日常生活での注意について
Q31 | むし歯が多いわけでもなく噛み合わせもとくに悪くないのになぜか詰め物がすぐ取れてしまったり治療した歯が折れるので悩んでいます。 |
---|
A31 |
もしかして、歯ぎしりやくいしばりを習慣的にしているのかもしれません。 |
---|
Q32 | X線写真で、口腔内に築造体の存在が疑われます。金属の築造体のアレルゲンの有無は、どのようにして調べればよいですか? |
---|
A32 | クラウン(被せ物)の中に築造体がある場合、口腔内に露出していないので、直接金属成分を分析することはできません。 外側のクラウンを金属成分分析してアレルゲンが存在するならば、そのクラウンを除去することになり、その時に内部の築造体が露出するので、金属成分分析は可能になります。 クラウンにアレルゲンが含まれず、二次カリエスや根管治療の状態も問題ない場合、安易に除去することはできません。その場合、X線像で形態から推測するのが一法です。 ネジ状や直線的な像の場合、スクリューピンや既成ポストの可能性があり、ステンレス製や真鍮製の可能性が考えられます。ステンレスではニッケル(Ni)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等が含まれている可能性があり、真鍮の場合は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)が含まれます。 曲線的なX線像の場合、鋳造ポストが考えられます。前歯部で比較的長さがある場合は、金銀パラジウム合金の可能性が高く、臼歯部では金銀パラジウム合金や銀合金、古いものではアマルガムの可能性もあります。 上部構造体を外して築造体の金属成分分析検査をするか否かは、患者さんの陽性元素と、推察される築造体の含有元素を患者さんに説明した上で、患者さん本人の意向を尊重することが必要と考えられます。
※参考書籍 |
---|
Q33 | 朝起きたときあごが疲れています。寝ているときに何か力がかかっているのですか? |
---|
A33 |
もしかしたら就寝中に、歯ぎしりや食いしばりをしているのかもしれません。ギリギリという音で気づきやすい歯ぎしりに対して、グーッと強く噛む食いしばりは、音がしないため以外に気づいていない方が多いのです。 詳しくは以下をご覧ください。
睡眠中に生まれる無意識の力とは?歯ぎしり・食いしばりとは、眠っているとき、また起きているときに歯を強くギリギリとこすり合わせたり、グッと強く噛み込んだりする行動を言います。ストレスの発散のために行われているのではないかともいわれ、無意識に行われる点に特徴があります。 なかでも問題になりやすいのが睡眠中の歯ぎしり・食いしばりです。自覚さえすれば、止めることも可能な日中の行動に対し、睡眠中に無意識に行われる歯ぎしり・食いしばりは、自分で気づいて止めるということができません。
力に対する防御機構が働かない?目が覚めているときに強い力で噛み込むと、その情報をセンサーがキャッチして、「これ以上強く噛むと痛くなるな」「破壊してしまうな」という制御が働きます。しかし、睡眠中の場合、このセンサーは目が覚めているときほどは敏感に働きません。そのため、睡眠中の歯ぎしり・食いしばりは、日中に行うものよりも、ずっと強い力になりがちです。強い歯ぎしり・食いしばりが毎晩続くと、被せ物を入れた歯が折れた、歯が欠けた・削れたといった問題が起きやすくなってしまいます。
そんなあなたにナイトガード!睡眠中の歯ぎしり・食いしばりは無意識で行われ、自覚的に減らすことができないのが悩みの種。ストレスが原因だとしても、一朝一夕に原因を取り除くのは現実的に難しい場合も多々あります。そこで役に立つのがマウスピースの一種で、就寝中に使うナイトガードです。歯科医院で製作でき、装着して眠ると歯ぎしり・食いしばりの害を確実に減らすことができるスグレものです。 もうひとつ紹介したいのが、睡眠時無呼吸症候群の治療用マウスピースのオーラルアプライアンスです。歯ぎしり・食いしばりの発生には睡眠の質が影響することが明らかになっています。 歯科がご提供するマウスピースで歯ぎしり・食いしばりの害を防ぎ、睡眠の質を上げて、歯とからだの健康を守っていきましょう。
※参考書籍 「nico 2015.8 クインテッセンス出版株式会社」 |
---|
Q34 | 歯の土台にアレルゲンが含有している場合、外す必要はあるのですか? |
---|
A34 |
