Question
再根管治療が難しい理由って何ですか?
Answer
再治療については治療成績が悪くなることが、多くの研究で示されています。
非外科的再治療の成績(Sundqvistらによる)
著者(年) | 観察期間(年) | 成功率(%) |
---|---|---|
Strindberg(1965) | 4 7 |
66 *1 84 *1 |
Grahnen, Hansson(1961) | 5 | 65 *1 |
Engstromら(1964) | 4 | 74 *1 |
Molven(1976) | 3.5 | 64 *2 |
Molven, Halse(1988) | 10~17 | 71 *2 |
Bergenholtzら(1979) | 2 | 48 *2 |
Allenら(1989) | 0.5~1 | 73 *3 |
Sjögrenら(1990) | 8~10 | 62 *2 |
Van Nieuwenhuysenら(1994) | 0.5~2 | 72 |
Sundqvistら(1998) | 5 | 74 *2 |
*1:断髄症例を含む
*2:根尖病巣があり根管充填された歯のみ
*3:外科処置された歯を除く
鈴木賢策監訳:グロスマンエンドドンティックス.第10版, 医歯薬出版, 東京, 1983, 288.
Allen RK, Newton CW, Brown CE: A statistical analysis of surgical and nonsurgical endodontic retreatment cases. J Endod, 15: 261-266, 1989.
Sundqvist G, Figodr D, Persson S, Sjögren U: Microbiologic analysis of teeth with failed endodontic treatment and the outcome of conservative re-treatment. Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 85: 86-93, 1998.
再治療の成績が不良である原因
1.根管の解剖学的複雑性
2.取り残された細菌および根尖孔外に細菌が生存し、フィルム状の細菌塊(バイオフィルム)を形成している場合
3.歯科医師の不注意で起こる根管や根尖部の破壊、および根管内に残された根っこの処置に使う針先(破折ファイル)や根管充填材ポストなど除去困難な残留物の存在
4.歯科医師の技術的問題および歯科医師の診断と患者さんの歯牙保存に対する価値観の不一致
5.以前の髄腔開拡・根管形成が不適切である可能性が高く、それらの修正が技術的に非常に困難である
6.以前の治療で、ファイル破折、偶発的穿孔などの事故が生じている可能性がある
7.術後長時間にわたって継続した細菌の侵入が考えられ、根管内、象牙細管内、セメント質内、根尖病巣内などに侵入した細菌の除去あるいは殺菌が困難である
8.取りきれないガッタパーチャの裏側に細菌が残る
※参考書籍
「成功に導くエンドの再治療」
牛窪 敏博 著 医歯薬出版株式会社
「新 楽しくわかる クリニカルエンドドントロジー」
小林 千尋 著 医歯薬出版株式会社