フッ素
Q21 | 成人・高齢者の根面う蝕予防や知覚過敏に対する1つとしてフッ化物洗口の活用について教えてください。(1週間の回数や濃度) |
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A21 | 高濃度フッ化物歯磨剤やフッ化物洗口による根面う蝕の予防効果は海外の研究で確認されています。積極的にご利用下さい。成人・高齢者用の歯磨剤利用、フッ化物洗口がありますので、それに沿って奨めて下さい。 また、最近米国かや香港等から、できてしまった根面う蝕に対するサホライドの効果が確認され、利用が普及しているようです。効果としては、じゅくじゅく状態(活動性)の根面う蝕にサホライドを塗布すると、硬化していくこと(非活動性)が確認できたというものです。修復が困難な根面う蝕には効果を発揮しているようです。 ※NPO法人ウェルビーング附属研究所主任研究員 |
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Q22 | フッ素が1450ppm入った歯みがき剤は子どもにも使えますか? |
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A22 | 少量なら使ってもよいとする国がある一方使用不可とする国もあり、国ごとに使用基準はさまざまです。日本では、歯みがき剤メーカーの自主基準として、「6歳未満のお子さんには使用を控えていただく」という制限を設けています。 ※参考書籍 「nico 2017.11 クインテッセンス出版株式会社」 |
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Q23 | 根面う蝕にフッ素が効くって本当ですか? |
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A23 | 根面う蝕にこそフッ化物を応用しましょう。 市販の歯磨剤のフッ化物濃度の上限が1,000ppm(容器の表示は980ppm)から1,500ppm(容器の表示は1,450ppm)に引き上げられました。また、フッ化物含有洗口剤(フッ化物濃度225ppm)がドラッグストアでふつうに買えるようになり、以前と比べてフッ化物利用の環境が良くなってきています。う蝕治療ガイドラインでは、活動性の根面う蝕の再石灰化療法に、セルフケアでのフッ化物応用を強く推奨しています1)。 フッ化物配合歯磨剤(フッ化物の濃度が1,100~1,400ppm)とフッ化物配合洗口剤(フッ化物濃度が250~900ppm)を、毎日併用することにより永久歯の活動性根面う蝕が回復します。 初期の根面う蝕であれば(ICDAS Code 1)、フッ化物濃度1,450ppmの歯磨剤の使用だけでも再石灰化の可能性があります。ちなみに米国歯科医師会は、根面う蝕予防にフッ化物濃度900ppmの洗口剤の毎日使用か、あるいはフッ化物濃度5,000ppmの歯磨剤を使って1日2回、イエテボリ法2)で歯ブラシすることを推奨しています。日本ではフッ化物濃度900ppmの洗口剤は週に1回使用に限定され、フッ化物濃度5,000ppmの歯磨剤にいたっては認可されていません。日本のフッ化物応用に関する消極性は、以前からWHOなどに指摘されています。 フッ化物濃度とう蝕抑制効果は用量反応関係にあり、濃度が増すごとにう蝕抑制効果が高くなります2)。しかし、どれほどの人が、配合濃度でむし歯予防効果に違いがあり、500ppm未満ではう蝕予防効果が報告されていないこと2)を歯科医療者から教わっているでしょうか。本来フッ化物の配合濃度は高いほうがよく、うがいできるのであれば、6歳未満の小児でも1,000ppmを使うべきとの見解を示す専門家もいます。ちなみに、米国で人気の子ども向け歯磨剤(Crest® Frozen, P&G)はフッ化物濃度1,500ppmです。6歳以下はエンドウ豆サイズで使うよう、2歳以下は歯科医師に相談、と容器に書いてあります。
1)日本歯科保存学会 編:う蝕治療ガイドライン 第2版.(最終アクセス日:2021年2月21日 ) 2)日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会 編:う蝕予防の実際 フッ化物局所応用実施マニュアル. 社会保険研究所, 東京, 2018年. ※参考書籍 |
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Q24 | フッ素を塗ると歯が黒くなるのですか? |
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A24 |
フッ素は歯質を強化しむし歯になりにくくするために用いられますが、歯が黒くなることはありません。 |
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Q25 | フッ化物洗口液を間違って飲み込む子もいるので不安です。 |
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A25 |
フッ化物洗口液1人分を飲み込んでも問題ない量、濃度になっていますのでご安心下さい。 ※引用元 NPO法人 Well-Being |
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Q26 | フッ化物洗口で事故が起こったことはないのですか? |
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A26 |
日本で本格的にフッ化物洗口が実施されてからこれまで、安全性は十分に確立されており、定められた方法で行われるフッ化洗口で事故があったとの報告はありません。 ただし、正しく行われなかった事例として、フッ化物の計量を間違った(2倍量とした)、間違って消毒液で洗口、消毒液をよく洗い流さない状態のコップに洗口液を注いで洗口、などがありました。 ※引用元 NPO法人 Well-Being |
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Q27 | 学校で養護教諭がフッ化物洗口液を作ることは違法ではないのでしょうか? |
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A27 |
昭和59年12月21日付けの当時の国会議員から提出された「フッ素の安全性に関する質問注意書」に対し、当時の中曽根康弘内閣総理大臣の答弁書に以下のように記載されています。 「養護教諭がフッ化ナトリウムを含有する医薬品をその使用方法に従い、溶解・希釈する行為は、薬事法及び薬剤師法に抵触するものではない。」 ※引用元 NPO法人 Well-Being |
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Q28 | 劇薬であるフッ素でうがいしてもいいの? |
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A28 |
フッ素洗口液は劇薬ではありません。 フッ化ナトリウムは、フッ化物濃度が1%以上のもの、及び1個中にフッ化物として0.5mg以上を含有するものについては劇薬扱いとなります。(薬事法施行規則第52条関係別表第3、劇薬、無機薬品及びその製剤)。 しかし、フッ化物洗口液のフッ化物濃度は週5回法で0.0225%F(225ppmF)、週1回法で0.09%F(900ppmF)であり、劇薬扱いとはなりません。 ※引用元 NPO法人 Well-Being |
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Q29 | 学校には腎疾患やその他慢性疾患を抱える子もいますが、フッ化物洗口を実施してもよいのでしょうか? |
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A29 |
1分間洗口して吐き出すことができる人であれば、フッ化物洗口の実施は問題ありません。 フッ化物は自然界に広く存在する物質であり、日常生活の中で飲食物とともに摂取し続けています。 腎疾患の子やその他慢性疾患の子、身体の弱い子ども、身障者がフッ化物の悪い影響を受けやすいということはありません。 ※引用元 NPO法人 Well-Being |
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Q30 | むし歯は減ってきており、全体的にむし歯が少なく、数名のむし歯の多い子がいるといった状況で、なぜフッ化物洗口を学校でしなければならないの? |
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A30 |
学校病の中で、小学校では未だに「むし歯(う蝕)」がワーストワンとなっています。 個人によってむし歯リスクの高低はありますが、むし歯リスク0の子はいません。 高いむし歯予防効果を発揮するフッ化物洗口を学校等の集団で行うことによって全員がその恩恵を受け、その効果は生涯にわたって持続します。さらに、生活の質(QOL)を高く保つことにも貢献します。 ※引用元 NPO法人 Well-Being |
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