ある研究によれば、「銀イオンに関しては、金属支台から象牙質に700μm程度滲入している状況が検出された。銅イオンやパラジウムイオンに関しては、象牙質表層のごくわずかの領域を除いてほとんど検出されず、根管ポストから300μm離れた象牙質中では溶出した金属イオンの量がかなり少なく、特に銅イオンやパラジウムイオンに関しては、現在の技術では検出することはできなかった」とあります。 メタルコアにアレルゲンが含有されていれば原則として除去が望ましいと思われますが、除去することによって、その歯の保存が困難となる可能性がある場合は、患者さんと相談し、経過をみる場合もあります。
※参考書籍 |
---|
Q35 | 検査で金属アレルギーと判定されました。金属アレルギーの改善法はありますか? |
---|
A35 |
口の中でアレルギーを引き起こしている金属を取り除くことと、原因の金属に接触しないようにしていれば、徐々にアレルギー症状は改善していきますが、アレルギーが完全に治ることはありません。
※参考書籍 |
---|
Q36 | 除去治療では、一度にすべての金属を外すのがよいのですか? |
---|
A36 |
アレルギー的観点からは、一度に多くの金属修復物を除去することで、フレアアップ(一過性のアレルギー症状の悪化・再燃)が長引くリスクを下げることができます。 しかし歯科的問題として、咬合関係の変化が口腔周囲筋や顎関節に与える影響も無視はできません。片顎ごと、または左右臼歯部などに限定して除去を進めて仮封材に置換し、一定期間、経過観察を行い、アレルギー症状および咬合関係が改善されることを確認したほうが望ましいと言えます。
※参考書籍 |
---|
Q37 | 金属を除去した後、急に湿疹が出ました。なぜですか? |
---|
A37 | 金属除去治療時の注意点として、口腔内のアレルゲンが特定され除去が必要となった場合、アレルゲン切削片を可能な限り患者さんと接触させないことがあげられます。 しかし、気を付けていても、切削して飛散することで口腔粘膜、皮膚と接触して取り込まれると、フレア・アップといって一時的に皮膚性症状が悪化してしまうことがあります。これが湿疹となります。 ※参考書籍 |
---|
Q38 | 保険治療で入れた金属はどんなもの? |
---|
A38 | 保険の範囲で治療が行われた場合は、一般的に金銀パラジウム合金である可能性が非常に高く、製品に含まれている元素一覧表を見れば成分は確認できます(下記「表:推定される金属」参照)。 表:推定される金属
銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)はほとんどの製品が含有しています。そのため上記の元素に金属アレルギーの陽性反応があれば、保険内で行われた補綴装置が除去の対象となります。 ニッケル-コバルト(Ni-Co)合金に関しては、主に義歯などに使われます。ニッケル-コバルトに関しては硬さなども似ており、判断が難しく、この場合は成分分析が必要となることもあります。 理想的に言えば、陽性反応の出ているアレルゲンのすべての除去が望まれます。 特に患者の皮膚症状が出始めた時期と被る時期の補綴装置、二次う蝕、上下の対咬関係で異種金属が入っている部位(電位差の関係でガルバニー電流が発生しイオン化する)を除去の優先箇所とします。 ※参考書籍 |
---|
Q39 | 歯医者さんでブラキシズムを指摘されました。自分ではしている自覚はなかったですし、家族も「気づかなかった」というのですが、なぜ先生には分かったのでしょう? |
---|
A39 |
舌や粘膜に歯のあとがクッキリ付いていたり、歯が咬耗していたり、欠けていたりといったさまざまな痕跡が口のなかにあったのでしょう。食いしばりは音が静かなので、していても気づいていない方は意外と多いです。 代表的な痕跡1.舌に歯型がある!強く噛むと、舌が緊張し歯列を圧迫するので歯型が舌にクッキリ付きます。 2.歯が削れている!毎晩のように歯ぎしりをしていると、歯がひどく削れてしまいます。 3.頬の粘膜に歯型がある!強く噛むと、頬の筋肉が緊張し奥歯にギュッと押し付けられるので、その痕跡が残ります。 4.あごの骨(歯槽骨)が隆起!歯を守って長年歯ぎしり・食いしばりに耐えている歯槽骨が盛り上がっています。 ※参考書籍 「nico 2015.8 クインテッセンス出版株式会社」 |
---|
Q40 | 金属アレルギーの治療は絶対に保険が利かないのですか? |
---|
A40 |
必ずしも健康保険が利かないわけではありません。 患者さん一人ひとりの体質が異なります。陽性となる金属元素も異なるため、体質を調べる検査であるパッチテストや血液検査を用いて、どの歯科用金属元素に対してアレルギーがあるのかを正確に把握することが重要です。陽性となった金属元素は使用を避けることが望ましいですが、健康保険の利く金属には含まれない金属元素が陽性になっている場合もありますので、検査結果と治療用材料について、治療前に担当歯科医師とよく相談する必要があります。
※参考書籍 |
---|