食事
Q11 | 食事中思わず頬や舌を噛むのはなぜ? |
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A11 |
学習によってでき上がった食品ごとの咀嚼のリズムは、口腔周囲の組織の絶妙な協調運動を作り上げます。しかし、この微妙なタイミングに狂いが生じた瞬間、頬や舌を噛んでしまう場合があります。たとえば、食事中のおしゃべりなどがその典型です。おしゃべりによって脳幹のリズムに予測できない動きが加わり頬や舌を噛んでしまうと考えられます。
※参考書籍 |
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Q12 | 母親が「よく噛んで食べなさい」と言うんだけど、よく噛むことにどんな効果があるか教えてください。 |
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A12 | 「噛む」ことの効能唾液の分泌量の増加
早食いの防止
あごの骨の正常な成長
情緒の安定
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Q13 | 食事介助の方法を教えてください。 |
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A13 | 食事支援介助とは、食事を安全に摂取するために周りの環境を整えることをいいます。 1)適切な食事形態の提供嚥下機能の評価を適切に行い、患者さんにあった形態を指示します。もちろん、義歯の調整や歯科治療も重要な対応方法です。 2)食事の嗜好・味・温度好きな食品は上手に摂取できる場合も多いため、あらかじめ食事の嗜好を把握しておくことは重要です。味が薄く、体温に近い温度のものは嚥下反射を誘発しにくいため、しっかりとした味つけ、食事の温度などを工夫することで嚥下反射を促します。 3)姿勢の工夫嚥下しやすいポジショニングに、枕やクッションを用いて調整します。 4)食事の時間帯抗パーキンソン病薬を服用している患者さんでは服用後はスムーズに摂取が進み、高齢者では朝の経口摂取量が多いという報告があります。経口摂取が進むときに栄養摂取量を稼ぐことができるように調子のよい時間帯を探します。 5)食事のひと口量、ペース介助の場合では、ひと口量はあまりに少ないと嚥下反射が誘発されないですし、多すぎると誤嚥や窒息の可能性が高くなってしまいます。適切な量は人それぞれ異なります。 6)食べる順番口腔や咽頭に残留している食事を、異なる食形態のものを嚥下することで除去する交互嚥下は、残留物の誤嚥予防に有用です。飲みやすく残留しにくいもの(お茶やお茶ゼリー、トロミつきのみそ汁など)を探しておき、食事の合間、および食事の最後に摂取するようにします。 ※参考書籍 |
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Q14 | 摂食機能療法で気を付けることはありますか? |
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A14 | 摂食機能療法では、誤嚥や窒息のリスク管理が必要となります。
誤嚥が生じたときは、経過観察で問題ない程度の誤嚥であるのか、積極的に対応しないと肺炎になってしまうような誤嚥であるのかの見極めがポイントです。誤嚥したとしても、誤嚥物の量が少なくて呼吸器への為害性が弱く、その患者さんの体力・免疫力・喀出力が低下しているときは、吸引、呼吸リハビリテーション(ドレナージやスクイージング)を考慮します。 窒息は緊急性を要するため、生じたときには窒息の原因となった食物の除去(ハイムリッヒ法、吸引など)を試み、必要に応じて救急車を呼びます。喉頭鏡や経皮的気管穿刺針キットを準備しておくこともよいでしょう。 誤嚥や窒息を目の前にすると、どうしても気が焦って対応が遅れてしまいがちです。しかし、対応は一刻を争うときもあります。いつ誤嚥や窒息が生じても対応できるように、日々の臨床のときからシミュレーションしておく必要があります。 2.誤嚥や窒息が起きないように予防する以上は起きてしまったときの対応ですが、もっと重要なのは誤嚥や窒息が起きないように予防することです。摂食・嚥下機能を十分に評価し、危険性のある食品は訓練に用いない、食事として提供しないといった対応が望まれます。 3.いざというときに備えたシミュレーションが大事摂食機能療法を必要とする患者さんは、全身状態が悪い場合も多く、全身状態の急変のリスクもあります。意識レベル低下、呼吸停止、てんかん発作など、予測される急変を常に頭において、いざというときに対応できるようにシミュレーションしておきましょう。また、このときも予防が重要です。負荷がかかるような訓練・検査などを行うときは、あらかじめバイタルサイン(血圧、SpO2、体温)は計測するようにし、必要であればモニターしながら訓練を行いましょう。いつもと違うバイタルサインが計測されたときは、訓練・検査を撤退するというのもリスク管理の方法です。 主治医と良好な関係を築いておくことも、広い意味ではリスク管理といえます。全身状態の変化を常日頃からやりとりしていると、急変の予測に有用ですし、急変が生じたときも問い合わせがしやすくなります。 ※参考書籍 |
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Q15 | だんだんと歯の噛む面がすり減ってきている気がするのですが・・・大丈夫ですか? |
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A15 | 大臼歯の咬合面において咬頭部のエナメル質は1年間に約30μm消失されています。第一大臼歯で考えてみると、60年間で約1,800μm、すなわち1.8mmのエナメル質が消失することになります。咬合面でこれだけのエナメル質が消失すると、象牙質が露出するようになります。露出した象牙質部はエナメル質よりも早く消失し陥凹が形成されやすくなります。さらに周囲のエナメル質が小破折を起こしながら、咬合面の資質はさらに消失していくと考えられます。 ※参考書籍 |
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