免疫

Q1 「免疫力が高い」とは、どのような状態なのですか?
A1

一般的にいうと、病気やストレスなどに強い状態のことです。

免疫学的には白血球内の顆粒球が54~60%リンパ球が35~41%の範囲にあり、両者のバランスがとれている状態をさします。免疫は自律神経(交感神経副交感神経)と連動しており、交感神経が優位になると顆粒球、副交感神経が優位になるとリンパ球が増加します。自律神経のバランスが崩れ、いっぽうに偏った状態が続くと、顆粒球とリンパ球のどちらかが過度に増えたり減ったりして免疫は正常に働かなくなります。つまり免疫力が低下します。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q2 加齢で免疫力は低下しないのですか?
A2

免疫には、涙腺・扁桃・腸管などで細胞の異変を監視する古いシステムと、胸腺・リンパ節・脾臓などで外来抗原に対抗する新しいシステムがあります。後者は加齢によりはたらきが弱くなりますが、前者はむしろ活性化します。つまり、若いときは新しい免疫システムが中心で、年とともに古い免疫システムが中心となり体内の異変を監視するだけでなく、外来抗原にも対応するようになります。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q3 はしかに「二度かかり」しないのはなぜ?
A3

免疫には、体にもともとそなわっている「自然免疫」と、生きていく家庭で得る「獲得免疫」があります。はしかやおたふく風邪にかかると、その抗原に対する抗体ができます。これが獲得免疫で、次に同じ抗原が体に入って来ると発病する前に排除します。そのため、はしかに二度かかることはありません。ところが、風邪のウイルスには膨大な種類があり、同じウイルスでも変異している場合が多いのです。そのため、獲得免疫が機能せず、何度も風邪をひいてしまいます。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q4 自分の免疫力を知る方法はありますか?
A4

体温を測ってみましょう。人間の体が活発に機能するために必要な深部体温は37.2℃です。わきの下で36.5℃前後です。血管を収縮させたり拡張させたりして熱の放出をコントロールし、体温維持をしているのが自律神経です。そのため、自律神経のバランスが崩れると体温が低下します。免疫力は自律神経と連動していますから、わきの下の体温が36℃以下の低体温の人は免疫力も下がっている可能性が高いのです。

 

■測定部位とベストな体温

舌下 36.5~36.8℃

舌の下に体温計を入れて測る。わきの下よりも深部体温に近く、測り方で差が出ない。

わきの下 36.5℃前後

体温計の挟み方などによって正確な温度が出ないことも。舌下よりも温度が低い。

直腸 36.5~37.0℃

深部体温に近いが家庭で測るのは難しい。病院での治療時などに測られることがある。

深部体温 37.2℃

脳や内臓などからだの深部の温度。37.2℃で酵素がはたらきやすく、代謝が活発になる。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q5 顆粒球が増えると体はどうなるの?
A5

交感神経副交感神経がバランスをとりながら働いているのが自律神経です。それと連動するのが免疫システム

感神経が優位状態になると顆粒球が増加します。顆粒球は抗原を飲み込んで破壊するいっぽう、化膿性の炎症を起こします。さらに優位状態が続いて顆粒球が増えすぎると、抗原だけでなく体内組織までを破壊し、体内に炎症を起こしてしまいます。しかも交感神経優位の状態では血管が収縮し、血流がわるくなり、動悸がしたり、手足が冷たくなったりします。また顆粒球が過剰に増えている分だけ、リンパ球は減り、小さな異物やがん細胞が処理できなくなります。さらに、顆粒球の増加が続くと新たな問題が発生します。免疫システムが、「今の状態を何とかしなければ」と副交感神経を過剰に反応させるのです。すると急にやる気がなくなってぼんやりしてしまうことも。どちらにしても自律神経のバランスは極端に偏ったまま、免疫力もぐんと低下してしまいます。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q6 免疫力の低下によって起きる病気とは?
A6

具体的な病名をあげれば、がん、胃潰瘍などの腫瘍性疾患、糖尿病、痛風、甲状腺機能障害、急性肺炎、虫垂炎、化膿性扁桃炎、口内炎、ニキビ、肌あれ、しみ、しわ、動脈硬化。また、血行障害による心筋梗塞や高血圧、肩こり、腰痛、神経痛、関節リウマチ、排泄・分泌機能の低下による便秘などもそうです。すべての病気が、免疫のトラブルによって起きるといっても過言ではありません。

