢を飲んでいた
  • 毎日レモンをかじっていた

嗜好品にも要注意

  • 仕事中ずっとコーラ飲料を飲んでいた

※参考書籍 「nico 2018.2 クインテッセンス出版」

Q13 子どもも酸蝕歯になると聞きました。どのようなケースがありますか?
A13

乳歯や、生えたての永久歯のエナメル質は未成熟で軟らかく、酸に触れる機会が多いと酸蝕症になりやすいので要注意です。次のようなケースで酸蝕症を発症したと報告がありました。

CASE1 毎日栄養ドリンクを飲んでいた

4歳の患者さん。CMでおなじみの栄養ドリンクを、健康のためとおばあちゃんが毎日飲ませていました。酸味と炭酸が強いのでチビチビ飲みしていたところ、歯が酸に触れる頻度が多くなり重篤な酸蝕症に。すぐに飲用をやめ、9歳になった今は定期検診で経過観察中。健康な永久歯に生え替わってきています。

CASE2 クラブの熱中症予防にスポーツ飲料

歯が急に白くなり来院した小学四年生です。歯面全体がエナメル質の酸蝕症になり、やむなく矯正治療を中断。夏休みのクラブで、熱中症対策のためスポーツ飲料を休憩ごとに飲んでいました。スポーツ中は口の中が乾燥し、唾液が口の中を洗い流してくれません。酸性飲料の影響をダイレクトに受けやすいので要注意です。

CASE3 干し梅にハマって毎日食べていた

小さなころから定期検診を受けむし歯ゼロの中学3年生。プラークのない生えたての奥歯に突如大きな穴が。驚いて尋ねると「最近干し梅にハマっている」とのこと。奥歯のミゾに入り込んだ干し梅の強い酸が、ずっと守ってきた健康な歯を短期間で酸蝕症にしてしまいました。悪習慣を止め、いまはしみる症状なく過ごせています。

※参考書籍 「nico 2018.2 クインテッセンス出版」

Q14 以前はお酢を飲んでいましたが、流行りにのってクエン酸を飲み始めました。健康な毎日を送れています。先日、冷たい水が歯にしみるので歯医者に行くと、歯が溶けていると言われ、酸蝕症と診断されました。
A14

クエン酸を飲むのをやめてください。酸蝕症の度合いにもよりますが、充填処置や歯冠修復が必要になるかもしれません。

 

※参考書籍
 「Dr.Hiroのペリオ図鑑」
 著 山本浩正 クインテッセンス出版株式会社

Q15 ホームケアとして、毎日強酸性水でうがいしています。歯科医院でも検査結果が良好になりました。先生が驚いたので強酸性水のことを話すと慌てていました。どういうこと?
A15

強酸性水でうがいを続けると、酸蝕症になります。

たしかにお口のなかが良くなった理由の一つかもしれませんが、やめた方がいいでしょう。

 

※参考書籍
 「Dr.Hiroのペリオ図鑑」
 著 山本浩正 クインテッセンス出版株式会社

Q16 胃食道逆流症(GERD)に関係ある食生活習慣にはどのようなものがありますか?
A16

2つの生活習慣に分類されています。

摂食食品が胃酸分泌を増やしたり、一過性LES弛緩を誘発して逆流を起こす食生活習慣

高脂肪食、チョコレート、アルコール飲料、たばこ、暴飲暴食、早食い、炭酸飲料

食品そのものが食道粘膜を刺激して、不快症状を起こす食生活習慣

アルコール飲料、酢の物、和菓子、飴、酸度の高い柑橘系果実、トマト、スタミナドリンクや果実ジュース

※参考書籍
 「知る・見る・対応する 酸蝕症」
 北迫 勇一、岩切 勝彦  クインテッセンス出版株式会社

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