Question
歯の正しい磨き方って、どんな磨き方ですか?
Answer
そもそも、歯垢を完全に除去することは物理的に不可能なことであり、また歯周病治療にはそこまで行う必要もないことなのです1)。なぜなら歯磨きの効果が上がっているかどうかは、歯周組織の健康状態とリンクさせて判断すべきものだからです1、 2)。その磨き方によって歯周組織の健康が維持されたり健康を回復したりしなければ、その刷掃は不適切だと考えるべきです1、 2)。
歯周炎の原因がプラーク(dental plaque)であることは、現在では定説になっていますが、プラークが存在するからといって、すべての人々のすべての歯周組織に歯周炎が生じるわけではないのです。これまでに発表された多くの論文は、プラークに対する感受性は各個人ごと各部位ごとに大きく異なることも示しています1)。
「正しい歯の磨き方」 で一番重要なことは磨き残しがないことではなく、歯周組織が健康になるかどうかや、健康が維持できるかどうかであり、「磨き残し」があるかどうかではありません。プラークコントロールの効果を評価するための唯一の意味ある基準は、歯周組織の健康状態なのです1、 2)。
歯周病を防ぐ歯磨き5か条
- 歯ブラシのヘッドは小さめに、ペンを持つように握る
- 歯は二本ずつ、毛先を動かさず細かく左右に振動させて磨く
- 歯磨き粉はフッ化物が配合され、研磨剤が入っていないもの
- 糸ようじ、歯間ブラシ、舌ブラシは効果大。つまようじはNG
- デンタルリンスを歯磨きの前後に30秒使い、水でゆすがない
1)飯塚哲夫:歯周病はなぜ治らないのかどうすれば治るのか 愛育出版、東京、2017
2)飯塚哲夫:歯周療法の基礎 第5版 株式会社ストマ、埼玉、2018 p133 -162
※参考書籍
「近代口腔科学研究会雑誌Vol.47 No.1 P7~P13『週刊文春の記事【心筋梗塞、脳梗塞、肺炎、認知症も『歯磨き』で万病を防ぐ】を読んで』」
近代口腔科学研究会