態癖
Q1 | 歯は弱い力でも動くって本当? |
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A1 | 指しゃぶりや舌の癖が歯並びを悪くすることは、よく知られています。歯は、根っこが骨の中にしっかり埋まっているのですが、持続的な力を加えると動きます。矯正治療では、その原理を応用して歯を動かしているのです。ただ、矯正治療の専門家の中では、姿勢(頬杖など)や睡眠態癖では歯は動かないと考えられてきました。もっと長時間、持続的に力が加わらないと歯は動かないと考えられていたのです。ところが、1日1時間でも繰り返し間歇的な力が加わる場合にも歯が動いてしまうことが分かってきたのです。 |
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Q2 | 癖が顔やからだを歪ませるって本当? |
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A2 |
動物の顔は本来、左右対称です。 歯並び・からだの歪みを自分で直すためには、ご自身の態癖・悪習慣を振返り改善しましょう。 |
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Q3 | 態癖って何? |
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A3 |
私たちは、自分では気づかない様々な習癖を持っています。日常の生活習慣の中のこのささいな習癖が長期に及ぶと、歯を移動し顎口腔系さらには全身に大きな影響を及ぼします。この顎口腔系に悪影響を及ぼす習癖を態癖といいます。 I.口腔周囲の癖・口腔周囲筋のアンバランスな緊張 唇の癖や舌の癖で歯の位置や傾きが変わります。指しゃぶりは誰の目にも上の歯を出っ歯にしてしまうだろう、と想像がつきますね。ところが、口のまわりの筋肉が思わぬ悪さをしています。無意識に絶えずエクボをつくってしまう癖だけでも歯列に影響を与えるのです。しかし、指しゃぶりの癖が、十分に甘えることのできない子どもにとって、甘えの代償となる大切な行為であるように、態癖はその人が安らかに眠り、不安を隠すために、とても大切な行為である場合があります。子どもの態癖改善にあたっては、癖だけに注目せず、本人が癖を自覚して、自分で改善するようにすることが大切です。 下あごはぶらさがっている両腕の力を込めた後、力を抜いてダランと腕をぶら下げてみてください。力が抜けてからだが楽でしょう。「下あご」も、両腕と同様に普通は力を抜いてぶら下がっているものです。上と下の歯と歯が接触するのは、ものを食べるときとつばを飲み込むとき、それに発語の一部だけです。リラックスしているときは、歯と歯の間に隙間があるのが正常な姿です。歯の隙間に頬粘膜や舌を挟んでは、いけません。歯と歯をいつも接触させていると、たとえかみしめている自覚がなくても、歯を痛め、あごを疲れさせ、肩こりや頭痛の原因になります。歯並びが崩れることもあります。 固い食べ物を食べてあごを鍛えるのは若い時だけ歯やあごは固いものを食べて鍛えられて、筋肉、骨や歯の根、あごの関節が発達します。従って若い間は固いものを食べて鍛えないといけません。しかし、逆に歯は使えばすり減って噛みにくくなります。形も悪くなって障害をおこします。鍛えるのは若い間で、中年以降は普通の食事でよく、スルメなどの固い食べ物をよく食べている人はかえって歯を痛めてしまうこともありますので、気をつけてください。 II.狭義の態癖・中下顔面に直接外から力が加わるもの 頬杖や体操座り、うつぶせ寝など、頬から下(中顔面、下顔面)に外から力をかけてはいけません。頬杖以外にも、うつむき姿勢の長時間のゲームや読書、あるいは仕事のためにあごに力を加えていることがあるものです。これを長時間行うと、わずかなあごの歪みが姿勢を歪めてきます。 III.広義の態癖・長期間、体を歪ませる力が肩・首の上を歪ませている
下あごに力を加えなくても、長時間にわたってからだを歪ませていると、肩や頸が歪んでしまいます。趣味の編み物、重い荷物、食事の姿勢、スポーツや体操でも姿勢が歪むことがあります。姿勢のゆがみは、あごのゆがみを引き起こすと同時に、肩こりや腰痛につながります。 |
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Q4 | 最近友人から顔がゆがんできているよと、よく言われるのですが・・・ |
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A4 |