しかも、免疫力が低下していると治癒力が働かず、病気が治りにくくなります。さらに、交感神経の緊張による作用でいらいらや不眠なども起き、精神的なトラブルも大きな問題になってきます。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q7 副交感神経が優位ならよいのですか?
A7

そうではありません。

副交感神経の優位状態が続くと免疫過剰になってしまい、増加したリンパ球が何でもない物質(特定食物、ハウスダスト、動物の毛、花粉など)までを抗原として認識し、抗体をつくってしまうことがあります。そして、それらが体に侵入したとたんに抗体が働き、排泄しようとします。これがアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、花粉症、じんましんなどのアレルギー疾患。運動不足や過食などの傾向が強い現代では、体が過保護になりがちです。副交感神経が優位になりすぎるためにこれらのトラブルに悩んでいる人も増えています。不調を訴える人のおよそ7割が交感神経の過度の緊張によるトラブルで、3割が副交感神経優位によるトラブルだという説もあります。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q8 発熱、発疹、痛みはどうして起きるのですか?
A8

風邪をひいたときは、リンパ球が減少して免疫力が低下しています。そこで風邪の病原菌と闘うために体が発熱し、体温を上げてリンパ球を増加させようとします。これが風邪のときの高熱です。

また免疫細胞の働きにより、体にとってわるいものを外に排除しようとしている状態が発疹です。免疫の作用によって、滞っていた血流が流れ出す際に起きる痛みもあります。たとえば、腰痛。動いたあとに腰痛が起きやすいのは、動いたことで乳酸などがたまり、それが邪魔になって血流が悪くなります。すると免疫機能が血流を改善しようと自然治癒力を働かせ、プロスタグランジンという物質を出します。これは血管の拡張に必要な物質ですが、同時に発熱や痛みも起こさせるため腰痛が起こるのです。

つまり発熱や痛みなどの症状の多くは、免疫が働いているからこその治癒反応。故障した体のメンテナンス作用ともいえるのです。

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q9 薬が免疫を低下させるというのは本当ですか?
A9

症状の多くは免疫力の治癒反応。薬で症状を抑えてもトラブルの原因が取り除かれたわけではなく、根本解決にはなりません。それどころか、免疫が排除しようとしている異物を体内にとどめてしまいます。しかも鎮痛剤・解熱剤・消炎剤・睡眠薬などは症状を緩和させる一方、免疫力を低下させてしまう副作用があります。その結果、症状が一時的に緩和してもすぐに再発。免疫力の低下で症状はさらに悪化し、体に薬の耐性もでき、より多くの薬が必要になる悪循環に陥ります。

私たちの体には、どんな治療薬よりもすぐれた免疫システムがあり、免疫力が高まればほとんどの病気は改善に向かいます。そんな免疫力が働いているからこその症状であることを理解して、薬は上手に使うようにしましょう。

 

薬の飲みすぎが症状を悪化させることも!

発熱・痛み・かゆみなど

鎮痛剤・解熱剤・かゆみ止めなどの薬を飲む

一時的に症状は治まるが、薬が交感神経を刺激

交感神経優位で血行障害などに。しかも、症状の根本原因は解決せず。

症状が悪化

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

Q10 免疫が低下する一番の理由は何ですか?
A10

食事の偏り運動不足など、生活習慣の乱れによっても免疫力は低下してしまいます。また、口呼吸をしている人は注意が必要です。口呼吸は浅い呼吸になり、浅い呼吸は交感神経を優位にします。副交感神経を優位にするためには、深くゆっくりと呼吸する鼻呼吸を習慣にしてください。

そして何よりもストレスが免疫低下の最大原因です。ストレスは交感神経を刺激し、しかもなかなか解消できないので、自律神経の偏りが持続しがち。自律神経のバランスのくずれとともに、免疫力も低下して思わぬ体のトラブルに見舞われてしまいます。実際、大きな病気を患った人の多くがさまざまなストレスをかかえています。

他にも、薬でも免疫力は低下します。

Q.薬が免疫を低下させるというのは本当ですか?

 

※参考書籍
 「安保徹の食べる免疫力」  安保 徹 監修 世界文化社

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