Question
ステロイド薬を使っていますが、歯科治療はできますか?
Answer
ステロイド薬は、腎臓の近くにある副腎から出る副腎皮質ホルモンと同じ働きをする薬です。免疫反応を抑制し、炎症やアレルギーのかゆみを穏やかにしたり、喘息やリウマチなどのつらい症状を楽にする薬として使用されています。
長くお使いの方が多く、免疫機能が低下する副作用によりむし歯や歯周病が悪化しやすく、抜歯などの外科治療を受けると細菌感染を起こしやすくなります。
また、長期間服用していると、ストレスを和らげる働きのある副腎皮質ホルモンが副腎から出にくくなります。そのため歯科治療で緊張しストレスが加わったときに、ホルモンが不足し、ショック症状を起こすことがあります。
ステロイド薬を処方している主治医と連携をとりながら、事前に抗菌薬を処方し、ステロイドの補充療法を行うなどの配慮をして治療を進めますので、必ずお知らせください。また、糖尿病、骨粗しょう症などの合併症についてもお教えください。
代表的なステロイドの飲み薬には、プレドニゾロン、プレドニンなどがあります。
●ステロイドを飲んでいる方の歯科治療について
1.治療前から抗菌薬を処方します
むし歯や歯周病、抜歯などの治療の際、重篤な炎症を起こさないように、治療の準備のため事前に抗菌薬を処方し、お飲みいただくことがあります。忘れずに飲んでお越しください。
2.糖尿病などの合併症のある方は?
ステロイド薬の副作用で、糖尿病の合併症がある患者さんは、血糖値の検査データをお教えください。検査データの値が高い場合、まずは合併症の治療を優先していただくことがあります。日ごろから、血糖値のコントロールをお願いいたします。
骨粗しょう症の合併症がありBP剤をお飲みのかたは、歯科医師と主治医が相談し、3ヶ月ほど休薬をお願いすることがあります。
3.ショック症状の予防にステロイド薬の補充療法が必要なことも。
長期間ステロイドを使用していると、ストレスを和らげる働きのある副腎皮質ホルモンが副腎から出にくくなっています。歯科治療でドキドキしストレスが加わると、ホルモン不足になり、ショック症状を起こすおそれがあります。
そこで治療の準備のため、事前にステロイド薬を少し増やす補充療法が必要になることがあります。ステロイドを処方している主治医と連携して安全に治療を進めますので、主治医を受診して補充療法の処方を受けるなどのご協力をお願いします。
4.自己判断での中止はやめましょう!
ステロイド薬は、喘息やリウマチなどのつらい症状を抑える重要な薬です。歯科治療を受けるからと自己判断で中断すると、急に体内のステロイドが不足し危険な上、症状もかえって悪化してしまいます。
なお、口内炎の治療などの際に歯科が処方するステロイド軟膏は、短期間の使用が目的で副作用の心配はいりません。使用期間や使用量を守って処方どおりに使いましょう。
※参考書籍 「nico 2015.3 臨時増刊号 クインテッセンス出版株式会社」