歯ブラシ

Q1 歯磨き粉を使わないブラッシングって効果がないって本当ですか?
A1

むし歯予防を目的とした一般的なブラッシングの目的を細分化すると、次の①~⑤に分類できます。

①むし歯原因菌の比率が高まった(ディスバイオーシスに至った)成熟プラークの破壊と初期化

②口腔内に残留した食事由来の発酵性糖質の除去

③フッ化物配合歯磨剤による歯質強化

④フッ化物配合歯磨剤による再石灰化促進

⑤フッ化物配合歯磨剤による細菌の解糖系酵素(エノラーゼ)疎外と、有機酸(おもに乳酸)産生抑制

③④⑤はフッ化物の作用によるものなので、①②のみがフッ化物配合歯磨剤を使用しない場合でも期待できる効果ということになります。②については1日のブラッシング回数が多いほうが良さそうなのですが、これについては食後のうがいや、お茶や水を飲むことでも効果があると思われます。

また、ブラッシングによるプラークの除去は個人の技量によってその効果が大きく異なるため、効果にバラツキが大きく出るということもあり、ブラッシング頻度だけで分析しても有意な差が出にくいのかもしれません。さらに、歯ブラシの毛先は狭い裂孔の奥までは届かないことも電子顕微鏡を用いた観察によって報告され、ブラッシングのみによるむし歯予防の限界を示唆しています。

 

※参考書籍
 「歯科衛生士のためのカリオロジーダイジェスト」
 著 天野 敦雄、久保庭 雅恵

Q2 ブラッシングって効果があるの?
A2

歯ブラシで約半分のプラークが除去できて、フロスも追加すると約8割のプラークが除去できます。

口腔清掃後のプラークの残存

※参考書籍
 「Dr.Hiroのペリオ図鑑」
 著 山本浩正 クインテッセンス出版株式会社

Q3 どんな歯ブラシを使ったらいいですか?
A3

一般的には植毛部分が自分の親指くらいの幅で、小ぶりの物を選ぶと使いやすいです。
あまり大きすぎると奥の面まで届かないのでプラークを取ることが難しくなります。
毛先の部分については平らなカットで高さが均一なものを選びましょう。
 かたさは歯ぐきを痛めないために「やわらかめ」または「ふつう」をおすすめします。
持ち手はあまり太くない握りやすい物が使いやすいです。
とは言ってもお口の中は人それぞれ違いますので、スタッフにご相談下さい。

歯ブラシの裏側から見て、毛先が外側に広がっていたら交換しましょう。
目安はおよそ1ヶ月です。
 1ヶ月しても毛先がまっすぐの人・・・歯ブラシの力が弱すぎ
 1ヶ月しないうちに毛先がボサボサの人・・・歯ブラシの力が強すぎ

Q4 歯磨きは1日何回、何分したらよいですか?
A4

1日2回は最低でも磨いてください。最も大切なのは、夜寝る前に磨いてお口の中をキレイにすることです。
1回の歯みがきに何分という決まりはありませんが、磨き残しがないようにお口の中の磨く順番を決めるといいですね。

Q5 しっかり歯を磨いているつもりですが、どうして歯石がつくのですか?
A5

歯石は歯垢が硬くなったもので、唾液中のカルシウムと結合してできます。 その為、唾液が分泌される下の歯の舌側の歯の面と、上の歯の頬側に付きやすいです。

プラークで汚れている歯の表面の方がザラザラとしており、より歯石沈着は多いのですが、歯と歯の間や歯の凹部分など、沈着しやすい形のところでも、やはり歯石はついてくるようです。

毎食後歯磨きすると、歯垢はつきにくく、歯石になりにくいです。

※参考サイト 「日本臨床歯周病学会」

Q6 歯ブラシで歯ぐきを磨くと出血しますが、歯みがきをやめたほうがいいのですか?
A6

歯ぐきはやわらかい組織で、歯ブラシを軽く当てた程度で出血する場合は炎症を起こしていると考えられます。出血を怖がって歯磨きをしないと腫れはどんどん悪化します。
現在使っている歯ブラシを柔らかいものに変え、また、指に薬効のあるペーストを塗ってマッサージをしてください。歯ぐきを刺激し、炎症を抑えることができ、引き締まった歯ぐきになります。
特定の部位から出血が続くときは歯科医院に診てもらいましょう。
また、歯並びやブラッシングのクセで磨き残しも発生します。歯ブラシやフロスなどの補助器具の使い方、選び方と一緒に定期的に歯科医院に診てもらうとよいでしょう。

