Question
生活の中でどんなことに注意すればよいですか?
Answer
酸蝕歯になりやすいかどうかは食習慣、そして生活習慣によります。よくあるリスク習慣をあげてみましょう。
1.毎日のジョギング後の水分補給にビタミンドリンクや黒酢ドリンクを愛飲している。
健康意識の高いかたで、スポーツの後の水分補給に黒酢ドリンクやビタミンドリンクなどを愛飲なさっているかたがいます。からだにはよくても、じつは歯が溶けやすいため注意が必要です。走った後は、口のなかがカラカラ。しかも汗をかいて体内の水分が減ると、唾液の分泌量はぐっと減っています。こうして唾液の力が弱まっているときに習慣的に酸性の飲み物を飲むと、酸蝕歯になりやすくなります。
2.部活中、熱中症の予防のため頻回に、少量ずつスポーツ飲料を飲んでいる。
ことに暑い季節のスポーツでは、熱中症や脱水症状などにならないよう、水分をこまめに摂ることがとても重要です。でも、この飲み物がもしも酸性の強いスポーツ飲料なら、歯の健康が心配です。こまめに飲むと、歯と酸との接触時間が増え、しかも部活となると、毎日、数時間にわたり飲むことになります。ことに中高生の場合、奥歯の永久歯はまだ生えたてで軟らかく、成人の歯に比べてとくに溶けやすいのです。
3.朝食は必ず健康のためにグレープフルーツを食べその直後に歯みがきしている。
毎日の食事や生活スタイルを習慣化して、同じサイクルを繰り返すことで体調管理に役立てて、健康に気を配るかたは多いことでしょう。しかし、酸蝕症のリスクがそのサイクルの中に組み込まれていると、良かれと思ってしていることが、酸蝕歯の原因になってしまうことがあります。柑橘系のくだものはとくに酸性度が高く、エナメル質を軟化させます。そこへゴシゴシと歯みがきをすると、エナメル質が過剰に削られてしまうのです。
4.仕事で運転中は、やっぱり大好きなコーラ。信号で止まるごとに飲む。
市販の清涼飲料水のなかでも、とくに酸性の強い飲料にコーラがあります。以前はビンに入っていて一気に飲むイメージでしたが、最近はペットボトル入りになって、少しずつ飲むのに便利になりました。でも、「少しずつ」飲むと、酸と歯が接触する時間が結果的に長くなり、酸蝕歯のリスクが高まってしまいます。ことに、仕事で日常的に運転をしているかたは、停車するごとに少しずつ飲むことが多いでしょう。注意が必要です。
5.赤ちゃんがぐずるとき哺乳瓶でジュースを飲ませると満足してよく寝てくれる。
赤ちゃんの生えたての乳歯は軟らかく酸性の飲み物に対してとくにデリケートです。甘い飲み物が好きな赤ちゃんに、ほしがるたびに哺乳瓶やマグでくだもののジュースを飲ませていると酸蝕症のリスクがたいへん高くなります。ことに眠れずにぐずるときに飲ませ、赤ちゃんがそのまま寝てしまうことになると、寝ているあいだは唾液量が減るので、口のなかに酸が長く留まってしまうのです。
6.お酒はチューハイかワイン。ちびちび飲むのが好きでつまみはいらない
柑橘系の果汁の入ったチューハイやワインは、口当たりがよく飲みやすいお酒です。でもこれを毎日晩酌にチビチビと飲み続けると、酸蝕歯のリスクが高まります。お酒は少しずつ飲むほうが、からだへの負担が少ないですが、酸に触れる時間が長くなるため、歯への負担は増えます。つまみを食べれば、まだしもその刺激で唾液の分泌が促進される可能性もありますが、つまみなしでは、唾液の力にすがるほんのわずかな望みも絶たれます。
※参考書籍 「nico 2009.1クインテッセンス出版株式会社」