ご家庭でのケアについて
Q21 | 最近入れ歯の手入れを怠っていたら、口のなかにピリピリとした痛みが出てきました。悪い菌が増えているのでしょうか? |
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A21 | おそらくカンジダ菌でしょう。 カビの一種で、体力のある人には悪さをすることはありませんが、入れ歯にくっついて増殖するとできるヌルヌル汚れが口内炎や食道炎、肺炎などの日和見感染症を起こします。抗菌薬でしっかり治しましょう。 カンジダ菌は上あごや舌に白い斑点状に広がります。赤く腫れたりピリピリと痛み、食事をしづらくなってしまうこともあるので要注意です。感染予防には入れ歯のお手入れが効果的です。入れ歯洗浄液につけるだけでなく、毎日ブラシでお手入れしましょう。 また、カンジダ菌は舌にも繁殖しやすいので、舌ブラシでお掃除しましょう。 ※参考書籍 「nico 2011.12 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q22 | ブリッジの周りは歯みがきがむずかしくて困ります。なにかいいグッズはないですか? |
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A22 | 使いやすいケア用品がありますので、ご紹介しましょう。
ブリッジは連結しているためふつうのフロスではうまく通りません。でも、はしが固くなったスーパーフロスなら簡単に通ります。ポンティックの下に通して、毛糸のようにフワフワとした部分で拭くように動かすと食べかすやプラークをしっかりと除去できます。ブリッジを傷めにくいおすすめグッズです。
※参考書籍 「nico 2009.9 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q23 | むし歯の予防法を教えてください。 |
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A23 | むし歯予防には、正しい歯磨きとフッ素洗口(フッ化物洗口)! 1.歯みがきフッ素入りの歯みがき剤(歯みがき粉)を使って歯みがきをしてください。 A)歯科用歯ブラシの半分の長さに歯みがき剤をのせる。※どのくらいのせるかは歯みがき剤のチューブの出口の大きさで変わりますので、小さい出口のものの場合は、歯ブラシのヘッドの長さと同じくらいの量を目安にしてください。(約0.5gと言われています) B)口腔内をしっかりブラッシングC)ブラッシング後、軽く吐き出し、洗口は1回だけ<洗口方法> a.ブラッシング後、歯みがき剤を吐き出します。 2.フッ素洗口フッ素洗口とは、フッ化物水溶液を用いてブクブクうがいをすることで、歯のエナメル質表面にフッ化物を作用させて、むし歯を予防する方法です。歯を磨いた後にフッ素洗口をすることで、より効果的にむし歯を予防できます。 A)フッ素洗口液のう蝕予防効果フッ素洗口液のう蝕予防効果は、フッ素配合歯磨剤と比較して高いと言われています。例えば、小学校において6年間実施した場合、30~50%のう蝕予防効果が得られ、その効果は中学3年生、あるいは20歳まで持続することが確認されています。保育園/幼稚園(4歳)から中学校(14歳)まで継続実施した場合、効果はさらに高く、70~80%のう蝕抑制率が得られることが確認されています1)。 この理由として、 ・フッ素洗口剤 フッ素物濃度 225~900ppmF ・フッ素配合歯磨剤 フッ素物濃度 1,000ppmF ※出典 B)家庭応用と集団応用このフッ素洗口は、どのくらいの頻度で行われているのでしょうか。フッ化物洗口には、毎日法と週1回法があります。毎日法では通常フッ素濃度225~450ppmFの洗口液を使用します。この方法は、家庭で個人が実施する「家庭応用」に適した方法で、毎日の歯磨き習慣と組み合わせることで、フッ素洗口の習慣化を図ることができます。一方、週1回法では、フッ素濃度900ppmFの洗口液を使用します。この方法は、小中学校などの集団で実施する「集団応用」に適した方法です。 このように二つの洗口方法がある「フッ素洗口」ですが、その実施状況について調べてみました。学校などで実施されている「集団応用」の実施状況は、直近10年間で急激に実施人数が増えています2)。 集団応用の特長は、 一方、「家庭応用」とは、歯科医師の指導に基づいて、家庭で洗口する方法ですが、その特長は、歯科医師による、患者さん個人の口腔リスクに合わせた、きめ細やかな指導が可能であるということです。例えば、その患者さんにあったフッ素濃度や洗口量、洗口方法、洗口する時間帯、他の予防法との組み合わせなどの指導が可能です。そこで、使用される洗口液は、市販されている粉末を水に溶かして作ることが主流です。今後、患者さん個人個人の口腔状態に合わせたオーダーメイドの医療が伸展することを考えると、家庭におけるフッ素洗口の普及の可能性は非常に高いと考えています。お母さんのむし歯予防に関する関心も、昔と比べると格段に上がっており、家庭での普及拡大の大きな要因になると考えられます。 C)翌朝起床時の唾液中のフッ素濃度の測定データ洗口後にどれくらいフッ素が口腔内の残るかについて神奈川歯科大学の荒川先生らが行った実験データ3)があります。 ・実験方法 ・結果 ※参考文献 |
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Q24 | 私に合うのはどんな電動歯ブラシでしょうか? |
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A24 | 歯みがきの大切な目的のひとつは、プラーク(歯垢)の除去。手用歯ブラシを使おうと、電動歯ブラシを使おうと、目指すところはいっしょです。プラークとは、歯の表面にベッタリとつく白い汚れ。そのなかはむし歯や歯周病の原因になる細菌でいっぱいです。1mgのプラークのなかに1億以上の最近が棲んでいます。 |