顔のゆがみの原因は大きく次のように分けることができます。 1.偏咀嚼癖程度の差はありますが、ほとんどの人に存在します。 2.不良口腔習癖舌癖、口唇癖、顔面癖など 3.不良姿態癖寝ぐせ、頬(顎)づえ、作業姿勢など 4.不正な噛み合わせ不正な歯列や不適切な冠などによる顎偏位
1.と2.は口腔周囲筋の硬化、短縮や習癖のエングラム化(一部分だけで噛み合わせるような早期接触がわずかにでも生じると、それを無理やり避けるように下の顎をずらした位置で噛むように習慣化してしまうこと)が主たる原因なので、マッサージなどの手技療法やストレッチングなどの運動療法により筋肉をリリース(弛緩)させたり、筋エングラムの再構築をしたりすることで改善できます。 3.は主として外からの力によるものです。その原因は生活習慣の中にあるため、問診が非常に大切になってきます。不良な姿勢癖を改善することにより、顔のゆがみだけでなく身体の健康状態もよくなることが多くあります。 4.は噛み合わせに問題があるため、嚙み合わせの治療が必要となりますが、顎位の修復は審美的バランスだけでなく筋バランスのも留意しなければなりません。 ※参考書籍 「小出馨の臨床が楽しくなる咬合治療」 |
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Q5 | 片噛み癖(偏咀嚼癖)は顔にどんな影響を与えるのですか? |
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A5 |
筋肉や関節は過度の使用(オーバーユース)によって組織は硬く縮んで働きが悪くなります。当然口腔周囲の筋肉や顎関節にも同様のことが起こり、その結果、顔貌にも変化を与えます。 偏咀嚼癖による顔貌の変化1.オトガイ点(顎の先端)は咀嚼側へ偏位する2.口唇ラインは咀嚼側に向かって上方傾斜する3.鼻唇溝は咀嚼側が深くなる4.咀嚼側の眼は細くなり、目尻も下がるこのような、咀嚼側全体が締まって縮んだようなお顔立ちとなります。
顔のゆがみが咀嚼筋・表情筋の硬縮の範囲に留まっているケースでは、手技療法や運動療法により、比較的簡単に回復しますが、咬筋の肥大などを伴っている場合には、咀嚼側の変更も考慮する必要があります。 しかしながら、無理に咀嚼側を変更すると、顎が痛い、口が開かないなどといった顎関節症になる危険性もありますので、歯科医院で相談してください。 ※参考書籍 |
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Q6 | うちの子はよく口をポケーと開けています。そのせいかわかりませんが最近歯ならびが悪くなったような気がします。関係ありますか? |
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A6 | 口呼吸をしていると歯ならびに悪影響をもたらし、不正咬合になる可能性があります。 |
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Q7 | 小さいころのクセは歯ならびに影響するとよく聞きますが、どう影響するのでしょう? |
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A7 | 1.口呼吸なにかに夢中になっているとき、口が半開きになっているお子さんをよく見かけます。 2.飲み物による食べ物の流し込みやわらかい食事をよく噛まずに飲み物で流し込んでいると、あごの発育によくありません。 3.指しゃぶりや舌のクセ指しゃぶりは、出っ歯や開咬という前歯が噛みあわない状態の歯並びの原因になり、しかも舌の悪いクセも作ってしまいます。2~3歳になったらやめるようにしましょう。寝るときに手をつないであげるとか、かわいい指人形をつけてあげるなど工夫してみましょう。 4.片噛みむし歯の痛みや、歯の生え変わりのときの違和感の影響で、片方でばかり噛んで食べるクセが残ってしまうお子さんがいます。 5.ほお杖テレビを見たりするときに、ほお杖をつくクセはありませんか? 6.うつぶせ寝いつもうつぶせ寝をしていると、あごの骨のゆがみを起こす原因になります。 |
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Q8 | 食事のときテレビを見ることはよくないと聞きましたが本当ですか? |
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A8 |
