Question
糖尿病の治療をしていますが、歯の治療前に注意することはありますか?
Answer
安心・安全な歯科医療をご提供し患者さんの全身状態をよりよく保つためには患者さんからの情報提供が欠かせません。以下の6つのポイントを確認しましょう。
1.血糖値について教えて下さい。
糖尿病の治療を受けておらず、空腹時血糖値が120mg/dlを超えていて糖化ヘモグロビン(HbA1c)の値も高いかた、また、治療を受けてはいても130mg/dlほどある患者さんの場合、感染による重症化を避けるため、血糖値のコントロールができるまで歯科治療を延期させていただくことがあります。ふだんから糖尿病の治療を受けてコントロールしておくことがとても大事です。
コントロールができていて、重篤な合併症がなければ、通常は歯科医院での治療が可能ですのでご安心ください。
2.現在どんな糖尿病治療を受けていますか?
現在受けておられる糖尿病の治療は、食事療法のみでしょうか、飲み薬を飲んでおられるのでしょうか、あるいはインスリン治療を受けておられるのでしょうか?
ご来院の際には、問診表に現在の治療内容、服用している薬の量や服用回数などを、ご面倒でもできるだけ詳しくご記入ください。
なお、お薬手帳、あるいは実物のお薬をお持ちいただけるとありがたいです。
3.糖尿病による合併症はありますか?
糖尿病になるとさまざまな合併症を引き起こしやすくなります。たとえば、しびれや筋力低下、痛みに鈍感になる「神経障害」。網膜にある毛細血管が詰まって起きる「網膜症」。腎臓の毛細血管が硬化して血液のろ過機能が低下する「腎症」。心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの原因になる「血管硬化」など。こうした合併症の治療や処方されている薬には、歯科治療の安全性を左右するものが少なくありません。
お薬手帳をお持ちいただき、できるだけ詳しく問診表にご記入をお願いいたします。
4.通院している病院を教えて下さい。
糖尿病や、糖尿病の合併症をお持ちの患者さんには、歯科治療をする際にも特別な配慮が必要な場合があります。
そうした際には、内科の先生と連携をとりながら治療を進める必要も出てきます。現在通院している病院名や、主治医の先生のお名前をお教えください。
5.糖尿病患者さんには外科後の感染予防のため事前に抗生剤をお飲みいただきます。
糖尿病の患者さんは細菌感染を起こしやすく、外科処置を行う際などは感染を予防するために抗生剤の事前投与が必要なことがあります。
当日は、抗生剤の血中濃度が高くなるよう、治療の2~3時間前に飲んでおきましょう。
前日の晩、当日の朝、当日の昼など、数回飲んでおけばさらに安心です。歯科医師の指示通り、必ず忘れずに飲みましょう。
6.大きな病院をご紹介することも。
問診や診療の結果、血糖値がコントロールされていなかったり、重篤な合併症がある患者さんの場合、また症例に応じて、さらなる安全を期して、入院施設が整っていたり全身管理のできる総合病院や大学病院の歯科・口腔外科をご紹介させていただくこともあります。
ご理解をお願いいたします。
※参考書籍 「nico 2011.5 クインテッセンス出版株式会社」