Question
コンポジットレジン修復の寿命は?
Answer
修復物の寿命とは、口腔内で機能できず再治療が必要となるまでを意味します。コンポジットレジン(CR)修復の場合、再治療の原因となるのは修復物の脱落、体部破折、二次う蝕、術後疼痛などがあげられますが、大学などの研究機関で行われたコンポジットレジン修復を対象とした国内外における最近の長期臨床成績ではほとんど報告されていません。
一般臨床家を対象に修復物の生存期間を調べた報告では、CR修復の平均耐用年数は5.2年(1995年)および9.6年(2008年)、10年生存率は推定で約60%と報告されています1)2)。この2つの報告では調査の対象が異なっていますが、13年後に生存期間が倍近くになったのは材料の性能が向上したことに加えて、臨床家の接着修復に対する理解が深まり、より正しい方法(特に接着処理)が行われるようになったことによるものと思われます。
国内文献
・北野忠則,清水建彦,上田新一,成川公一,星野茂,井上正義.臼歯用可視光線重合型コンポジットレジンLite-fil Pの長期臨床経過観察.日歯保存誌.2000;43(2):564-571.
・Akimoto N,Takamizu M,Momoi Y.10-year clinical evolution of a self-etching adhesive system.Operative Dentistry.2007;32(1):3-10.
海外文献
・Peumans M,De Munck J,Van Landuyt KL,Poitevin A,Lambrechts P,Van Meerbeek B.A 13-year clinical evaluation of two three-step etch-and-rinse adhesives in non-carious class-V lesions.Clin Oral investing.2012;16(19:129-137.
・Gordan VV,Blaser PK,Watson RE,Mjör IA,McEdward DL,Sensi LG,RileyJL 3rd.A clinical evaluation of a giomer restorative system containing surface prereacted glass ionomer filler:results from a 13-year recall examination.J Am Dent Assoc.2014;145(10):1036-1043.
1)森田 学, 石村 均, 石川 昭ほか. 歯科修復物の使用年数に関する疫学調査. 口腔衛生会誌, 1995 ; 45 : 788-793.
2)青山貴則, 相田 潤, 竹原順次, 森田 学. 臼歯部修復物の生存期間に関する要因. 口腔衛生会誌, 2008 : 58 : 16-24.
※参考書籍
「歯科展望 別冊 わかる!できる!コンポジットレジン修復」
宮崎 真至 編著 医歯薬出版株式会社