口臭

Q11 細菌と臭いの関係性について教えて下さい。
A11

私たちの身の回りを見渡してみると、臭いの原因に細菌がかかわっていることが多いことに気づきます。生ゴミの臭いは、生ゴミを材料に細菌が生み出したものですし、私たちが夏場、汗臭くなるのも細菌の仕業です。本来汗は無臭なのですが、皮膚の表面に棲みついている細菌が汗を材料にして臭い(つまり、ガス)を作り出しているわけです。その証拠に、風呂上がりに汗をかいても汗臭くありませんが、時間がかなり経つと若干臭くなってきます。これは風呂上がりには細菌自体が少なくなっていて汗を臭いにできませんが、時間が経って細菌が増殖しだすと汗を分解できるようになるからです。

口臭も、基本的に細菌が生み出しているガスが原因です。歯周病で強い口臭のする人でも、悪いのは細菌なのです。ニンニクや玉ネギなど、飲食物そのものに臭いの原因が内在しているものもたしかにありますが、口臭のほとんどは“口腔内の細菌が生み出したガス”が原因です。また、口臭の原因を胃腸などの内臓や糖尿病などの病気のせいにする患者さんもおられますが、これらの可能性は数%なのです。やっぱり、悪いのは口腔内の細菌なのです。

材料 + 細菌 = 臭い

臭いは“ある材料”を“細菌”が分解した結果、発生することが多いです。

※参考書籍 「ペリオバカ養成講座~学びの門戸を開くための100の質問~」
      山本浩正 著 医歯薬出版株式会社

Q12 歯周病に伴う臭い対策を教えてください。
A12

あくまで歯周治療がベースであり、付加的に舌清掃や洗口を考えます。
口腔乾燥があればその対策は必須です。

歯周病に伴う臭い対策

※参考書籍 「ペリオバカ養成講座~学びの門戸を開くための100の質問~」
      山本浩正 著 医歯薬出版株式会社

Q13 口臭から歯周病の状態を確認できますか?
A13

歯周炎に口臭はつきものであり、歯周状態を判定するための貴重な指標です。

口臭のほとんどの原因物質(口臭成分)は口腔細菌が産生します。歯周病に特有な臭いは、歯周ポケットに供給される栄養素を歯周病菌が代謝・分解する際に発生します。ほとんどの歯周病菌は口臭成分を産生します

つまり、強い口臭は歯周病菌が大量に口腔内に生息し、細菌の新陳代謝がさかんに行われていることを示しています。また、口臭成分の毒性は歯周炎をさらに進行させるので、口臭がなくならないかぎり、歯周炎は治まりません

※参考書籍
 「あなたの知識は最新ですか?歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト」
 天野 敦雄 著 クインテッセンス出版株式会社

Q14 口臭にはどんな種類のものがあるのですか?
A14

口臭は口臭研究学会によって5つに分類されています。

臭いの分類と割合

 

口臭の原因物質は揮発性硫黄化合物です。

生理的口臭

硫化水素(卵が腐った臭い)

歯周病由来の病的口臭

メチルメルカプタン(野菜が腐った臭い)

全身疾患由来の病的口臭

ジメチルサルファイド(生ゴミの臭い)

※参考書籍
 「あなたの知識は最新ですか?歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト」
 天野 敦雄 著 クインテッセンス出版株式会社

Q15 生理的口臭と病的口臭の違いって何ですか?
A15

生理的口臭

生理的な口臭はさまざまな場面で感じられます。唾液量の減少や、女性では性ホルモンの分泌に変調をきたすときなどは実際口臭があり、さらに飲酒や喫煙などは自分では感じませんが、周りの人には嫌な臭いになります。

生理的な口臭が強くなるときの状況

生理的口臭が強くなるときの状況の図

最大の発生源は舌苔です。舌苔は舌の奥のほうに付着する白~薄茶色の細菌塊です。舌背面は多量の細菌が生息できる広さがあるだけではなく、1日3度の食事によって多種類かつ多量の栄養源が供給されます。舌背面は呼吸のたびに外気にさらされますから、多くの臭気が口腔外へ放出されます。舌苔を増加させる因子が何であるかははっきりとはしていませんが、加齢とともに唾液分泌量が減少することが原因の1つです。

 

病的口臭

ほとんどは歯周病によるものです。歯周病の進行にともなって口臭が強くなっていきます。口臭の原因物質は歯周ポケット内の歯周病菌が産生する口臭成分メチルメルカプタンです。また、歯周病患者は非常に多くの舌苔をもつことも知られており、口臭の強度を上げています。

※参考書籍
 「あなたの知識は最新ですか?歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト」
 天野 敦雄 著 クインテッセンス出版株式会社

 「対応に困る患者さんたち」
 岡田 智雄 著 株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズ

Q16 歯周病菌が出す口臭の原因物質の特徴を教えて下さい。
A16

臭いの原因物質は揮発性硫黄化合物であり、歯周病菌が産生する物質はメチルメルカプタンです。このメチルメルカプタンは、揮発性硫黄化合物のうちもっとも毒性が強く、歯周組織の破壊にもっとも関与していると指摘されています。

天野敦雄, 岡賢二, 村上伸也(監修). ビジュアル 歯周病を科学する. 東京:クインテッセンス出版, 2012.

メチルメルカプタンの特徴

1.毒物指定(毒物および劇物取締法)

2.毒性は青酸ガスに匹敵

3.歯肉の上皮組織の増殖・成長の阻害

4.歯肉の炎症を悪化させる

※参考書籍
 「あなたの知識は最新ですか?歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト」
 天野 敦雄 著 クインテッセンス出版株式会社

Q17 生理的口臭って何?
A17

口臭の原因物質は揮発性硫黄化合物であり、口腔内の細菌から産生される物質なのです。そのため、口腔内にプラークが停滞しているような状況で、臭いが発生します。

 

口臭の原因

揮発性硫黄化合物:細菌の産生物や食品の臭い

  1. う蝕や歯周病
  2. 唾液分泌量の減少による口腔乾燥症
  3. 舌苔
  4. 清掃不良の義歯
  5. 不良補綴物や修復物

 

※参考書籍
 「対応に困る患者さんたち」
 編著 岡田智雄 株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズ

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