Question
現在、歯周病ではないのですが、どのようなことが影響して歯周病になるのですか?
Answer
ヒトは胎児のときには無菌状態ですが、出産時に母体の産道で細菌に遭遇し、その後は有菌的な状態で一生を過ごします。特に、皮膚や粘膜など外界と接する部位には多種多様な細菌が定着していますが、このような細菌群のことを常在細菌叢といいます。口腔内には700種類以上の菌種が存在していますが、そのほかに、真菌、アメーバ、トリコモナスやウイルスが検出されます。
口腔内では、粘膜面だけでなく、舌、歯の表面、歯肉溝、唾液など、それぞれの部位で特有の常在細菌叢が形成されています。さらに、口腔清掃を怠ると、歯の表面には細菌が増殖し、プラークと呼ばれる細菌の密集した集団が形成されます。このようなプラーク中の細菌は、浮遊菌と異なる生態系を作り、さまざまな栄養成分を取り込んで増殖し、口腔領域における2大感染症であるう蝕と歯周病を引き起こします。
プラークの蓄積を助長するリスクファクター(危険因子)というものがあります。
リスクファクターとは、「リスクファクターに曝露することで、疾患が起きる可能性が増加する。また、リスクファクターは原因の一つであるかもしれないが、それがあったとしても疾患が必ず発症するわけではない。」と述べられています。どのようなリスクファクターがあるかを確認しておきましょう。
リスクファクターの分類
変えることのできる要因
(modifiable risk factor)
細菌因子
全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、好中球機能不全、HIV感染、肥満)
環境因子(喫煙、ストレス、飲酒、栄養)
容易に変えることはできない要因
(Non-modifiable risk factor(determinant))
全宿主因子(加齢、性、遺伝的要因)
変えることのできる要因は治療法を選択する時に有用な情報になり、容易に変えることはできない要因は将来の進行予測のために参考とすることができます。
※参考書籍
「ビジュアル 歯周病を科学する」
監修 天野敦雄 岡賢二 村上伸也 クインテッセンス出版株式会社
「ザ・ペリオドントロジー」
編集主幹 和泉雄一 木下淳博 沼部幸博 山本松男 永松書店