Question
前歯を抜歯して2年経ちます。インプラントを入れたいのですが、そのままでは入れられないといわれました。どうしてですか?
Answer
抜歯を行う際に何の処置もしないと、唇側骨は抜歯後6ヵ月では、幅が5割、高さが2割減るといわれています*)。さらには、臼歯部に比較して、前歯部に対する患者の審美的要求は高いため、歯科医師は審美性には細心の注意を払わなければなりません。
インプラントの審美性を担保するのに大切なのは、周囲の硬・軟組織のボリュームとインプラント埋入ポジションです。ただし、歯槽骨の吸収により、前歯部のインプラント治療においては、インプラントの理想的な埋入ポジションに十分な骨のボリュームがないことがほとんどです。硬・軟組織造成も、臼歯部であれば、インプラント機能維持のためにたいして障害にはなりませんが、前歯部であれば少しのボリュームの減少が命取りとなります。
これらの理由により、臼歯部のインプラント治療と比較し、前歯部の審美的なインプラント治療を行うことは大変難しいのです。
*)Tan WL, Wong TL, Wong MC, Lang NP. A systematic review of post-extractional alveolar hard and soft tissue dimensional changes in humans. Clin Oral Implants Res. 2012; 23 Suppl 5: 1-21.
※参考書籍
「オルソインプラントセラピー」
丹野 努、クインテッセンス出版株式会社