Question
おとなの矯正では、子どもと違って歯を抜くことが多いと聞きました。抜歯をしたくないけど抜かなければダメ?
Answer
必ずしも抜かない治療が良い治療ではありません。
患者さんの歯の混雑具合によって、ケース・バイ・ケースでしょう。
なるべく抜歯をせずに、機能的にも審美的にもクオリティの高い治療を実現しご満足いただきたいという気持ちは、私たち歯科医師も同じです。
ただ、叢生で歯がひどく混雑しているかたの歯を抜かずに並べようとすると、場所が足りないため、歯列を外側に広げて並べざるを得ません。すると、きれいに並んだとしても、前歯が外側に突き出て、仕上がりが出っ歯になってしまうことがあります。
このように、歯をきれいに並べるためのスペースが足りないときには抜歯が必要になります。
抜歯を避けて、狭いところに無理に並べると前歯がせり出してしまうからです。
子どもの場合、あごの骨の成長を促し歯を並べるスペースを作ることが可能です。
でも、あごの骨が完成しているおとなでは残念ながらそれが難しいのです。
そこで歯を並べるスペースを作るために抜歯が必要になる割合が高くなります。
抜かずに無理して歯を並べてもきれいな口もとは創れません。
アジア人の場合、お口に奥行きがないため、とくに叢生の治療をご希望のかたは抜歯をしてスペースを作ったほうが無理なく歯が並び、口もとが引っ込んでその分オトガイ(あごの先端)がシャープになり、フェイスラインが美しくなる傾向があります。
また、術後の安定性なども考えると、必ずしも「抜かない矯正が良い矯正」とも言えないこともあります。
抜歯をしない治療を極力心がけますが、患者さんによってはとくに治療のクオリティに影響することがあるので、歯科医師とよく相談なさってください。
※参考書籍
「nico 2013.5 クインテッセンス出版株式会社」
「nico 2010.2 クインテッセンス出版株式会社」
「nico 2008.2 クインテッセンス出版株式会社」
「患者さんと家族のための歯科矯正治療 Q&A」
一般社団法人 日本歯科矯正専門医学会(JSO)