Question
顎関節症の原因と発症のメカニズムについて教えて下さい。
Answer
現在では研究が進んで、顎関節症の病因は多因子であることがわかっています。例えば、「噛み合わせ」は何十もの病因のほんの一部。クセや生活習慣の改善からまずは試していきましょう。
顎関節症の原因は、大きく分けると次の3つに分けることができます。
1.精神的なストレス、ブラキシズムやその他の口腔習癖による筋の異常活動
精神的ストレス・・・緊張、不安、抑うつなど
2.歯冠修復や補綴などの歯科治療による噛み合わせの変化
噛み合わせの異常、多数歯欠損
3.不良姿勢や偏った動作による下顎の変位
・習癖
TCH(上下歯列接触癖)、不良姿勢、噛みしめ、緊張時の食いしばり、頬杖、携帯電話・スマートフォンの操作、受話器の肩ばさみ、下あごを突出させる癖、筆・器具噛み、爪噛み、うつぶせ読書、テレビゲーム・携帯ゲーム
・食事
硬い食べ物が好き、ガム噛み、片噛み
・就寝時
ブラキシズム(クレンチング、グラインディング)、睡眠不足、高い枕・固い枕、うつぶせ寝、手枕・腕枕、就寝時の姿勢
・スポーツ
コンタクトスポーツ(マウスガードの装着義務がない種目で起きやすい)、柔道、剣道、球技、スキューバダイビング、ウィンタースポーツなど
・音楽
楽器演奏(クラリネット、サクソフォン(サックス)、オーボエ、トランペットなどの吹奏楽)、カラオケ(急な大開口・維持など)、発声練習
・社会生活
緊張する仕事、多忙な生活、精密作業、PC作業、重量物運搬、歯科治療時(急な大開口・維持など)、対人関係の緊張
他にも、解剖要因(顎関節や靭帯、筋肉が弱い)、外傷要因(噛み違い、打撲、転倒、交通外傷)などによっても発症することがあります。
これらの要因により非生理的な下顎運動が引き起こされ、それが生体の適応の限界を超えた時、顎関節症を引き起こすと考えられています。さまざまな病因が積み上がって患者さんの耐性を超えないように「総量」を減らしましょう!
※参考書籍
「nico 2015.2 クインテッセンス出版株式会社」
「口腔筋機能改善 コンディショニング技法の基礎知識」
姫野 かつよ 著 砂書房
「顎関節症 Q&A 自分でできる予防と治療のアドバイス」
中沢 勝宏 医学情報社