Question
顎関節症なのですが、やってはいけないことってありますか?
Answer
いろいろな知見がありますが、そのなかから特に筋肉に関係の深いものをご紹介します。
1. すぐに噛み合わせの調整をしてはいけない
筋肉が緊張して下の顎が傾いたり偏ったりした状態で噛み合わせを調整すると、筋肉が緩み下の顎が元の状態に戻った時点で、噛み合わせに違和感が生じます。ここでまた噛み合わせの調整をするとイタチごっことなり、泥沼にはまってしまいます。噛み合わせの治療は筋肉や顎関節のコンディションを改善してから必要に応じて行うことが大切です。
2. 安易にガムを噛んではいけない
抵抗性をあげようとの発想からでしょうか。顎関節症の患者さんにガムを噛ませる指導がたまにみられます。しかし、これは逆効果です。顎関節症の患者さんの大半に、筋肉の過緊張や過用がみられます。ガムの利用は、治癒経過を見ながら慎重にすべきです。
3. 簡単に噛む側を変更してはいけない
急な噛む側の変更は、クラウンやインレーの脱落や歯牙破折、さらには顎関節症状の悪化などのトラブルを引き起こすことがあります。そもそも噛まない側は噛むのに適していない噛み合わせの状態にあることが多く、噛む側の変更はよく診査したうえで時間をかけてゆっくり行う必要があります。
4. 長時間の歯科開口治療はしてはいけない
顎関節症状のある間は、大きな開口が必要な最後臼歯部の治療や長時間の開口が必要な治療は避けられた方が賢明です。もし、どうしてもおこなわなければならない場合には、頻繁にうがいをして顎を休ませたり、術後のアイシングなどを取り入れたりした方がよいでしょう。
※参考書籍
「筋の生理から運動指導・手技療法まで 歯科臨床が変わる筋機能学こと始め」
竹内 正敏 砂書房