Q7 歯磨き中に「オエッ」となるのはなぜですか?
A7

歯磨きやうがいで吐き気を起こすのは「嘔吐反射」であり、咽頭部への摩擦で起こります。
歯ブラシのヘッドを小さくしたり、奥歯や舌をブラッシングするときはあまり奥まで突っ込まないようにすれば回避できますが、口腔内のケアがうまくできなくなる可能性もあります。丁寧なブラッシングも大切ですので、歯科医院に相談してみましょう。歯ブラシの選定、ブラッシングのコツなどを教えてもらえます。

Q8 塩で歯を磨くのはよくないのでしょうか?
A8

塩には歯ぐきを引きしめる効果があります

人間の体の構成要素の一つとして「塩基」つまりイオンがありますが、この中に塩(塩化ナトリウム)が含まれています。
ナトリウムには体が水分を吸収しやすくし、老廃物も排出するという作用があります。
塩で歯を磨くと、ナトリウムの影響で歯ぐきの中の老廃物が排出されやすくなり、歯ぐきに余計なものが残らないので、引きしまった感じがします。

ただし、塩の結晶は硬度が高いので、唾液で溶ける前に歯や歯ぐきを傷つけてしまう可能性があります。塩の粒子を小さくして歯や歯ぐきを傷つけないように加工してある塩入りの歯磨きペーストを使うことをオススメします。

Q9 常在菌とはなんですか?
A9

常在菌とは、私たちのからだや口のなかに住みついている細菌や、カビのことです。
腸のなかがもっとも多く、つぎに口、そして鼻、皮膚などに存在しています。その他、私たちのからだや口には常在ウイルスも住んでいます。
目には見えないので、ふだん私たちは常在菌の存在をあまり意識する事ことはありませんが、栄養の入り口でもある口のなかには、なんと500~700種類もの常在菌が住みついています。
常在菌には善玉菌も悪玉菌もいますが、総じてふだんはおとなしく、特別な悪さをするわけではありません。それぞれの細菌が一定の数を保ち、お互いを牽制しながらおとなしく存在しているので、上手に付き合っている分には、別段問題は起きません。
ところが、歯みがきをしないでいて(あるいは雑にすませていて)、食べかすが残って栄養がタップリあると、私たちの口のなかはポカポカと温かく、常在菌の繁殖にもってこいの環境になります。
常在菌が増えると、いくら唾液に抗菌作用があるといっても、その力だけでは増殖する常在菌のパワーに太刀打ちできません。こうして起きる感染症が歯周病やむし歯です。
また、私たちの体力(免疫力)が低下したときには、ふだんおとなしくしている常在菌がスキを突いて活発になり、全身症状をともなうさまざまな感染症を引き起こすことがあります。免疫力と常在菌のパワーが均衡しているときはよいのですが、その絶妙なバランスが崩れてしまうときがあるのです。
まして口のなかの常在菌が増えていると、感染症になるリスクはますます高まってしまうので、歯みがきによる感染予防が欠かせないのです。

※参考書籍 「nico 2011.12 クインテッセンス出版株式会社」

Q10 「感染症の予防に歯みがきが効く」ってむし歯や歯周病以外にも効くってことですか?
A10

感染症は、口の外から入ってくるインフルエンザや風邪のウイルスなどのほか、口のなかにもともと住んでいる多種多様な常在菌によっても起きるんです。歯みがきでお口をきれいにしておくと肺炎や帯状疱疹、心内膜炎、院内感染など、さまざまな病気の感染予防にもなります。

※参考書籍 「nico 2011.12 クインテッセンス出版株式会社」

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