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Q25 | フッ素が歯にいいと聞きました。いつから始めればいいですか? |
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A25 |
乳歯でも永久歯でも生えて間もない時はフッ素の効果は高く、歯質を強化します。できるだけ早い時期から始めましょう。 河口 |
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Q26 | ブクブクうがいの効果って何? |
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A26 |
現在、ほぼすべての日本人が毎日歯をみがき、1日2回以上みがく人は7割にものぼります。 1.歯周病を防ぎます歯周病対策として、歯間ブラシやデンタルフロスの使用をすすめていますが、歯みがきとデンタルフロスに加え、薬用洗口液を用いてブクブクうがいを行えば、歯垢をより確実に落とすことができます。定期的に歯科医院で歯石をとってもらえば、歯周病対策はさらに万全といえます。 2.高齢者の肺炎を防ぎます高齢期に注意したいのは、口の中で繁殖した細菌が唾液とともに肺に入りこむことで起こる肺炎(誤嚥性肺炎)です。誤嚥性肺炎のリスクを確実に減らすには、歯みがきの後にしっかりブクブクうがいを行い、口の中の細菌を減らし、清潔に保ちましょう。 3.口腔機能を保ちます何歳になっても食事をおいしく楽しむためには、自分の歯をできるだけ残すとともに、咀嚼(噛む)と嚥下(飲み込む)を行う口の働きが維持されなくてはなりません。 |
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Q27 | 歯間ブラシとか、タフトブラシとか狭いところのお掃除グッズが他にもありますがフロスってどんな点がいいのですか? |
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A27 |
いちばんお掃除のしにくいコンタクト・ポイント(隣接点)をシッカリと擦り歯の曲面にピタリと沿って、面状にお掃除できるのはフロスだけなんです。
※参考書籍 「nico 2012.5 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q28 | 舌の清掃方法を教えてください。 |
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A28 |
舌苔が多くついている起床直後に舌ブラシや柔らかい歯ブラシを使って舌の清掃を行うのがポイントです。 舌の磨き方舌の奥のほうにブラシを入れると嘔吐反射が出そうになりますが、それを予防するには、舌を思い切り前に出し、水にぬらしただけのブラシで磨くとよいでしょう。舌は歯と違って柔らかい組織なので、1日に何回も磨いたり、力を入れて強く磨くと、味を感じる味蕾(みらい)を傷つけてしまいます。舌の奥のほうをよく観察してていねいに磨きましょう。特に舌苔がついていない人は、舌を清掃する必要はありません。 舌の清掃時のポイント(1)1日1回、起床直後に舌の清掃を行います。 舌の奥まで気持ちが悪くならない程度にブラシを入れ、毛先を舌の表面に当て、舌の奥から前に向かって軽い力で動かして清掃しましょう。 |
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Q29 | ブクブクうがいのやり方を教えてください。 |
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A29 | 30歳代以降は、歯垢の残りやすい歯のすき間が増えてきます。歯みがきやデンタルフロス、歯間ブラシできれいにした後、薬用洗口液を口に含み、ブクブクエクササイズを行いましょう。 |
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Q30 | フッ素がむし歯予防に大切だということはわかるのですが、どのように使っていけばいいですか? |
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A30 |
フッ素物配合歯磨剤の成人の使用法の「イエリボリ法」では、次のように言われています。 ・歯ブラシに2cmの歯磨剤をつける ・歯磨剤を歯面全体に広げる ・2分間歯を磨く ・歯磨剤による泡立ちを保つ(途中で吐出しない) ・終了後歯磨き剤を吐出せず10mlの水を含む ・30秒間洗口し、吐出する ・最低2時間は飲食しない
日本人向けの効果的なフッ化物配合歯磨剤の使用方法は次のように推奨されています。 1回の使用量成人で0.5g以上、6歳未満時は0.25gとし、年齢に応じて適宜増減
使用後の洗口約15mlによる約5秒間の洗口を1回
使用回数と時期1日2回以上、朝食後と就寝前は必ず
その他・ブラッシング中の途中吐き出しはできるだけ少なめに ・使用直後(使用後2時間を目安)の飲食や洗口を避ける ・継続使用する (フッ化物濃度は1000ppm近く、6歳未満児は500ppmでもよい)
また、ブラッシング時に歯磨剤を用いたくない、あるいはブラッシング後に十分洗口して、汚れを口腔外に排出したいという方のためには、ダブルブラッシング法というものがあります。 ファーストブラッシング1回目のブラッシングでは歯磨剤をつけない、あるいはつけて(フッ化物無配合歯磨剤でも可)ブラッシングして十分に洗口する。
セカンドブラッシング歯ブラシにフッ化物配合歯磨剤(できればジェルかフォームのように分散性の高い剤型のもの)をつけて歯面に適用(歯面に延伸する)し、15mlによる約5秒間の洗口を1回行う。
※参考書籍 「日本歯科医師会雑誌 2017 vol.69 No.10」 |
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