Question
ブラッシングは食後30分後が歯に優しい、ブラッシング後は口をすすがなくてもいいと聞きました。本当ですか?
Answer
「食後すぐ」が正しいブラッシングです。
むし歯予防のブラッシングの目的は、酸を産生する細菌のエサとなる発酵性糖質を取り除くとともに、プラークを取り除いて、酸を出させないようにすることです1)。
以前は食後すぐにブラッシングをするとエナメル質を傷つけるという話もありましたが、「酸性飲食物摂取直後に歯を磨いた場合」と「10~240分の間隔をあけて歯を磨いた場合」の間に摩耗の程度に有意な差はみられなかったという論文があります2)。つまり、酸性飲食物を摂った後であっても、ブラッシングを待つことによる歯質摩耗予防のメリットはないのです。
また、フッ化物入りの歯磨剤を使った後はすすがないほうがいいでしょう。
歯磨剤に含まれたフッ化物の効果を最大限に発揮させるため、歯面のフッ化物が流れ落ちないように、スウェーデンのイエテボリ大学ではブラッシング後のすすぎは行わないことを推奨しています。ブラッシング後は歯磨き剤の泡を吐き出すだけで、水ですすがない、日本でもその方法がよいとされています。すすがないと気持ちが悪いという人には、少量の水で1回だけのすすぎを日本歯科医師会は勧めています3)。
1)公益社団法人日本小児歯科学会. 食後の歯みがきについて. https://www.jspd.or.jp/recommendation/article09/ (2023年4月9日アクセス)
2) Hong DW, et al. Does delayed toothbrushing after the consumption of erosive foodstuffs or beverages decrease erosive tooth wear? A systematic review and meta-analysis. Clin Oral Investig. 2020 Dec;24(12):4169-4183.
3)日本歯科医師会. 歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020. 歯磨き後のうがいは1回?https://www.jda.or.jp/park/knowledge/index40.html (2023年4月9日アクセス)
※参考書籍
「歯科衛生士のためのカリオロジーダイジェスト」
著 天野 敦雄、久保庭 雅恵
クインテッセンス出版株式会社