フッ素

Q11 フッ素でむし歯予防をするなんて子どもだけかと思っていたらおとなにも効果があるんだそうですね?
A11

もちろんです。毎日フッ素入りの歯みがき剤を使いましょう。私たちの医院ではフッ素洗口毎日法をおすすめしています。フッ素はエナメル質や象牙質を強化してむし歯になりにくい歯を作ります。毎晩就寝前に使って、長時間お口のなかにとどめるのがコツ。格段に効果が違います。ぜひおためしを!

※参考書籍 「nico 2010.5 クインテッセンス出版株式会社」

Q12 フライパンのフッ素樹脂加工と歯磨き粉のフッ素は同じものですか?
A12

フッ化物は2種類に分けられます。

フッ素のマイナスイオンと別のプラスイオンが結合すると、フッ化ナトリウムなどの無機フッ素化合物になり、フッ素と炭素の結合を含むものは有機フッ素化合物となります。

フライパンの表面などに施されているフッ素樹脂加工(テフロン加工)は、フッ素と炭素が結合した有機フッ素化合物を応用したもので、むし歯予防に用いるフッ化物とはまったく別のものです。

フッ素は人体に約2.5mg存在し、カルシウムと結合しやすい特徴があるため、歯や骨に多く存在します。とくに小児は骨や歯の成長過程でフッ化物が必要となるため、フッ化物が不足すると身体の成長に悪影響を及ぼします。

食品から摂取したフッ化物は吸収されにくく、とくにカルシウムやマグネシウムを多く含むものは吸収率が低くなります。しかし、飲料水として摂取したフッ化物は吸収率が高く、空腹時に水に溶けた状態で摂取すると、最も吸収率が高まります。吸収されなかったフッ化物は糞便として排泄されます。

Q13 フッ化物歯面塗布ってなんですか?
A13

比較的高濃度のフッ化物溶液やゲル(ジェル)を歯面に塗布する方法です。歯ブラシ法、綿球法、トレー法などがあります。

フッ化物歯面塗布の特徴

1.乳歯および永久歯のどちらにも効果的です。

2.歯ブラシ法の場合、歯磨きと同じ要領で塗布できるので、子どもたちにも受け入れられやすい方法です。

3.塗布の時間は、1~4分程度です。(歯数によって異なります)

4.低年齢児や、うがいのできない人に対するフッ化物応用として有用です。

5.生え始めの歯には特に効果的です。歯が萌出してきたら実施しましょう。

6.3~4ヶ月ごとの塗布が効果的です。

7.継続して行うことで効果を高めることができます。

8.フッ化物洗口やフッ化物配合歯磨剤など、他の局所応用と組み合わせることでさらに効果が高まります。

9.使用量についての注意が必要なため、歯科医師や歯科衛生士など歯科専門職が行う方法です。

10.地域保健の場面では、1歳6ヶ月児および3歳児健診や、その他の乳幼児健診の機会を利用して行われることも多く、より多くの子どもたちに応用されています。

※参考書籍
 「新フッ化物ではじめるむし歯予防」
 筒井 昭仁 八木 稔 編  医歯薬出版株式会社

Q14 フッ化物洗口ってなんですか?
A14

フッ化物水溶液を用いてブクブクうがいを行い、歯面にフッ化物を作用させて、むし歯を予防する方法です。

フッ化物洗口の特徴

1.1分間のブクブクうがいで効果を発揮します。

2.4歳からの実施により永久歯で50~60%のむし歯予防効果があり、特に前歯のむし歯はほとんどみられなくなります。

3.歯ブラシの届かない奥歯の溝の部分や、歯と歯の間にもフッ化物が届き、むし歯に対して抵抗性のある歯を育てます。

4.少し溶け始めた歯の表面をもとに戻してくれます。(再石灰化を強く促進します)

