ご家庭でのケアについて
Q41 | フッ化物配合歯磨剤ってなんですか? |
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A41 |
フッ化物を含む歯磨き剤のことで、日本の歯磨剤の約9割がフッ化物が配合されています。一般家庭用のものと歯科医院専売のものがあり、形状もジェルタイプ、ペーストタイプのものがあります。 フッ化物配合歯磨剤の特徴1.日常の歯磨きに組み込むことで、簡単にむし歯予防ができます。 2.歯の生え始めから成人、高齢者まで生涯を通じて家庭で利用できる身近なフッ化物応用です。 3.歯の表面にフッ化物が作用して、むし歯に対する抵抗力のある歯を育てます。また、表面が少し溶け始めた(むし歯になりかけた)歯面に作用して、もとの状態に戻してくれます。 4.歯肉が下がって露出した歯根面のむし歯にも予防効果があることが分かっています。 5.3~6歳児未満では、1日2回、グリンピースサイズのフッ化物配合歯磨剤による歯磨きが効果的です。 6.6歳以上では、1日2回以上、歯ブラシ植毛部の半分量の歯磨剤による歯磨きが効果的です。 7.歯磨き後のうがいの回数は2回くらいにとどめます。 8.フッ化物配合歯磨剤のフッ化物濃度は、1,000ppmF以下です。 9.世界で約15億人が利用しており、もっとも普及しているフッ化物応用です。 10.定期的なフッ化物歯面塗布やフッ化物洗口と併用できます。 ※参考書籍 |
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Q42 | フッ素配合歯みがき剤ってむし歯予防によく効くそうですね。どれくらい効くのですか? |
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A42 | むし歯を20~30%減らすと言われていますが、ここ数十年のむし歯の減り方を見ていると実際には「もっと効いているのではないか」、「使い続けるほど効果が複利で積みあがる」という見解もあります。 また、フッ素配合の歯みがき剤がシェアを伸ばすにつれ国内のむし歯本数は激減しています。こうした現象は、日本に限らず世界各国で起きているんです。 フッ素濃度と予防効果の関係については、このほど認可され販売がはじまったフッ素1450ppmFの歯みがき剤が今後普及していけば、むし歯の本数はさらに減少することが予測されます。 ※参考書籍 |
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Q43 | 低年齢児(歯の生え始めから3歳未満)への家庭内フッ化物応用について教えてください。 |
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A43 |
1歳のお誕生日を迎える頃から3歳頃までの、吐き出しができないお子さんに対する家庭内フッ化物応用に関しては注意が必要です。 永久歯の前歯の歯冠が完成するのは5歳頃です。したがって、この時期までにフッ化物を過量に摂取すると前歯部の「歯のフッ素症」発現につながります。特に、吐き出しができない3歳頃までは、フッ化物の種類や使用量について配慮しなければなりません。 ブクブクうがいができるようになったら(4歳頃から)、フッ化物洗口を行ったり、一般的なペースト状のフッ化物配合歯磨剤を子ども自身で使うことができます。 低年齢児(歯の生え始めから3歳未満)への家庭内フッ化物応用の特徴1.吐き出しができない1~3歳未満には、次の4通りのものがあります。 ■低濃度(フッ化物濃度100ppmF)のフッ化物溶液による歯磨き■泡状のフッ化物配合歯磨剤の塗布ブラッシング■ジェル状のフッ化物配合歯磨剤(フッ化物濃度500ppmF)によるダブルブラッシング■フッ化物スプレーの噴射2.寝かせ磨きの際に利用できます。 3.歯科医院での定期的なフッ化物歯面塗布と組み合わせて行うことができます。 4.低濃度のフッ化物溶液による歯磨きは、1日1回、就寝前の寝かせ磨きのときに応用します。 5.泡状およびジェル状のフッ化物配合歯磨剤、またはフッ化物スプレーは、1日3回、寝かせ磨きの後に歯面に塗布するように”応用します。 6.低濃度のフッ化物溶液は歯科医院で作製してもらいます。泡状のフッ化物配合歯磨剤、フッ化物スプレーは歯科医院のほか、薬局などでも入手可能です。 7.どれを選んでも口の中に残るフッ化物の量は問題のない量であり、吐き出しができなくても使えるものです。 ※参考書籍 |
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Q44 | 色々なフッ化物応用がありますが、それらを複合して実施してもよいですか? |
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A44 |
フッ化物局所応用も、かつてはフッ化物歯面塗布のみでしたが、その後多くの製剤が開発され、日本でも応用可能となり、フッ化物応用の選択肢が広がってきました。 日本では水道水フッ化物濃度調整などの全身応用が行われておらず、現在認められているフッ化物局所応用の方法を複合して応用しても、歯のフッ素症の心配はいりません。 応用方法を正しく理解し、実施するためにも歯科医院に相談し指導してもらいましょう。 ※参考書籍 |
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Q45 | 高濃度のフッ化物配合歯磨剤によるブラッシングは、フッ化物洗口の代わりになるでしょうか? |
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A45 | 成人・高齢者においての第一の選択肢は、家庭でフッ化物濃度900ppmFの溶液で毎日行うフッ化物洗口です。(900ppmFは子どもでは週1回法のフッ化物濃度になります) 子どものフッ化物利用の基本は、低濃度フッ化物溶液で回数多く行う「低濃度+高頻度」ですが、成人・高齢者に関しては、体重の関係から、また歯や骨の成長が終了していますから、フッ化物量の飲み込みに関しては量的に余裕があります。よって、「高濃度+高頻度」のフッ化物利用が可能であり、効果的です。 成人・高齢者の第2の選択肢として1450ppmF歯磨剤の利用があります。悲痛に歯磨きを行った後に唾液に溶けた状態の歯磨剤の混合液で、隣接面にまで届くように強くブクブクして吐き出します。その後の水のうがいはできれば1回。多くても2回で止めましょう。 子どもたちは基本的に園、小中学校でフッ化物濃度900ppmFの洗口液で週1回フッ化物洗口を実施しましょう。 ※NPO法人ウェルビーング附属研究所主任研究員 |