噛み合わせにとって、テレビを見ながらの食事はよくありません。とくに横向きの姿勢は、噛み合わせに悪い影響を与えます。 横向きでテレビを見ながら食事をしていると、目と首の動きにつられて、上顎はテレビの方を向いていますが、下顎は完全にその方向を向いておらず、上顎と下顎の位置、すなわち噛み合わせにずれが起こり、上と下の歯は、ずれた状態で接触してしまいます。毎日横向きでこのようなことをしていると、上の歯の裏側と下の歯がずれた状態で歯の磨耗が起こり、その結果顎がずれた状態で噛み合わせが合うようになっていきます。 一度顎がずれた状態で噛み合わせが固定すると、今度は横向きで食べることに違和感がなくなります。横を向くと顎はずれているが歯は噛み合っていて、正面を向くと顎はずれていないが噛み合わせがうまくいかないという状態になってしまいます。 したがって、噛み合わせをよくするには、成長期から正しい姿勢で食事をすることがとても大切なのです。 これと同じように、悪い姿勢が原因で、腰の具合が悪い、首が痛い、肩が凝るなどの症状が現れている場合、根本的な原因を治さずに顎だけに注目して正しく使おうとしても、よい噛み合わせをつくることはできません。生活習慣の乱れや悪い姿勢は噛み合わせをどんどん悪い方向にもっていってしまい、一度悪くなるとなかなか元には戻りません。噛み合わせは、日頃の生活習慣や姿勢の良し悪しなどによって、日々つくられているということをよく認識し、日頃からよい生活習慣とよい姿勢を身につけるようにしましょう。 ※参考書籍 |
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Q9 | “かみぐせ”は治したほうがよいのですか? |
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A9 | 噛み方にもクセがあります。左右の歯でバランスよく噛むのではなく、主として片側だけで噛むようなクセです。この“かみぐせ”は、治すべきかそのまま放っておいてよいのでしょうか?結論から先にいうと、治すにこしたことはないのですが、大人で“かみぐせ”はあるけれど噛むときの姿勢はきちんとしているという場合は、そのまま放っておいても大丈夫です。このような人の場合、長年に渡ってつくられてきたその人なりのバランスを無理に治そうとすると、かえって身体に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあるためです。 骨や筋肉の発育における左右差には、成長する過程で姿勢の良し悪しが深く関係しています。ですので、片側で噛んでいることもまた、いままでの日常生活における姿勢のあり様の結果と考えることができるのです。そのため、根本的な原因である日常生活を正すことをしないで噛み方だけを変えようとすると、かえって無理をすることになり、顎関節症のような症状が現れてくるのです。 子供の頃から左右の偏りのない正しい姿勢で生活することは、左右の顎をバランスよく使うために必要なことです。しかし、すでに骨格の固まった大人が、生活様式はそのままで、噛み方だけ変えることは問題がすり替えられているだけのように思われます。 普段の姿勢に問題がある人の場合は、噛み癖を治すより先に姿勢を正すことの方が根本的かつ全体的な治療になります。そして姿勢がよくなってくると、噛み癖も良い方向に変わってくるのです。 ※参考書籍 |
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Q10 | いすに座って足を組むとどんな悪影響があるのですか? |
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A10 |
足を組んでいすに座ることは歯の噛み合わせを悪くする原因になります。実際に、足を組んだ姿勢で歯を噛み合わせると、足を組んでいないときに比べて顎の位置がずれてしまうことが明らかになっています。コンピューターで解析すると、足を組んでいないときと比較すると、足を組んでいるときは歯の接触面積は半分以下、噛む力も半分以下になるという結果がはっきりと出ています。 このように、いすに座って足を組んだ状態で食事をしたり、ガムを噛んだりしていると、顎関節にずれが生じ、噛み合わせがおかしくなってきます。また、顎関節のずれは、肩こりや首の痛みの原因にもなりますので、いすに座るときは、足を組むことをやめ、身体への負担が少なく、見た目にも美しい姿勢で座るようにしましょう。 ■こんな座り方していませんか?脚を組んで膝を内転させていますが、ポーズを作るために肩と腰椎、さらに足首も外旋させるモデル座りは大きな負担がかかります。真似をするのはやめましょう。肘掛けにもたれたり、足を投げ出したりするのもよくありません。 ■美しくいすに座るためのポイント・自然な形で背もたれに腰を当てる。 ・深く腰掛ける。 ・首すじをぴんと伸ばす。 ・胸を張り、顎を引く。 ・足をそろえてまっすぐ下へ。かかとを床につける。 ※参考書籍 「Tarzan 2016年2月11日号」 |
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