5.フッ化物濃度は低く、使用量も少ないため、安全性の高い方法です。

6.安い費用で実施できます。

7.毎日1回(あるいは週5回)行う方法と、1行う方法があります。

8.家庭で個人的に行う方法と、園や学校で集団で一緒に行う方法があります。

9.永久歯の萌出時期4~15歳頃)に継続して行うと効果的です。

10.成人の歯と歯の間(隣接面)にできるむし歯の予防、高齢者の根面にできるむし歯の予防にも効果的です。

11.定期的なフッ化物歯面塗布や家庭でのフッ化物配合歯磨剤とも併用できます。

12.シーラント(奥歯の溝をシールする)と組み合わせると、効果的です。

※参考書籍
 「新フッ化物ではじめるむし歯予防」
 筒井 昭仁 八木 稔 編  医歯薬出版株式会社

Q15 フッ化物配合歯磨剤ってなんですか?
A15

フッ化物を含む歯磨き剤のことで、日本の歯磨剤の約9割がフッ化物が配合されています。一般家庭用のものと歯科医院専売のものがあり、形状もジェルタイプ、ペーストタイプのものがあります。

フッ化物配合歯磨剤の特徴

1.日常の歯磨きに組み込むことで、簡単にむし歯予防ができます。

2.歯の生え始めから成人、高齢者まで生涯を通じて家庭で利用できる身近なフッ化物応用です。

3.歯の表面にフッ化物が作用して、むし歯に対する抵抗力のある歯を育てます。また、表面が少し溶け始めた(むし歯になりかけた)歯面に作用して、もとの状態に戻してくれます

4.歯肉が下がって露出した歯根面のむし歯にも予防効果があることが分かっています。

5.3~6歳児未満では、1日2回、グリンピースサイズのフッ化物配合歯磨剤による歯磨きが効果的です。
歯の生え始めから3歳まではこちらをご覧ください。
低年齢児(歯の生え始めから3歳未満)への家庭内フッ化物応用について教えてください。

6.6歳以上では、1日2回以上、歯ブラシ植毛部の半分量の歯磨剤による歯磨きが効果的です。

7.歯磨き後のうがいの回数は2くらいにとどめます。

8.フッ化物配合歯磨剤のフッ化物濃度は、1,000ppmF以下です。

9.世界で15億人が利用しており、もっとも普及しているフッ化物応用です。

10.定期的なフッ化物歯面塗布やフッ化物洗口と併用できます。

※参考書籍
 「新フッ化物ではじめるむし歯予防」
 筒井 昭仁 八木 稔 編  医歯薬出版株式会社

Q16 フッ素配合歯みがき剤ってむし歯予防によく効くそうですね。どれくらい効くのですか?
A16

むし歯を20~30%減らすと言われていますが、ここ数十年のむし歯の減り方を見ていると実際には「もっと効いているのではないか」、「使い続けるほど効果が複利で積みあがる」という見解もあります。

また、フッ素配合の歯みがき剤がシェアを伸ばすにつれ国内のむし歯本数は激減しています。こうした現象は、日本に限らず世界各国で起きているんです。

フッ素濃度と予防効果の関係については、このほど認可され販売がはじまったフッ素1450ppmFの歯みがき剤が今後普及していけば、むし歯の本数はさらに減少することが予測されます。

※参考書籍
 「nico 2015.6 クインテッセンス出版株式会社」
 「nico 2017.11 クインテッセンス出版株式会社」

Q17 低年齢児(歯の生え始めから3歳未満)への家庭内フッ化物応用について教えてください。
A17

1歳のお誕生日を迎える頃から3歳頃までの、吐き出しができないお子さんに対する家庭内フッ化物応用に関しては注意が必要です。

永久歯の前歯の歯冠が完成するのは5歳頃です。したがって、この時期までにフッ化物を過量に摂取すると前歯部の「歯のフッ素症」発現につながります。特に、吐き出しができない3歳頃までは、フッ化物の種類や使用量について配慮しなければなりません。

