Question
奥歯が2本ありません。今まで入れ歯を入れていましたが、バネをかけていた歯が動いてきたような気がします。インプラントにするべきか考えています。教えて下さい。
Answer
遊離端欠損の症例について
インプラントと義歯を観察して比較した報告
インプラントの対合歯で抜歯に至った歯 | 2.65%(10/378歯) |
インプラントの隣在歯で抜歯に至った歯 | 3.76%(5/133歯) |
義歯の隣接歯で抜歯に至った歯 | 26.0%(38/133歯) |
義歯の鉤歯となりやすい隣接歯の喪失率は明らかに高い。
・森野茂, 他.インプラントが残存歯に与える影響 第2報 遊離端欠損部隣接歯, 対合歯に関する臨床的検討.In : 日本口腔インプラント学会 第23回九州支部学術大会 抄録集, 2006 : 51.
義歯とインプラントでは経過中にいわゆるツケの回りどころが異なります。そのため、一概にインプラント補綴がすべてよいとはいえませんが、対合歯に配慮していくことができれば長期安定を望める可能性は高くなります。
多数歯欠損症例と捉えられている遊離端欠損においては、抑制効果はあるものの、崩壊原因を把握してリスクを考慮し慎重に適用を考えるべきです。さらに、咬合崩壊の進行にともなって残存歯の状態も安定度が低くなりやすく、かつ、インプラント適用に対しては骨量不足に陥りやすくなり、総合的にリスクが高まるために、患者さんと治療ゴールをよく相談して補綴法を選択しなければなりません。
※参考書籍
『見る目が変わる!「欠損歯列」の読み方、「欠損補綴」の設計』
編著 本多正明 宮地建夫 伊藤雄策 武田孝之
クインテッセンス出版株式会社