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Q46 | 6歳臼歯のう蝕予防のため4歳からのフッ化物洗口を勧められていますが、それ以下の年齢でもうがいが出来ればよろしいですか? |
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A46 | フッ化物洗口は4歳になってからにしましょう。 実際に調べてみると、1分間の洗口は4歳から可能です。しかし、4歳未満では、1分間の洗口持続が難しい子ども、また洗口途中で飲み込んでしまう子どもがいるようです。 1歳前でも歯が生えてきたら家庭でフッ化物歯磨剤を使うように、また歯科医院で3カ月毎のフッ化物塗布を受けるように保護者に奨めて下さい。4歳になったら園でフッ化物洗口を実施しましょう。なお、フッ化物歯磨剤、フッ化物洗口、フッ化物塗布の重ねて応用することは効果的であり、フッ化物量的にも問題ありません。 ※NPO法人ウェルビーング附属研究所主任研究員 |
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Q47 | 成人・高齢者の根面う蝕予防や知覚過敏に対する1つとしてフッ化物洗口の活用について教えてください。(1週間の回数や濃度) |
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A47 | 高濃度フッ化物歯磨剤やフッ化物洗口による根面う蝕の予防効果は海外の研究で確認されています。積極的にご利用下さい。成人・高齢者用の歯磨剤利用、フッ化物洗口がありますので、それに沿って奨めて下さい。 また、最近米国かや香港等から、できてしまった根面う蝕に対するサホライドの効果が確認され、利用が普及しているようです。効果としては、じゅくじゅく状態(活動性)の根面う蝕にサホライドを塗布すると、硬化していくこと(非活動性)が確認できたというものです。修復が困難な根面う蝕には効果を発揮しているようです。 ※NPO法人ウェルビーング附属研究所主任研究員 |
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Q48 | フッ素が1450ppm入った歯みがき剤は子どもにも使えますか? |
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A48 | 少量なら使ってもよいとする国がある一方使用不可とする国もあり、国ごとに使用基準はさまざまです。日本では、歯みがき剤メーカーの自主基準として、「6歳未満のお子さんには使用を控えていただく」という制限を設けています。 ※参考書籍 「nico 2017.11 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q49 | 根面う蝕にフッ素が効くって本当ですか? |
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A49 | 根面う蝕にこそフッ化物を応用しましょう。 市販の歯磨剤のフッ化物濃度の上限が1,000ppm(容器の表示は980ppm)から1,500ppm(容器の表示は1,450ppm)に引き上げられました。また、フッ化物含有洗口剤(フッ化物濃度225ppm)がドラッグストアでふつうに買えるようになり、以前と比べてフッ化物利用の環境が良くなってきています。う蝕治療ガイドラインでは、活動性の根面う蝕の再石灰化療法に、セルフケアでのフッ化物応用を強く推奨しています1)。 フッ化物配合歯磨剤(フッ化物の濃度が1,100~1,400ppm)とフッ化物配合洗口剤(フッ化物濃度が250~900ppm)を、毎日併用することにより永久歯の活動性根面う蝕が回復します。 初期の根面う蝕であれば(ICDAS Code 1)、フッ化物濃度1,450ppmの歯磨剤の使用だけでも再石灰化の可能性があります。ちなみに米国歯科医師会は、根面う蝕予防にフッ化物濃度900ppmの洗口剤の毎日使用か、あるいはフッ化物濃度5,000ppmの歯磨剤を使って1日2回、イエテボリ法2)で歯ブラシすることを推奨しています。日本ではフッ化物濃度900ppmの洗口剤は週に1回使用に限定され、フッ化物濃度5,000ppmの歯磨剤にいたっては認可されていません。日本のフッ化物応用に関する消極性は、以前からWHOなどに指摘されています。 フッ化物濃度とう蝕抑制効果は用量反応関係にあり、濃度が増すごとにう蝕抑制効果が高くなります2)。しかし、どれほどの人が、配合濃度でむし歯予防効果に違いがあり、500ppm未満ではう蝕予防効果が報告されていないこと2)を歯科医療者から教わっているでしょうか。本来フッ化物の配合濃度は高いほうがよく、うがいできるのであれば、6歳未満の小児でも1,000ppmを使うべきとの見解を示す専門家もいます。ちなみに、米国で人気の子ども向け歯磨剤(Crest® Frozen, P&G)はフッ化物濃度1,500ppmです。6歳以下はエンドウ豆サイズで使うよう、2歳以下は歯科医師に相談、と容器に書いてあります。
1)日本歯科保存学会 編:う蝕治療ガイドライン 第2版.(最終アクセス日:2021年2月21日 ) 2)日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会 編:う蝕予防の実際 フッ化物局所応用実施マニュアル. 社会保険研究所, 東京, 2018年. ※参考書籍 |
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Q50 | フロスを使っているのに、歯と歯の間が虫歯になりました。どうしてですか? |
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A50 |
それは、正しいフロスの使い方をまだマスター出来ていないのかも知れません。 |
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