ブクブクうがいができるようになったら(4歳頃から)、フッ化物洗口を行ったり、一般的なペースト状のフッ化物配合歯磨剤を子ども自身で使うことができます。

低年齢児(歯の生え始めから3歳未満)への家庭内フッ化物応用の特徴

1.吐き出しができない1~3歳未満には、次の4通りのものがあります。

■低濃度(フッ化物濃度100ppmF)のフッ化物溶液による歯磨き

■泡状のフッ化物配合歯磨剤の塗布ブラッシング

■ジェル状のフッ化物配合歯磨剤(フッ化物濃度500ppmF)によるダブルブラッシング

■フッ化物スプレーの噴射

2.寝かせ磨きの際に利用できます。

3.歯科医院での定期的なフッ化物歯面塗布と組み合わせて行うことができます。

4.低濃度のフッ化物溶液による歯磨きは、1日1回、就寝前の寝かせ磨きのときに応用します。

5.泡状およびジェル状のフッ化物配合歯磨剤、またはフッ化物スプレーは、1日3、寝かせ磨きの後に歯面に塗布するように”応用します。

6.低濃度のフッ化物溶液は歯科医院で作製してもらいます。泡状のフッ化物配合歯磨剤、フッ化物スプレーは歯科医院のほか、薬局などでも入手可能です。

7.どれを選んでも口の中に残るフッ化物の量は問題のない量であり、吐き出しができなくても使えるものです。

※参考書籍
 「新フッ化物ではじめるむし歯予防」
 筒井 昭仁 八木 稔 編  医歯薬出版株式会社

Q18 色々なフッ化物応用がありますが、それらを複合して実施してもよいですか?
A18

フッ化物局所応用も、かつてはフッ化物歯面塗布のみでしたが、その後多くの製剤が開発され、日本でも応用可能となり、フッ化物応用の選択肢が広がってきました。

日本では水道水フッ化物濃度調整などの全身応用が行われておらず、現在認められているフッ化物局所応用の方法を複合して応用しても、歯のフッ素症の心配はいりません

応用方法を正しく理解し、実施するためにも歯科医院に相談し指導してもらいましょう。

※参考書籍
 「新フッ化物ではじめるむし歯予防」
 筒井 昭仁 八木 稔 編  医歯薬出版株式会社

Q19 高濃度のフッ化物配合歯磨剤によるブラッシングは、フッ化物洗口の代わりになるでしょうか?
A19

成人・高齢者においての第一の選択肢は、家庭でフッ化物濃度900ppmFの溶液で毎日行うフッ化物洗口です。(900ppmFは子どもでは週1回法のフッ化物濃度になります)

子どものフッ化物利用の基本は、低濃度フッ化物溶液で回数多く行う「低濃度+高頻度」ですが、成人・高齢者に関しては、体重の関係から、また歯や骨の成長が終了していますから、フッ化物量の飲み込みに関しては量的に余裕があります。よって、「高濃度+高頻度」のフッ化物利用が可能であり、効果的です。

成人・高齢者の第2の選択肢として1450ppmF歯磨剤の利用があります。悲痛に歯磨きを行った後に唾液に溶けた状態の歯磨剤の混合液で、隣接面にまで届くように強くブクブクして吐き出します。その後の水のうがいはできれば1回。多くても2回で止めましょう。

子どもたちは基本的に園、小中学校でフッ化物濃度900ppmFの洗口液で週1回フッ化物洗口を実施しましょう。

※NPO法人ウェルビーング附属研究所主任研究員
 筒井 昭仁先生のコメント引用

Q20 6歳臼歯のう蝕予防のため4歳からのフッ化物洗口を勧められていますが、それ以下の年齢でもうがいが出来ればよろしいですか?
A20

フッ化物洗口は4歳になってからにしましょう。

実際に調べてみると、1分間の洗口は4歳から可能です。しかし、4歳未満では、1分間の洗口持続が難しい子ども、また洗口途中で飲み込んでしまう子どもがいるようです。

1歳前でも歯が生えてきたら家庭でフッ化物歯磨剤を使うように、また歯科医院で3カ月毎のフッ化物塗布を受けるように保護者に奨めて下さい。4歳になったら園でフッ化物洗口を実施しましょう。なお、フッ化物歯磨剤、フッ化物洗口、フッ化物塗布の重ねて応用することは効果的であり、フッ化物量的にも問題ありません。

※NPO法人ウェルビーング附属研究所主任研究員
 筒井 昭仁先生のコメント引用

フッ素に関してもっと詳しく知りたい方へ

フッ素入り歯磨き粉は危険ってホントなの?(外部サイト ふくしげ歯科ブログ記事)

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