Question
義歯性口内炎について教えてください。
Answer
義歯性口内炎の分類
義歯性口内炎はTypeⅠ、TypeⅡ、TypeⅢの3つの異なったタイプに分けられます1)。
TypeⅠ 局所型口蓋粘膜炎症
義歯による外傷によって生じる赤い斑点が見られ、口蓋粘膜の限られた範囲の炎症です。
TypeⅡ 全体型単純タイプ口蓋粘膜炎症
義歯床に覆われている口蓋粘膜全体に拡がる発赤、充血が見られます。その部の粘膜は委縮していて、表面はスムーズです。この種の義歯性口内炎は、通常は唾液の生理的な自浄作用によって洗われている口蓋粘膜部に義歯床が存在することによって微生物が集まり、微生物叢を形成することによって生じます。この口内炎は、慢性萎縮性カンジダ症、あるいは慢性紅斑カンジダ症と呼ばれることもあります。
TypeⅢ 顆粒あるいは乳頭タイプ
TypeⅡの状態に加えて口蓋中央部分の粘膜表面が顆粒状あるいは乳頭状になっているもので、苔が一面に生えているように見えるものもあります。この種の義歯性口内炎も、慢性紅斑カンジダ症の一種と考えることができます。
義歯性口内炎の治療
TypeⅠの症例については義歯床の粘膜面を精査して、外傷を生じさせる要素を取り除くことです。TypeⅡやTypeⅢの症例に対しては、まず、夜間はもちろんのこと日中もできるだけ長時間義歯をはずしておくことです。義歯性口内炎を生じさせる要素の1つは、義歯を夜間も装着していることだからです。義歯床の材料であるレジンは多孔性のため、義歯床の粘膜面には微細な空所があります。そのため、そこにカンジダを取り込んでいる可能性があり、それが感染の原因になり得ます。そこで、外した義歯は一晩中クロルヘキシジンの含嗽剤に浸しておくことが推奨されています。
1) Newton, A. V.: Denture sore mouth: a possible aetiology. Br. Dent. J., 112: 357 – 360, 1962
※参考書籍
「ORAL MEDICINEの臨床」 飯塚 哲夫 著 株式会社ストマ