アレルギー
Q11 | 「金(Au)」はアレルギーにならないと聞きましたが、本当ですか? |
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A11 |
金(Au)は、金属アレルギーになりにくい金属元素ではありますが、必ずしもアレルギーにならないわけではありません。金は展延性に優れ、古くから歯科用金属として用いられる金属です。金に対するアレルギーの患者数は年々増加傾向にあるので、注意が必要です。
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Q12 | コバルト(Co)、スズ(Sn)にパッチテスト陽性がありますが、金銀パラジウム合金にこれらのアレルゲンは含まれていますか?含まれていないでしょうか? |
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A12 | 治療で使用した金属のメーカー名、材料名が明らかで、適切な金属の管理のもとで製作された修復物の場合、メーカー指示の成分表どおりの含有元素と考えられますが、実際にはどのように製作されたものかを確認することは難しいです。材料名が不明な場合や、同種の合金であっても他の銘柄の金属を混ぜて鋳造したり、他の合金と共用のルツボを使用して鋳造するなどにより、不純物が混入することが考えられます。可能であれば、口腔内の装着物から直接削片を採取して金属成分を分析する検査法により、より正確に含有元素やアレルゲンの有無を確認しましょう。
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Q13 | X線写真で、口腔内に築造体の存在が疑われます。金属の築造体のアレルゲンの有無は、どのようにして調べればよいですか? |
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A13 | クラウン(被せ物)の中に築造体がある場合、口腔内に露出していないので、直接金属成分を分析することはできません。 外側のクラウンを金属成分分析してアレルゲンが存在するならば、そのクラウンを除去することになり、その時に内部の築造体が露出するので、金属成分分析は可能になります。 クラウンにアレルゲンが含まれず、二次カリエスや根管治療の状態も問題ない場合、安易に除去することはできません。その場合、X線像で形態から推測するのが一法です。 ネジ状や直線的な像の場合、スクリューピンや既成ポストの可能性があり、ステンレス製や真鍮製の可能性が考えられます。ステンレスではニッケル(Ni)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等が含まれている可能性があり、真鍮の場合は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)が含まれます。 曲線的なX線像の場合、鋳造ポストが考えられます。前歯部で比較的長さがある場合は、金銀パラジウム合金の可能性が高く、臼歯部では金銀パラジウム合金や銀合金、古いものではアマルガムの可能性もあります。 上部構造体を外して築造体の金属成分分析検査をするか否かは、患者さんの陽性元素と、推察される築造体の含有元素を患者さんに説明した上で、患者さん本人の意向を尊重することが必要と考えられます。
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Q14 | 歯の土台にアレルゲンが含有している場合、外す必要はあるのですか? |
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A14 |
ある研究によれば、「銀イオンに関しては、金属支台から象牙質に700μm程度滲入している状況が検出された。銅イオンやパラジウムイオンに関しては、象牙質表層のごくわずかの領域を除いてほとんど検出されず、根管ポストから300μm離れた象牙質中では溶出した金属イオンの量がかなり少なく、特に銅イオンやパラジウムイオンに関しては、現在の技術では検出することはできなかった」とあります。 メタルコアにアレルゲンが含有されていれば原則として除去が望ましいと思われますが、除去することによって、その歯の保存が困難となる可能性がある場合は、患者さんと相談し、経過をみる場合もあります。
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Q15 | 検査で金属アレルギーと判定されました。金属アレルギーの改善法はありますか? |
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A15 |
口の中でアレルギーを引き起こしている金属を取り除くことと、原因の金属に接触しないようにしていれば、徐々にアレルギー症状は改善していきますが、アレルギーが完全に治ることはありません。
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Q16 | 除去治療では、一度にすべての金属を外すのがよいのですか? |
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A16 |
アレルギー的観点からは、一度に多くの金属修復物を除去することで、フレアアップ(一過性のアレルギー症状の悪化・再燃)が長引くリスクを下げることができます。 しかし歯科的問題として、咬合関係の変化が口腔周囲筋や顎関節に与える影響も無視はできません。片顎ごと、または左右臼歯部などに限定して除去を進めて仮封材に置換し、一定期間、経過観察を行い、アレルギー症状および咬合関係が改善されることを確認したほうが望ましいと言えます。
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Q17 | 金属を除去した後、急に湿疹が出ました。なぜですか? |
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A17 | 金属除去治療時の注意点として、口腔内のアレルゲンが特定され除去が必要となった場合、アレルゲン切削片を可能な限り患者さんと接触させないことがあげられます。 しかし、気を付けていても、切削して飛散することで口腔粘膜、皮膚と接触して取り込まれると、フレア・アップといって一時的に皮膚性症状が悪化してしまうことがあります。これが湿疹となります。 ※参考書籍 |
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Q18 | 保険治療で入れた金属はどんなもの? |
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A18 | 保険の範囲で治療が行われた場合は、一般的に金銀パラジウム合金である可能性が非常に高く、製品に含まれている元素一覧表を見れば成分は確認できます(下記「表:推定される金属」参照)。 表:推定される金属
銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)はほとんどの製品が含有しています。そのため上記の元素に金属アレルギーの陽性反応があれば、保険内で行われた補綴装置が除去の対象となります。 ニッケル-コバルト(Ni-Co)合金に関しては、主に義歯などに使われます。ニッケル-コバルトに関しては硬さなども似ており、判断が難しく、この場合は成分分析が必要となることもあります。 理想的に言えば、陽性反応の出ているアレルゲンのすべての除去が望まれます。 特に患者の皮膚症状が出始めた時期と被る時期の補綴装置、二次う蝕、上下の対咬関係で異種金属が入っている部位(電位差の関係でガルバニー電流が発生しイオン化する)を除去の優先箇所とします。 ※参考書籍 |
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Q19 | 金属アレルギーの治療は絶対に保険が利かないのですか? |
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A19 |
必ずしも健康保険が利かないわけではありません。 患者さん一人ひとりの体質が異なります。陽性となる金属元素も異なるため、体質を調べる検査であるパッチテストや血液検査を用いて、どの歯科用金属元素に対してアレルギーがあるのかを正確に把握することが重要です。陽性となった金属元素は使用を避けることが望ましいですが、健康保険の利く金属には含まれない金属元素が陽性になっている場合もありますので、検査結果と治療用材料について、治療前に担当歯科医師とよく相談する必要があります。
※参考書籍 |
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